表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
道楽草  作者: 十三岡繁
284/312

生物と非生物

 考えても分かるわけがないのに、どうしても定期的に疑問に思ってしまうことがある。今回はNASAが発見したという、火星の生命の痕跡がトリガーとなった。


 生物と非生物の境界はどこにあるのか? 代謝をして増殖ができるものを生物とするならば、人間の体組織から抽出された細胞を培養した場合、それは生物と呼べるのだろうか? 言い方を変えれば生きていると言えるのだろうか?


 多分そのうちに、体細胞一つから体全体を復元することも可能になると思う。その時に、その個体は意識や自我というものを持ち得るんだろうか? 全ての意識や自我が脳由来であるとするならば、そうなるかもしれないが、何か違うような気もする。これを言えばマッドサイエンティストと同じだが、その実験がもし可能となったとき、その結果が生命の根本を知る手掛かりになりそうな気がする。


 話を最初に戻そう。昔のまだ生物の存在しなかった地球に、なにかしらの化学変化が起こって生物の元が誕生したという。当時の環境を再現して、化学変化によってアミノ酸までは作れたようだが、そこから先には進まない。科学の理論というのは、再現性が何より重視されるのではなかったのか? だとすればその生命誕生の理論は現在のところ、非科学的という事だ。


 現代文明では、それなりに科学が発達しているとは思うが、人工ウイルスは作れても、いまだに人間は単細胞生物の一つを作ることも出来ない。せいぜいできてコンピューター内でシミュレーションするぐらいだ。成程、バーチャルの世界であれば人間は既に、生命を誕生させることができるのだ。宇宙の構造がもしマトリョーシカの様に入れ子構造で、フラクタルなのであれば、この事実は非常に興味深いような気がする。イーロン・マスク氏などは、この世界はシミュレーションであると強く信じているようだが、それを可能としている何かしらの存在があるとすれば、彼らには生命を誕生させる事も可能なのだろう。


 最近数学的なアプローチで、偶然地球に生命が発生するかを、確率的に考察したチームがいたらしい。結論はほぼ不可能というものであった。ゼロでは無いが天文学的に低い確率だという事だ。それと同じことが火星で起きていたとなると、確率は更に限りなくゼロに近づいてしまう。もしNASAの発表が真実という事になれば、生命の源は宇宙由来であるという、パンスペルミア説の方が直感的には正しいような気がしてくる。この広大な宇宙の中であれば、天文学的に低い確率であっても、生命はどこかで誕生し、その後広がっていけるかもしれない。


 この発想の面白いところは、もし将来地球外生命体と接触することがあったとして、その構造は地球上の生物とも、共通性がありそうだというところだ。元が同じなのだから、分化した先に共通性があるのは生物全般に言えるところだ。

 いつか生物の進化系統図も、銀河系全体に広がるかもしれない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ