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道楽草  作者: 十三岡繁
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一方通行

 この世界は空間的には三次元である。縦軸と横軸、その二つに直交する高さ方向の軸があって計三つの軸線でできているからである。これらすべての軸に直交する軸があれば四次元という事になるが、その四つ目の軸は時間であり、だからこの世界は四次元だという人がいる。


 もし四次元と考えた場合不思議に思う事がある。他の三軸はプラス方向とマイナス方向があって、どちらにも動ける。右にも行けるが左にも行ける。上にも行ければ下にも行ける。なのに時間だけは一方向にしか動いていけないのは何故だろう?道路で言えば一方通行路だ。


 それとも人間がそう知覚しているだけで、本来どちらの方向にも動いていけるのだろうか?子供の頃、物理学などにはまだ無知だった頃、時間の流れとは絶対的なもので、ここも遠い宇宙の果てでさえ同じように過ぎていくものだと思っていた。


 もちろん現在では時間の流れは一定でないことは常識となっている。重力が大きくなるほど、時間の進み方は遅くなる。これは実験で確認されているので確かな事だ。ブラックホールであれば時間は停止している。しかしそれでも進んでいく向きは一方通行に見える。


 実は物理法則には時間の向きの概念は無くて、どの数式も時間の流れ方が逆であっても成立するという事だ。以前タキオン粒子という光速を超える運動速度を持つ粒子の概念が提唱されたが、そこでは時間の進む方向は、我々の認識とは逆方向だと聞いた覚えがある。


 時間の進み方が一方向だというのは、人間の意識が起こしている錯覚、もしくは認識するという行為の癖みたいなものかもしれないなと最近思う事がある。もし時間がどちら方向にも動いていて、現在と逆方向の世界もありとなれば面白い。生と死の概念が逆転する。今の世界での死が誕生であり、逆に誕生が死ということになる。

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