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道楽草  作者: 十三岡繁
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甲羅干し

 家の近所の川に亀が住み着いている。川とは言ってもその幅は10mにも満たない街中を流れる小さな川だ。


 両岸は洪水対策でコンクリートで固められていて、高さは3、4mぐらいはあるだろうか。のぞき込まない限りは街中にぽっかりと開いた溝の様だ。その川底には両端に水面から出たフラットなコンクリート部分がある。水量が多くなれば隠れてしまうのだが、普段はわずかな高さながらも水面から顔を出している。天気のいい日には住み着いた亀たちがそこに登って甲羅干しをしている。


 亀は最初気付いたときには数匹くらいなものだったが、いつの間にか20匹ぐらいに増えていた。甲羅干しをしている彼らは、川の水の方には背を向けて首を伸ばしてコンクリートの護岸沿いに空を見上げている。その様子を自分も上からぼーっと眺める。あんまり長くそうしていても街行く人から不審がられるので、ちょっと眺めては自分の仕事場へと歩みを進める。


 自宅から仕事場までは歩いて30分ぐらいの距離だ。結構な街中なので、大通りに出て歩けば両側にはそれなりに高い建物が立ち並ぶ。上から見ればこの通りも街に開いた溝みたいなもんだろうなと思った。そうして建物の上に見える切り取られた空は亀たちが見ている景色とそう変わらないのかもしれない。

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