伊都国歴史博物館
福岡市には観光名所が無いなんて事を良く言われます。観光客は多いんですが、その殆どは食目当てなんじゃないでしょうか?いや、もちろん食べ物はなんでもおいしいです。しかし観光名所はちゃんとあります。長らく日本の海外への玄関口だった場所です。観光名所が無いわけないですよね。
但しここで紹介したいのは福岡市ではなくお隣の糸島市です。そんな事言ったら大宰府とかもあるじゃないかと言われそうですが、糸島市は隣なので許してください。とにかく凄いんです。それは……伊都国歴史博物館です。
福岡市と言えば金印が有名です。確かに国宝だし物凄い遺物です。福岡市博物館はこの一点の為にあるんじゃないかと思う程展示も充実しています。しかし伊都国歴史博物館に行ったらそのレベルの国宝が山盛りです。いくつか挙げて行きましょう。
なんと世界最大の銅鏡はここにあります。その隣には弥生時代の遺跡からは唯一出土しているメノウの管玉(多分腕輪)が展示してあります。もちろん国宝です。それらは同じ遺跡……平原遺跡から出てきました。この遺跡は女性のお墓なんですが、割られた銅鏡が30枚ぐらい一緒に埋葬されていました。この枚数は日本最大だそうです。
それで遺体も遺跡も太陽の登る方向を意識して作られていました。今でもその名残で日向峠という地名が残っています。ちょどそこから太陽が昇るのが10月20日です。神社好きであればこの日に各種お祭りが集中していることはご存知でしょう。
そうしてこの遺跡からは鏡以外にも、剣と勾玉も出てきています。当然それらも国宝でこの博物館で展示されています。そう、国宝で三種の神器が揃ってしまっているんです。
天孫降臨というのは物語的には、天に住む神が地上に降り立ったという事になっていますが、それは大陸からあの方の血筋が日本に来られた事の比喩ではないんでしょうか? その場合宮崎みたいに遠いところではなくて、大陸から近い伊都国の方が説得力があると思います。貴重な数々の遺物も、かなり強い大陸とのつながりがあったことを示唆していると思います。
はっきり言ってなんでこんなところに、こんなすごい遺物が大量にあるんだという感じですが、地元の人間でもあまり注目していない所が逆に凄いです。博物館の近所にはあの吉備真備が築城した怡土城とか、国の重要文化財に指定された高祖神社とかもあります。もちろんそれはそれで凄いんですが、こと北部九州においては鎌倉どころか奈良時代なんて最近の話だなとすら思えてしまいます。
とにかく福岡に観光に来られる方は、是非この博物館にお立ち寄りください。日本の従来の歴史観が覆る事請け合いです。もう邪馬台国もどこでもいいだろうって感じになるかもしれません。
あ、福岡市内だと板付遺跡と鴻臚館跡も推しておきます。




