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道楽草  作者: 十三岡繁
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次元と脱出

 次元というのは軸の数である。軸線が存在しない点がゼロ次元で、軸が一方向だけの線が二次元。縦方向と横方向の直交する二軸があれば二次元、いわゆる平面だ。この世界は空間的には二次元の軸線にそれぞれ直交する縦方向の軸が加わって三次元とされている。


 次元が増えるという事は軸が増えるという事なので、その世界からの脱出が可能になる。例えば線世界一次元の住人が横方向の軸を認識して活用できるようになれば、横に動いてその直線世界を脱することができる。平面二次元世界の住人も縦方向の軸を認識して活用できれば上や下に脱出できる。


 先ほどこの世界は空間的には三次元と書いたが、その全ての軸に直行する存在として時間軸がある。なのでこの世界を四次元だとする考え方もある。ある人間が刑務所に入っていたとして、一億年後の未来には刑務所は朽ち果てているだろうから、自由に時間を行き来できれば脱獄を防ぐことは不可能だろう。しかしこの時間というやつは、あるとは感じていても自由に移動したりはできない代物だ。なのでこの世界は四次元というよりは3.5次元みたいなものかもしれない。


 なので仮に将来的にタイムマシンなどで時間移動が可能になれば、我々は初めて4次元人と言ってもいい存在になれるのかもしれない。しかしそこから先はどうなるのだろう?次元が一つ上がるごとにその世界からの脱出が可能になるのであれば、もし仮に我々が完全な四次元人になれたとして、更に次の軸線を認識、活用できるようになれば空間と時間の制約から解き放たれるという事だろうか。


 個人的には人間の意識というものに注目している。現在のところ光速を超える情報伝達手段は無いとされている。時間軸が逆なタキオン粒子や未だ謎だらけの量子もつれの利用はまだまだ理論的な仮説段階だ。しかし光速で移動しても数億年はかかるであろう宇宙のかなたの様子を、我々は想像して意識することができる。それはもちろんリアルとは違っているかもしれないが、意外とマッチすることもあるのかもしれない。そう言った意味では意識は光速よりも早く情報の伝達を可能にすると言えるかもしれない。


 ホログロム宇宙論やシュミレーション仮説の様に、宇宙の実態はもっと別の場所にあって、我々がリアルと感じている世界は幻のようなものかもしれないという理論は、現代物理学でも盛んに議論されている。

 情報伝達が実体から実体の場合は光速を超えないのかもしれないが、この世界はその写し絵に過ぎないのであれば、光速を超えても何ら矛盾は無いように思えてくる。


 光速以上のスピードで何かを動かすのは実はとても簡単だ。例えば強力な懐中電灯で地球から火星を照らしてみる。地球上でその懐中電灯を動かして次に木星の表面を照らしてみる。地球から見た場合最初火星にあった懐中電灯の光の点は、光速を超えて木星の表面まで移動することになる。


 相対性理論で不可能なのは火星から木星への光速を超えた情報伝達であって、単に何かが移動するだけならば光速を超えていても問題はない。地球上で懐中電灯の光を変化させれば、その変化は火星と木星には各々到達するだろう。各星への到達速度の限界は光速であっても、地球上での懐中電灯の光を変化させるスピードは光速どころかだいぶゆっくりであっても構わない。


 最近SFでも、単に宇宙人では無く高次元の存在という捉え方をしている作品も多い。他の星にも生物が存在しているであろうことは個人的には疑問の余地はないが、それぐらい進化していないと、多分地球には到達し得ないんだろうなとは自分も思う。


 しかしそこまで進化していたら、自分の肉体を使って移動するような危険は絶対に冒さないだろう。AI搭載のロボットや偵察用ドローンみたいなものなら分からなくもないが、そんな原始的で物理的な存在からは離れるような気がする。意識体だけを飛ばすとかそう言う感じだ。


 そんな話であれば、もう宇宙人は地球には既に入り込んで溢れかえっているのかもしれない。というかすべからく地球人全員が宇宙人の意識を共有している可能性すらある。まぁなそれで何かいいことがあるのかと言えば、どうなんだろうとは思う。

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