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道楽草  作者: 十三岡繁
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火の鳥

 NHKでアニメの放送が始まったので見てみました。もちろん火の鳥自体古い作品ですし。アニメもかなり前に作られたものです。


 しかしながら何度見てもその設定と物語のプロットには感心してしまいます。現在まだ黎明編ですが、そもそも鳳凰やフェニックスを題材として、その生き血を飲めば不老不死になるという設定の柱が秀逸だと思います。不老不死はその時代時代の権力者が追い求めて争いの火種にもなりますが、様々な理由で一般人もそれを狙っていたりします。


 そうして実際にその恩恵に与れた人は、永遠に生きる事を後悔すらします。見る、又は読んだ人は死と生についてその意味を深く考えさせられます。そうしてシリーズを通して、仏教の輪廻転生の考え方にも大きく触れていきます。単体の生命としての不老不死などにならなくても、輪廻転生で鼻から全ての生物は永遠に近い存在かもしれないと描かれています。それでいてその輪廻は業の繰り返しでもあって、そこから抜け出す事こそが難しいといっているような気もしてきます。


 黎明編に話を戻します。これは自分も物語を書くようになったので、ことさら強く感じるようになったのかもしれませんが、登場人物の人数や物語のプロットが秀逸です。複雑過ぎず単純すぎず、多すぎず少なすぎず、誰にも分かりやすくてそれなのにその裏側には、哲学やら人間やら社会への問題提起なんかが蠢いています。登場人物はそれぞれがそれぞれに愛憎に捉われますが、時間の経過や社会的背景でその感情は揺り動かされます。絶対的な感情なんてものはそこには存在しません。永遠の命をテーマにしているのに、人の感情は絶対に永遠ではあり得ない事が語られます。それは憎しみや愛についてもです。


 舞台設定もいいですね。黎明編の舞台は古代日本ですが、日本神話と実際に日本が神話的な時代であった頃の話をうまくミックスして、日本と大陸との関係なんかもチラチラと出していきます。場所はどこをイメージしているのかはあまり気にしてませんでしたが、現在九州に住んでいる事もあって今回は気になりました。火の国というのは熊本なんでしょうか。『くまそ』ということで、鹿児島位まで南下する可能性もありそうです。邪馬台国に関してはもっと北側の吉野ケ里や、もっと北の糸島あたりかとも思うんですが、海を渡っていくというのがちょっと良く分かりません。しかしながらそう遠くもなさそうなので、大陸から来た人々とイメージを重ねているのかもしれません。


 とにかく素晴らしい物語です。これは時代を超えて語り継がれていくものだろうと確信が持てます。自分もいつかこんな物語を書けたらいいのになと思います。

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