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道楽草  作者: 十三岡繁
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文字による情報の集積

 文字の発明というのは凄いと思う。知識や思想の集積を可能にした。


 分かりやすいところで言えばこのようなネットでの小説公開だ。新たに加わる作品数と削除される作品数では、前者のほうが圧倒的に大きいだろう。ということは時間が経てば経つほど、そこに集積される作品数は増えていく。「カクヨム」の作品は2024年12月の時点で50万を超え、更に老舗の「小説家になろう」は2025年で130万を超えているらしい。


 一体これらのサイトがどこまで続くのかは分からないが、十年、百年、千年と続いた場合、その作品数はそれこそ天文学的な数字になるだろう。そうして更に増え続ける。百年とかからずに言語の違いも超えてくるだろう。そうすると人類全体の財産になるかもしれない。


 これは他の生物と人間の決定的な違いになっているような気がする。口頭だけで歴史などを伝えていくオーラル・トラディションという文化もある。ここで既に人間が他の動物と違ってはいるが、イルカなんかだと言語はあるようなので、分かっていないだけでそういう部分はあるかもしれない。しかし文字という文化は確実に人間だけだろう。


 古代ギリシャなどでは、宗教的な意味合いもあってオーラル・トラディション、口承伝承で歴史などを伝えたようだが、ある時点ではやはり文字に書き起こされた。それで今でもその内容を読むことが出来る。口承だけでそれが可能だったかどうかは疑わしい。


 やはり文字は凄い。情報を記号化する事で、他者に伝え歴史に残す事も可能とした。そうしてなんといっても、知識や文化を集積できるようにした。例え優れた物理学者であっても、先人たちの残してくれた知識の集積が無ければ、偉大な発見には辿り着けないだろう。絵や音楽も言葉に近い性格をもつが、文字はもっと直接的だ。直接的なのに、感覚的でもある。


 読んでも面白いが、書いても面白い。自分が思った事を、写真の様に残しておくことが出来る。そうして書くほどに、個人レベルではあってもやはり何かしらが集積されていく。時には詳細に、時には曖昧に。ただひたすらに積み上がっていく。そうして集積された情報は時を超えていく。死ぬまで書くことはやめられそうにない。

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