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道楽草  作者: 十三岡繁
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底が抜ける

 昨日スーパーに行って、野菜価格の高騰に驚いた。米の価格も一向に下がる気配はない。野菜の方は一時的なものだと思いたいところだが、もしかしたら物価上昇の底が抜けたのかなと、恐ろしくなった。


 現在インフレ局面なので、賃金も上昇している。しかしそれは物価上昇にはついていけてなくて、実質的には労働者の収入はマイナスになっているし、消費も下がり続けている。もうすぐガソリンの補助金も再び無くなって、暫定税率は廃止しないようなので、流通を中心として全てのコストが上がるだろう。


 日本経済の低迷は、一旦行くところまで行かないと、反転することはないように思っていたが、案外とその日は近いのかなと感じた。しかし行くところというのは一体何処なのだろう? 食べるものも無くなって餓死者が出るのだろうか? 大げさではなくそれくらいはあるような気がしている。


 私は日本人は勤勉で優秀な、世界でも類を見ない存在だと思っている。そんな日本人がどこの国より真面目に長時間働いて、どうして先進国の中で最低に近い賃金しか手にできないのか? もらう給料の半分は社会負担に消えていく。それなのに社会不安は大きく、震災の復興も進まない。一体そのお金はどこに消えていってるのだろう?


 政治のせいにするのは簡単だ。ただその政治家を選んでいるのは国民だ。ここまで無茶苦茶なことになっていても、国民の半分は未だに選挙にすら行かない。きっと今までは、だましだましそれなりにやりたいことも出来て、食うにも困らずそれなりに幸せを感じていたのだろう。で、あればそれも悪くはないという事かもしれない。但しジリジリと下がり続ければ、いつかは限界が来る。そうして社会が一番底にまで行かないと、目覚めることはないような気がしているのだ。 その日が早く来てほしいのか、何時までも来てほしくないのか複雑な心境だ。


 2025年の崖という言葉がある。日本のシステム関係のセキュリティは世界でも類を見ないくらい脆弱で、技術者も不足している。今後その弱点が大きな経済的損失を生み出すというものだ。以前サイバーセキュリティ担当大臣がUSBもよく分かっていない事が話題になったが、なるべくしてなったのが現在の状況だろう。失われた三十年は経済だけの話ではないのだ。次の三十年に向けた重要なものも失なわれてしまった。いや、育ててこなかった。


 しかし今までも書いてきた通り、逆にこの失われた期間も成長と成熟を続けてきたものがある。しつこくここでも書いておくが、アニメや漫画を始めとするコンテンツである。これを今後どう生かして行くかが肝要だと思うが、流石に経済の底が完全に抜けてしまったら、どうにも首が回らない気がする。 空腹過ぎては絵も描けない。


 スーパーで買い物をしただけで、新年早々からとても気が重い。


 

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