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34 こんなん出ましたけど?

サブタイトル。

わかる人だけ笑ってくださいませ。





「怖すぎるクローンサイト家!」


 皆様の総意!!


 他人に成れて良かったと思う瞬間ですわね。


「お陰で両親が同じ兄妹は俺を入れて十六人だ」


 続いて投下された衝撃発言に、皆様お口パカンとされていますわ。わたくしは知っておりましたが。改めて聞くとやはり凄いというか・・・


「やはり、何か妙な気が致します」


「何が?」


 思わず口から出た独り言でしたが、ユウジーン様がそれを拾ってくださいました。


「ディケイドの兄弟は、こう・・・、双子、三つ子、五つ子と、やたら生まれて来る人数が多いのです。最初はアイラ様がそういう体質なのかとも思ったのですが・・・。あの、殿方にするお話ではないのですが、その、女性の排卵て、普通、ひと月に一個だけなんです。ですから出産も一人なのですわ。稀に二つ排卵されたり一つの卵が分裂して双子が生まれる事もありますが、それ以上になりますと排卵異常が疑われますの。でも、これは人間であればのお話ですわ。それに、一度に四人もの父親の違う子供を身籠るというのは、排卵過多とは全く別の問題で、その・・・、()()()()()()()()()です」


「人間()()という事は、他の生物ではあるという事?」


「えぇ、わたくしも詳しい訳ではありませんが、確か猫などは、そうだと耳にしたことがございます」


「へぇ~」


 生物の進化の多様性の不思議。


 これは、個ではなく種としての生存本能とでもいうものでしょうか、より良い(能力の優秀さや、より環境に適合するとか、様々な条件に於いて)子孫を残し、種の未来の生き残り為の、取捨選択。世代を繋ぐための仕組みは、多種多様だ。


 一度に四人もの父親の違う子供を身籠るという事も、もしかしたら、そうした進化の漣の一つの現象であるとしても不思議は無いが、飛び切りの異種、ファンタジーならではの存在との混血の不思議な系譜の存在する世界である限り、考えるべき可能性は他に有るのかも知れない。


「あの、これはホントに今ふと浮かんだ疑問なのですが、この国には、王家やオパールのように、違う存在の血が受け継がれている家門がございますでしょ?それで、もしかしたら、知られていないだけとか、途切れたと思われている家門の血筋にも・・・」


「同じように違う存在を祖に持つ家門が有るかも知れないということだね?」


 ちなみに王家にはドラゴン、オパールには妖精(何の妖精かまでは知らないが、古の存在だとは言われている)の血が流れていると言われていおり、遺憾ながら、単なる伝承とかお伽噺だと一笑に付せないだけの特徴が、どちらも身に備わっているのだ。


 だが、相手の存在如何では、傍目どころか、子孫本人ですら、身に備わる特徴に気が付けない場合すら、可能性は否定できない。


「えぇ、想像に過ぎませんが」


「いや、十分に有り得る事だろう。そうか、盲点だったな」


 断定されるとちょっと焦る。


「えぇ、あの事件では魅了や洗脳に関する魔法の関与は全く無いという事に成っていますが、次元の異なる存在の理のようなものであった場合、検知出来ないだけで似たような現象が起きていた可能性は十分ありますね」


 え?あの、皆様?


 状態異常と検知されない魅了とか怖すぎます。


「代を重ねるうちに血が薄く成ったとしても、突然先祖返りが起こる場合も有りますしね。一族に自覚が無い事もあり得ます」


「すると、魅了を理とする淫魔系の血筋である事も考えられますね」


「だとすると、十五年前のあの事件の真相が変わるな」


「今更どうなる事もありませんが、少なくとも関係した者達の心は慰められるかも知れませんね」


 何かいい感じに話が纏まりつつありますが、あの、これ、わたくしの思い付きに過ぎないお話ですわよ?


 万一正鵠を射ていたとしても、一つ疑問があります。


「でも、それをどうやって確認しますの?」


 事件当時もあらゆる検証はされた筈なのです。


「王家やオパールのように目に見える形の特色が受け継がれる場合は疑いようも無いですが、先ずその存在の正体から特定しなければなりませんわ」


 あら?もしかしてわたくし作れるかしら?

 でも仮定に過ぎない未知の存在の種族を特定するなど、雲を掴むようなお話ですわ。


「おい、ちょっと、それ・・・、まさか決定事項じゃないよな?」


「え?何が?」


 唐突に、ちょっと焦った感じのディケイドが、話に割り込んで来ましたわ。


「だから、うちの母親が淫魔系の血筋ってやつ。その流れで行くと俺や弟妹達もその血筋て事になんねぇか?」


「あ!」


 まあぁぁ、大変!予備軍が十六人も!!


 でもディケイドには淫魔系の血筋というのはピンと来ない。


 どちらかと言うと、健康優良児のやんちゃ坊主お兄ちゃん属性という感じだ。


 いや、数いる弟妹の中には、疑いを否定しきれ無さそうなのが、居なくも無い気が・・・?


「あぁ~、えー、あー、いや、まだ可能性の段階だし、その場合も、何と言うか、君の母親がその、特別強烈な先祖返りの可能性が大きそう。かな?」


「いや、この際ディケイドに協力して貰って調べさせて貰ったら?どちらにしろ、一番血の濃い直系な訳だし」


「そうだね、ディケイド、診させて貰ってもいいかな?」


「診る?」


「うん。まぁ、普段人に使わないんだけど、鑑定?ただ、これを使うときにはちょっと問題もあってね」


 エイリアス様の仰っるのは、恐らく竜眼での鑑定のことだろう。


 問題というのは、竜眼を現す時、王族の纏う気配はドラゴンのそれに迫るものとなる。その時その場に居た者達は一様に、突然その場にドラゴンが出現したような威圧感に襲われるのだ。気の弱い者などひとたまりもない。


 気構えが出来ていなければ、失神で済まない場合が有るという事だ。


「君に相当の圧が掛かるし、負担になると思うけど、構わないかな?ディケイド」


 え?君にとか仰ってますけど、圧が掛かるのはこの場に居る全員ですわよね?わたくし達には訊かれませんの?


 え?常識?確かにわたくし、存じ上げていますけど。


「お?おぉ、やってくれ。それで淫魔の子孫疑惑が晴れるなら大歓迎だぜ」


 こちらは多分王族が竜眼を顕現させることの意味を理解しているとは思えないディケイド。


 一瞬気圧されながらも了承しましたが、皆様生温かい眼差しをディケイドへ送られる。


 何言っちゃってんの君?疑惑が晴れるどころか決定するだけなのに。


 えぇ、皆様満場一致のご意見ですわね。


「そう?」


 ふふ。

 ディケイドの決意に、エイリアス様が腹黒くお笑いになる。


「では、気をしっかりと持って」


 エイリアス様のお言葉に、護衛の方々がすすすーっと距離をとられた。


 え?そんな遠く!?


 すかさずわたくし達も距離を置く。


 残されたディケイドが、え?え?と慌てて周囲をきょろきょろ見回すが、すまん、わたくしも顕現する竜眼に接するのは初めてなのだ。どれだけの影響があるかわからないので、ガクブルの失態だけは避けたいのだ。


 え?乙女なら、怯えて失神とかの方が可憐?


 バカ言っちゃいけませんわ。

 怯えてギャン泣きの挙句失禁とかなったら失うものの方が大きいですわよ!?


 側近候補の皆様に合わせて下がりましたが、これで十分かどうかも分かりませんのに。






お読みいただきありがとうございました。

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