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道楽草  作者: 十三岡繁
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水泳中の妄想

 体を使っての移動手段と言えば歩きが基本だと思う。人間は空を飛ぶことができない。空を飛んで移動するとどんな気分なのかなと考える事がある。身近に鳥という存在があるのだから、それは多分今も昔もみんな想像してきたことだろう。


 床や地面に足を付けることなく、壁にも天井にも触れずに移動する手段を実は人間も持っている。水泳だ。自分も週に二度ほど健康維持を考えてスポーツクラブのプールに通っているが、ふと水泳は空を飛ぶ感覚に似ているのかもしれないなと思った。


 鳥は空気中を移動することで浮力を得る。羽ばたくこともあるが、翼の形状から向かい風によって浮力を得ることができる。水泳の場合は水と体との比重差で浮力を得るので原理は違うが、液体と気体の違いはあってもその中に浮いているという点では同じだろう。木星や土星の様に地面の無い惑星の中では、水並みの密度のあるところに行けば、気体の中にあっても人間もふわふわと浮くに違いない。


 昔の人は鳥が飛べると言うのは不思議で仕方なかったろうなと思う。羽ばたけば浮きそうな感じはするが、イカロスの翼を持ち出すも無く、人間が羽根状のものをつけていくら羽ばたいても空中に浮くことは無かったろう。逆に理屈が解明されている現在、推進力の無いグライダーやハンググライダーでも人は飛べるようになった。


 同じく昔の船は追風に乗ってしか前に進めなかった。かくいう自分もきちんと原理を習うまではそうだろうと思い込んでいたような気がする。しかしながらヨットは向かい風でも前に進める。小難しく言えば流体の速度差によって圧力差が生じるというベルヌーイの定理を使っている。鳥が揚力を得る仕組みも一緒だ。ヨットでは水平面方向の推進力を上向きに使っているだけだ。


 空を飛ぶことだけでなく、機械的な装置を使わなくても、自然の摂理を分析することでできるようになったことは色々とあるような気がする。それは理屈さえわかってしまえば、技術的にはそれほど難しい話ではない。遥か昔でも天才が一人現れれば、原理を解明して実用化できたこともあったのではないだろうか?


 だから意外と古代文明でも空を普通に飛んでいたのかもしれない。ナスカの地上絵が書かれた時代、熱気球が存在していたと今は言われているが、他にもハンググライダーくらいならあってもおかしくないような気がする。


 人間の脳の大きさはもう何十万年もの間変わっていない。

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