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道楽草  作者: 十三岡繁
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クラウド

 街を行き交う人々の姿を見て、不思議な感じがすることがある。勿論ほぼ全てが見知らぬ他人なのだが、それぞれの人にはそれぞれの人生があって、それぞれの家族がいれば住まいもある。そのすべての人が個別に移動して働いて生活して…しかしそのバラバラな人々が全体として社会を構成しているわけだ。実に社会も複雑だがなんとなくバランスを保って維持されている。


 何が不思議なのかはアリが分かりやすい。アリの場合一つの巣に属している個体数でもものすごい数になるが、その一匹一匹には特定の役目があって、全体で一つの集団として存在している。話し合ってそれぞれの役目を決めているようにも見えないし、どうも生まれたときから定まっているらしい。という事はその個々の行動は、遺伝子に刷り込まれた情報が元になっているという事になる。本当にそうなのだろうか?


 小魚の群れが海中で一糸乱れぬ行動をしている動画を見ることがある。捕食者が来れば群れ全体で一斉に進行方向を変えたりする。誰が最初にそう動くと決めるのか?一匹が動いたのを見て、隣の魚がそれを見て真似している…それが連鎖して…という風には到底思えないスピードだ。リーダーがいるようにも見えない。なのになぜ全体としてあんな動きが可能になるのか?


 個々が持つ遺伝情報で全ては説明できない様な気がする。それはつまり各個体内部にある情報だけで行動を決定してはいないという事だ。最近はパソコンでもスマホでもネットに常時接続するのは当たり前になってきた。通信速度が向上してきて、各端末内にアプリをインストールしなくても、WEBを通してプログラムを実行できるようになった。生物の不思議もそれと同じなんじゃないかと思ったりする。


 生物の各個体は端末みたいなもので、別の場所にある何かを受信しているだけ…そう、クラウドやマスターコンピューターみたいなものがあるのかもしれない。いや、もしかしたら各個体がその大きなクラウドの構成要素で、全体として何か大きなひとかたまりなのかもしれない。それはまさにインターネットの様なものだ。


 そうして情報のやり取りはどうしているのか?なんとなく量子もつれという現象が怪しいような気がしている。量子力学によれば組にした量子同士は、どれだけ離れていても一方の状態が確定した時にもう一方の状態が確定するという事だ。この現象を量子もつれという。つまり情報が光速を超えて瞬時に伝達する…正確には伝達ではないのかもしれないが、現象としてはその様に見える。


 個々の生命体が端末であっても、個体は個体じゃないかと言われればその通りだ。しかし個体内で情報に起因する思考も行動も完結していないとなれば、テレパシーや虫の知らせみたいな現象もすんなり理解できるような気がする。



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