やっつけ仕事
物を創る仕事をしているのでどうしても分かってしまうのが、所謂やっつけ仕事だ。
ものを作る仕事というものには要求される仕様や性能というものがあって、基本的にはこれをクリアすれば何の問題もない。しかし何にせよ創作ということになると、その先のプラスアルファがとても重要だ。
プラスアルファを加えようと思えば、当然その分の労力もかかる。報酬に見合っただけの仕事量は決まっているのだから、その中でキッチリとこなして行けばいい…それが間違っているとは思わない…というか正解だと思う。
しかしそれではつまらない。つまらないという事は仕事をする上で最悪だ…と、少なくとも自分自身はそう捉えている。いや、多くの創作というものに関わる人は同じ思いだと信じたい。創作の楽しさは、求められている最低限度のきっとその先にある。
だから見えてしまうのだ。建築ではなくサブカルの話をしよう。最近は小説から始まってコミカライズされてアニメ化される。そんな流れがあるが、原作小説はともかく、コミカライズでもアニメ化でもやっつけ仕事は分かってしまう。
これは自分だけではないと思う。多分その世界に触れている人であればみんながそうじゃないかと思う。じゃあ一体どこにその線引きをするのか?それは数字にも表せないし、明確な基準を設ける事は難しいだろう。でも伝わるのだ。
名作だと思う物語はたくさんある。しかしコミカライズされてその魅力を失ってしまったものも数多くあると思う。アニメ化も一緒だ。そんなに作るのに気乗りしないのであれば、そもそも仕事を受けなければいいとも思うのだが、会社組織となるとそうも言っていられないだろう。
そこが見えるから、自分は本業では独立した。やりたくない仕事は断ることにしている。そう言うと偉そうに聞こえるけども、やりたくない仕事を引き受けても絶対にいいものはできない。それは逆にクライアントに対して失礼だと思う。
独立前は仕事の選り好みはもちろんできなかった。組織として請け負った仕事が自分に振り分けられれば、好き嫌いに関係なく完遂しないといけない。それもまたプロフェッショナルとしての形だと思う。
しかし折角自分の人生を切り取って、その仕事に打ち込むのであれば、やりたい仕事…喜ばせたい人に喜んでもらえる様な仕事をしたいと、いい歳をしても本気で思っているのだ。アニメ作品を見ても、ここまで作る必要があるんだろうか?馬鹿だなーと思う事があるが、その馬鹿さ加減がたまらなくうれしい。自分もそんな馬鹿でありたい。
もしかしたら自分は世間一般で言われるところの、中二病なのかもしれない。でもそれでいい。




