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道楽草  作者: 十三岡繁
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風邪

 風邪の原因といえばウィルスか細菌である。それらが外から体内に侵入して発症する。そういう事になっているし、そういうもんだと思っていた。


 しかし最近思うに、それは突発的な出来事ではなくて、常に人間はそういう状態に置かれているのではないかという事を考える。なんのこっちゃだが、平たく言うと常にそれらのウィルスや細菌の、かなりの種類の物は体内に常在しているという事だ。 つまり常に人間は風邪をひいている状態で、症状が重くなった時だけ体に異常として現れているだけだという考え方もできそうな気がする。


 どうしてそんな事を考えたかと言えば、帯状疱疹という病気の存在である。これは体内に既に居付いている水ぼうそうウィルスが、体の免疫機能が下がると表に出て来て症状が現れるという代物である。癌という病気も、実は常に体内で発生しているがん細胞が、免疫力を超えた場合に症状として現れているだけである。一説には人間の体の中では毎日5,000個程のがん細胞が発生しているらしい。


 風邪のウィルス(もしかしたら細菌も)も同じようなもので、たまには古いものが完全に駆逐されたり、新種の物が体に入る事はあっても、基本的には常に人間と共生関係にあったりはしないだろうか? なぜ風邪をひいている人から移されたように感じるかという事については、突然変異によって新たな能力を獲得した仲間が、大量に押し寄せた事がきっかけとなって、全体としての活動が活発化するためではないだろうか? 風邪のウィルスの変異速度は物凄い。近年のコロナウィルスの変化を見てそれを改めて感じた。


 老衰という死因がある。しかし人間は老化するだけでは死なない。詳しく調べればその殆どは風邪によるものだと聞いた事がある。風邪によって引き起こされる体の異常に、体力が付いていけなくなった時に死を迎えているだけなのだろう。癌ですら特殊な場合を除き同様であるとも聞いた事がある。


 個体で見ると死というのは忌み嫌われるものであるが、生物としての種全体からすれば進化を促し、多様性を保つための優れたシステムである。風邪というのはこのシステムの手助けをする事で人間(動物でもいいが)と共生しているのではないだろうか?


 本当の意味での風邪薬を発明したらノーベル賞ものだという話は有名だが、もしそんなものが発明されてしまったら、人間の生死のバランスが崩れてしまい、種全体としてはマイナスになるなんてオチもありそうな気がする。

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