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道楽草  作者: 十三岡繁
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ケツ穴ドライ

 文明論と言っていいのか、排泄後の衛生面での処理方法において世界は大きく二つに分かれている。紙で拭く文化と水で洗い流す文化だ。


 インドやイスラム圏を旅した事がある人ならお分かりの通り、あちらでは大便後は水で流すのが普通だ。一方我々の属する西欧文化圏では古くから紙によるふき取りが行われている。この紙の製造の為に工業文明が発達したとうそぶく人すらいる。より衛生的なのはどちらかと言えば、私は以前から水で流す方だと思っているが、なぜか西欧圏では紙の使用が確固たる地位を築いていて揺らがなかった。……そう、しかしながら過去形なのだ。


 この手の話ではいつも日本のその変態性に私は注目する。今までそれなりに色々な国を旅してきたつもりだが、トイレットペーパーの品質において日本製品の素晴らしさは他の追随を許さない。比較すら無意味なほどその差は歴然としている。それだけでも凄いのだが、日本はこの分野でもイノベーションといえる革新的な技術を生み出したのだ。そう、排泄後の水による洗浄である。大きく二つに分かれていた世界は、この技術によって遠くない将来一つになる事だろう。


 最近はただの水ではない、少し温水にしたり、洗浄効果を高める為に微妙な水流をつけたりと、その進化は留まるところを知らない。そうして気持ちよく洗浄したところで、最高の肌触りのトイレットペーパーで拭きとるわけだ。米食は日本人に生まれて良かったと思う大きな理由の一つだが、この洗浄便座の存在もかなりのウェイトがあると思う。


 しかし、洗浄した状態で既に清潔であるならば、その後に紙で拭きとるという行為は果たして必要なものなんだろうか? インドでは洗ったら洗いっぱなしである。男性でもルンギーというスカートの様なものを履いているのが普通なので、濡れ染みなどはあまり気にならない。しかし日本ではかなり密着した下着とズボンを履くことが多いので、おしりに染みができてしまうと、結構恥ずかしそうだ。


 そこで表題のケツ穴ドライである。これは女性の生理用品の様に下着に敷いても良いのかもしれないが、洗って繰り返し使えたほうがエコだと思う。素早く水分を吸収して、上の衣類には水を漏らさず、また人体側にも逆戻しさせない。それでいて乾燥が早いような仕組みを、最初から下着の方に組み込んでみてはどうかと思うわけである。洗浄後の水分なのだから衛生的には問題ないだろう。何だったら汗よりも清潔な感じがする。工業技術と水による洗浄はそこまで来て初めて文明と文化の融合を実現し、人類に勝利をもたらすような気がする。


 但し何に勝利するのかはよくは分からない。

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