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道楽草  作者: 十三岡繁
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理屈は分からない

 理屈は分からないけども、そうなるから使っているという物は身近に結構ある。というか何事も現象があって、後から理屈をつけて無理やり納得しているよな気もする。


 例えば麻酔だ。あれがどうして痛みを緩和するのか、理屈は全く分かっていない。しかし実際に効くのだから大いに活用しているというだけの話だ。漢方などの東洋医学は大体そんな具合だ。そうして西洋医学の方は科学に根差してやっている様な顔をしているが、本質は変わらない。薬は治験など、実際に使ってみて効果があるから使っているという事に過ぎない。


 最近関心があるのは線虫がん検査という奴だ。癌患者の尿にはがん特有の匂い?のようなものがあって線虫が反応するらしい。嗅覚で感じ取っているとの事だが、どうもがん患者の尿には寄って来るらしい。正誤率は90%を超えるというのだから驚きだ。もちろん嗅覚で感じ取る物質があるかないかの話なので、被験者の尿を分析してその分子構造を全て解明できれば同じことが可能になるだろう。しかしそれにはとんでもないコストがかかるし、臨床データも膨大に蓄積する必要がある。理論上可能だというだけで、実際には不可能なのだ。


 何かこの線虫がん検査には、量子コンピュータと同じ匂いがする。理屈はよく分からないが、出てきた答えは正解である可能性が高い。そもそもなんで線虫はがん患者の尿に寄ってくるのだろうか? 光に向かって集まって来る昆虫と一緒なのだろうか? 因みに健常者の尿には寄って来ないのだから、ハエとかそういうものとも違うのだろう。何かしらの利があるのだろうが、一体何なのだろう?


 線虫は寄生虫が有名だが、この検査に使われるシーエレガンスという線虫は寄生虫ではないらしい。土壌に生息しているとの事だ。但しこれががん検診に使える事を発見したのは、魚に寄生していた線虫を観察していた時らしい。全ての線虫が同じ反応を示すのかは知らないが、寄生先であれ土壌であれきっと線虫にとっては魅力的な匂い成分ががん患者の尿には含まれているのだろう。多分それは人間の感覚に例えると『おいしそうな匂い』ということになるのだろう。

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