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道楽草  作者: 十三岡繁
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街山歩き

 日本の国土の75%は山地である。平野は1/4しかない。土曜日の朝街を歩いていて、ふとその平たさに違和感を覚えた。


 人は平野部に多く住んでいて、街は平野を中心に作られている。しかし地形という面から考えると、日本においてはスタンダードは山地であって平地はイレギュラーという事になる。今自分が歩いている場所は、この国ではイレギュラーな場所なんだなと思うに至った。


 普段使いのバックに、最近は昔使っていた登山用のザックを使っている。大量に荷物を入れても苦にならないという実用性もあるが、何よりどこを歩いていても、山歩きをしているような気分を少しだけ味わえるのがいい。


 しかし平地の街を歩くのは、登山道を歩くのと全然違う。楽なのだ。起伏も無ければ足場もいい。なので荷物は重いほどに、負荷が大きくなって楽しくなる。通常は苦になる荷物の重さが楽しみに変わるのだから、人の心持というものは実に不思議なものだ。


 農業が本格的に始まるまでは、日本人の生活の場は主に山だったんだろうか?作物は平野の方が育てるのに適しているとは思う。しかし狩猟が中心の生活であれば、山の中の方が獲物は多いかもしれない。土地に起伏があれば日当たりを始め、風通しや周辺環境に多様性が生まれる。環境の多様性は植生の多様性に繋がるだろう。多様な植生や環境は動物にとっても、その多様性を保つ装置になるだろう。


 安定して収穫できる農業で、毎年同じ行為を繰り返して食料の心配をせずに平穏に暮らすと言うのも悪くないとは思う。しかし時には行き当たりばったりの、その日暮らしにも憧れたりするのが人間だ。


 山は自身の深いところにある根源的な何かを刺激する存在なのかもしれないなと思う雨の日曜日である。


 

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