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道楽草  作者: 十三岡繁
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著作権

 著作権の保護というのはとても大切な事だと思う。これについては異を唱える人は少ないだろう。しかし現在の著作権の保護期間については少々違和感がある。現在の日本では海外と足並みを揃える意味もあって、例えば小説なら著者の死後70年間保護される。……ちょっと長すぎませんかね?


 遺族の生活保障だという話があるが、それすらちょっと疑問である。配偶者や、時には子供の献身的な協力があって、著者は安心して創作活動に打ち込めたというケースも無くはないと思う。にしても死後70年は長すぎる。関係のない孫やひ孫や、もしかしたらその先の子孫に、ただただあぶく銭を残すだけのような気がする。


 感覚的には、せいぜい30年ぐらいでいいような気がする。優れた作品は人類共通の財産であり、一部の人間だけがその利益にありつけるというのは、どうにも違和感がある。どうして今の様になってしまったのか、何か背後に大きな意図があったんではないかと勘繰ってしまう。


 以前私はメスティンという小型飯盒で炊飯をするときに、キッチンペーパーを折って米がこびりつかないようにする、『メスティン折』という物を発案した。これは早々に著作権の放棄を宣言したので、その後色々な方々が作成方法や利用方法を提案してくれて、現在はかなりのバリエーションを持っている。今では100均でも同様のものが販売されるようにまでなった。


 小説なども同様に、広めるためには著作権を放棄する必要があるとは思わないが、著者自身は自分の死後は著作権を守るよりも、多くの人々にそれを読んで欲しいと願っているのではないだろうか? もちろん嫁や子供には、ある程度何かを残してやりたいという気持ちも分からなくはない。それを勘案してやはり30年位が妥当かなと思う。


 これを書いているのは2025年10月なので、保護期間が30年であれば、1995年までに亡くなられた方の著作物は無料で読むことが出来る。例えば私の尊敬する星新一氏は1997年に亡くなられたので、あと二年経てば氏の作品は全て青空文庫で公開されることになる。もし氏が空の上からこの世界を眺めていたとして、それはあと40年待って欲しいと言うだろうか?


 何かショートショートが書けそうな話である。

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