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道楽草  作者: 十三岡繁
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クリスマスイブ

 クリスマスが近づいてくると、よく耳にするのは山下達郎氏の『クリスマスイブ』だ。美しいメロディとCMで見た幸せなカップルの印象で、詩の内容をあまり深く考えずにハッピーな曲の様に感じていた。


 今更ながら歌詞を読み返してみるとこれはガチガチの失恋ソングである事が分かる。雨の中、秘めた想いを告げるために彼は彼女を待っている。そうして彼は多分彼女は来ないと思っている。待っている場所に来て告白して振られるのではなく、来てさえくれないわけだ。これは脈無しどころの騒ぎではない。相手にすらされていない。


 しかしよくよく考えれば、彼女が来ないというのは彼の勝手な想像に過ぎない。もしかしたらCMのカップルの様に彼女は遅れて来るのかもしれない。いや、時間になっても来てないとはどこにも書いていない。単に待ち合わせ場所に彼が早めについただけで、彼女は遅れてすらいないのかもしれない。今か今かと待ちながら、勝手に振られる事を妄想しているのだ。


 そうして最初と最後に出て来る『雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう』というのは物語が変化する可能性を示唆しているとも受け取れる。雨が雪に変わるように、ダメだと諦めていた恋が成就するのかもしれない。


 クリスマスイブに想いを寄せる彼女を呼び出して待ち合わせして、あわよくば夜も一緒に過ごそうという肉食系な男であるのに、その彼女はどうせこないとかなり悲観的な予想をしているというのは、なかなかに難しい性格の持ち主に見える。


 やはりこれは振られているのかもしれない。そう言えば雪に降られるというのも言葉の音は同じである。

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