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道楽草  作者: 十三岡繁
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2001年

 アポロ11号で人類が月面に降り立ったのが1969年7月20日なのでもうすぐ55年になる。55年前と言うと結構な昔だ。インターネットやスマホ、携帯も無いどころかテレビは白黒が主流の時代だった。よくそんな昔に月まで行ったものである。


 そうして『2001年宇宙の旅』という誰もが知るSFの名作映画があるが、その公開はアポロ11号の月着陸よりもっと前なのだ。見た事のある人には納得してもらえると思うが、あの映画は今公開されても違和感がないくらいに完成度が高かった。何度見ても未来を感じる。


 映画の舞台は当然2001年なので、随分と昔の話になってしまった。もう20年以上も前にあの技術レベルに到達していて然るべきだったのだろう。まだまだ追いついていない感じがする。


 2001年ぐらいに自分が何をしていたかと言えば、丁度東京から福岡に移住した位だろう。当時2000年問題で大騒ぎしていたので、2001年よりはちょっと前位である。まだネットは一般的ではなかったし、携帯も持っていなかった。もちろん映画の様な事には当時も今もなっていないわけだが、どうも俯瞰すると技術の発展というものは予想よりも遥かに遅いように感じる。


 以前文化が加速していると書いたが、そっち方面に発展のソースが割り振られて、ベースとなる技術は足踏み状態ともいえるのではないだろうか?顕著なところで行くと原子力発電だ。日本各地の原発の設備はもう50年以上前の代物だ。エアコンどころか扇風機ですらちょっとスイッチを入れるのが躊躇われてしまうような年代物だ。


 いや、物を大切にすることは良いとは思うのだが、特に問題が起きない限りはそのまま放置してしまうというのは人間の悪い癖のように感じる。何か問題が起きない限りは改善措置をとらない。ここ最近ネットで企業のサーバーなどが攻撃されて不具合が発生したりしているが、これも根っこは同じことの様だ。システムになんら問題が起きない限りは更新しないので、古臭いものがいつまでも残ってその脆弱性を突かれる。一方自分の快楽中枢を刺激する事には心血を注ぐというのも人間の性なのだろう。だから基幹技術に比べて文化の進歩が速いのだろう。


 技術も進歩しないが人間自身も進化しないなと思う。包丁は料理には必須の道具だが、使い方によっては人を刺す事ができる。IT技術も一緒だ。人間が体ではなく思想的に進化できれば余計なところに割く労力は減ってどんどん前に進めるだろう。しかしそうはならない。旧態依然として私利私欲で動く人の為に余計なリソースを消費して進歩が妨げられる。


 しかし文化の方だけはその妨害が入らない。海賊版云々の話はあるが、こればかりは悪用のしようもない。だから突出して発展しているのかもしれない。これはこれで社会が進化する方向としては悪くない様にも思う。

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