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道楽草  作者: 十三岡繁
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調整力

 知人がまた一人、聞いた事の無いウィルス感染症になった。ヒトメタニューモウィルス…調べてみると感染者はそれなりにいるようだが、加齢とともに免疫がついて老人でもない限りは発症しにくいものの様だ。


 帯状発疹もそうだが、今まではそう問題にならなかったウィルスによる感染症が増えているような気がする。日本人の免疫力が下がっているのではないだろうか?


 免疫力というと何か人間中心な考え方の様に聞こえる。前にも書いた通り人体には細胞の数(すでにこれが30~60兆…全人類の1万倍)の数倍の細菌がいて、ウィルスとなると更にその十倍が存在している。なので人間は細菌とウィルスの大きな集合体であり、人間本体はその調整役をしているにすぎないとも言える。だから免疫力というよりは調整力と言った方がいいかもしれない。


 この調整力が落ちて、全体のバランスが崩れた場合に病気と呼ばれる状態になる。ではなぜ調整力が下がってしまうのか…。個人的には世界が閉じすぎなんじゃないかと思う。外部から暇なしに細菌やらウィルスやらが体内に入って来て、その度に色々と調整して学習して段々うまくまわせるようになっていく。その外部からの侵入を防ぎ過ぎているんじゃないだろうか?


 コンビニの弁当はなかなか腐らない。外食産業も加工食品も全て似たようなものだが、添加物を使って細菌を増殖させないようにしている。体内に入った細菌が少しでも悪さをしようものなら、すぐに抗生物質で皆殺しにする。敵も味方も区別は無いだろう。


 感染症対策でアルコール消毒やらマスク着用も流行ってしまった。蝶よ花よと育てられた箱入り娘がホストに騙されるように、余りに外敵の侵入を防いでいると免疫力…調整力が落ちるんじゃないだろうか?お嬢様も公立の小中学校に行って、一般庶民と交わったほうがいい。これは病原菌とは違う話だけども…。


 なぜ特に最近になってそんな事が…という部分については個人的に思う所はあるけれどもここではやめておく。自分で情報収集ができて、自ら考える力のある方々であれば多分同じところに行きついているんではないかと思う。調整するにあたって狭い視野で余計な事をしたやつがいたような気がする。但しそれが正解かどうかは今の所分からない。

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