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道楽草  作者: 十三岡繁
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太陽

 ようやく涼しくなってきました。毎朝の仕事場への道のりは20度以下の気温で爽やかです。しかし歩いている時に、太陽の光が直接当たると少し暑いです。太陽と地球は随分と距離が離れているはずなのに、物凄いエネルギーです。


 考えても見れば、地下から湧き出る熱水のエネルギーで生きているバクテリアなど、ごく一部の例外を除いては、地球上のすべての生物は、この一個の太陽の出すエネルギーに依存しています。太陽に人間の様な意識が備わっているのかどうかは知りませんが、これだけの数の生物が全ての活動を自分に依存してくるなんて、物凄いプレッシャーですよね。


 人間で言えば家の水槽で何匹ものメダカを飼っているような……それの拡大版です。餌を食べなかったら死んでしまうかもしれない。暑くないだろうか? 寒くないだろうか? 飼っているからにはなるべく死んでほしくないでしょう。

 一家で言えば稼ぎ頭の大黒柱です。家族の生活はその働きぶりにかかっています。働きが鈍くなれば、みんな餓死してしまいます。


 そんなプレッシャーの中。……感じているかどうかは知りませんが……無言でただ黙々とエネルギーを補給し続ける太陽……凄いです。だから人間はみんな昔から、この太陽を神格化して崇拝してきました。その資格が太陽にはあります。


 SFっぽい科学の考え方にダイソン球という物があります。文明が進んでも結局この恒星(太陽)が発するエネルギーへの依存は続くという物です。そのエネルギーを全て利用しようと思えば、何らかの殻のような物で、恒星を包み込んでしまうだろうと……。その現象を見つけられれば、その星に高度な文明があることの証拠になるだろうという考えです。我々の地球はまだまだ全然そのレベルには達していません。せいぜい屋根の上に太陽光パネルを置くくらいです。それとて、パネルを作り維持して行くエネルギーが、太陽から受け取るエネルギーの総量を上回る事が出来ているのか怪しいレベルです。


 電気なんかも化石燃料は、結局今まで地球に蓄えられた太陽エネルギーを消費しているだけですし、風力も水力も今度は太陽の熱エネルギーの他、重力などからも間接的にエネルギーを貰っているだけな感じがします。依存していないのは原子力ぐらいじゃないでしょうか?


 何かいまだに眩しくて熱い太陽を見て、そんな事を考えました。もう11月だというのにまだ暑いですね。太陽は折角黙々とエネルギーを供給してくれているのに、我儘な人類で申し訳ありません。

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