サウナでの事故を受けて
サウナでの事故の話を聞くといたたまれなくなります。非常ボタンの電源が入っていないという、管理運営上のミスが一番まずいと思いますが、外れそうなドアノブを放置していた事も問題です。しかし不思議な部分も多いです。
まず出口の扉がガラスの框ドアであったという事。多分ガラスは耐熱強化ガラスになっているとは思いますが、どうしてこれを割らなかったのでしょうか? 一般に強化ガラスは割れにくいという事になっています。これはある意味正解です。ボールをぶつけても手でたたいても割れにくいです。しかし強化ガラスは点荷重には非常に弱いのです。例えば傘の先端で垂直方向に叩いたりすればすぐに割れるでしょう。車のフロントガラスも強化ガラスなので、先端の尖ったガラス割りなんてものも売っています。
外れてしまったドアノブの形状は分かりませんが、尖っていたり角があったりしたんなら、その部分が当たる様に叩けばいいでしょう。閉じ込められた犠牲者の方はサウナ石をタオルで巻いて持ち上げ、それで割ろうとしたようですが、それも賢明な判断だと思います。しかしタオルで包んでいない部分で衝撃を与えないと、タオルが衝撃を分散させて中々割れないでしょうね。石の質量に頼るのではなく、一番小さく荷重をかけられそうな部分で垂直に力を加える必要があったと思います。
建築関係の仕事に従事している人間であれば半ば常識的な話ですが、もしかすると一般的にはあまり知られていない話かもしれないなと思って、このエッセイで取り上げてみました。”強化ガラスを割るには点荷重です”。
もう一点。ドアノブで鍵がかからないタイプのものは空錠と呼ばれていて、ラッチという物がストライクという穴に入ってひっかかっているだけで、それほどの強度はありません。多分サウナなので熱くなる金属製扉ではなく木扉だったと思います。木扉なんてそんなに頑丈なものではありません。蹴破ればラッチ部分なんてすぐにぶっ壊れます。勢いをつけて体当たりするかドロップキックをするか、この場合は質量に物を言わせて衝撃を与えるのが有効です。
実際の状況を見たわけではないので、本当にそれらが実行可能だったかどうかは分かりませんが、知識としては入れておいていい話だと思います。




