表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
道楽草  作者: 十三岡繁
180/312

はじまり

 福岡県と佐賀県の県境には脊振山地というものがある。この稜線は登山道の尾根道なっている。途中いくつものピークがあってそれぞれの山も人気であれば、尾根道沿いの縦走も気持ちがいい。


 そうして歩いていると、この道はいったいつからここにあるのだろうと思わずにはいられない。通常道と言えば通り易かったり、目的地同士を結ぶのに都合がいいように作られる。特に平地であればそうだろう。川沿いの道は地形に沿っているが、川の形は時代と共に変わっていく。その点山の稜線は激しい火山活動でもない限りは、今も昔もそのままだ。


 つまりは今自分が歩いている尾根道は、多分一万年前も二万年前もおよそ人間が北部九州に現れてから、ずっと変わらない存在としてここにあるのだ。ここからはピーク近くの開けた場所に出ない限りは街は見えない。ただただ木々が生い茂り、足元には熊笹を始め、雑草が道の左右を囲み込む。


 季節ごとに違う花が咲く。人間が植えたものではない。野生に育った植物が、例えばゴールデンウィーク辺りであればミツバツツジが咲き乱れる。それは尾根道に花のトンネルを作り出す。


 この同じ風景を一万年以上前の縄文の人々も見ていたのだろうかと思いを馳せる。多分緑の隙間から見える青い空も、流れる雲も昔と同じだ。そうして尾根道ならではの吹き抜けていく風も。鳥のさえずりも当時と変わりないのだろう。


 九州北部には色々な始まりの地がある

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ