弄りと今後
これからこの物語を進めていきます。
いやぁ。やっぱり学園物が書いてて一番楽しいんだよね。
「そうですね、では……」
…目の前では、神薙と女性が打ち合わせをしている。
そして、俺は座ってそれを眺めている。
ちなみにわいずみは居ない。あいつは先に帰った。
「………」
出されたお茶を飲みつつ、真顔で打ち合わせを眺める。
このお茶美味いな。
「さて、とりあえずこんな感じでいいわね」
打ち合わせは一通り終わったらしい。
すると、女性はなぜか俺を見て…
「それで?この子は一体誰なのかしら?彼氏?きゃー早いわねー。青春ねー」
「ちょちょ、まだそんなんじゃないですって」
明らかにニヤニヤしている女性。慌てて顔を横に振る神薙。
「ふふ、まだ…ね」
「そ、それは言葉の綾というか、違うんですよ」
こうなったら諦めるしかないのか、力なく机に突っ伏する。
「それで。ナギちゃんはこう言ってるけど、君はどうなの?」
女性はこちらに顔を向け、微笑みつつ訊いてくる。
俺は手を顎に当て、少し思考する。
「そうですね。神薙さんは今日の昼付き合ってると言ってましたけどね」
神薙に微笑みつつ答える。
更にニヤニヤが加速する女性。慌てふためく神薙。
心のなかで「ごめん」と謝りつつ楽しむ俺。
これ後で怒られるな。まいっか
「ちょ…あれは違うじゃん」
「何が違うのかな。俺はあれのせいで和泉に怒られたんだけどね」
「うぐ…そ、それはごめんだけど。あそこを切り抜けるにはあれがいいかなって」
俺は苦笑し、神薙を撫でつつ追い打ちをかける。
「そうだな。お陰様で俺のこの先の学校生活は危険なわけだ」
「うぐぐ…」
この言葉が効き、ノックダウンし突っ伏する。
女性は堪えるように笑う。
しかし、段々と抑えられず笑いは大きくなっていく
「あはは、君たち最高」
ついには笑いすぎて涙まで浮かべている。
突っ伏している神薙はピクリとも動かず、俺は苦笑する。
「あは、打ち合わせなのにすいません」
女性は「いやいや…」と笑いながら手を横に振る。
「面白いものを見れたから良いよ」
「面白くないですよぉ」と突っ伏しながら神薙は弱々しく呟く。
それを見て、女性はホッとしたような笑みを浮かべる
「でも、良かった」
「どうしました?」
俺はその呟きが気になり訊くことにする。
女性は俺の問に微笑みつつ…
「いや、この子。この歳で学校行ってなくてさ。
昨日学校行くって言ってくれたんだけど、輪に入れるか心配で…」
と言った。
なるほど、まあ確かに学校行くと言ってくれたのに輪に入れず後悔し、最悪学校に行かなくなってしまうと紹介した側が申し訳なくなるね。
「まあ、神薙の場合可愛いから問題ないと思いますけどね。今日だって質問攻めされてましたし、仲良くなるのも時間の問題でしょう」
隣から「うー」とうめき声が聞こえる。
その言葉を聞いて女性は更に笑う
「あっはっは、間違いないね……でも。君みたいな子が居てくれて本当によかったよ」
まるで母親が自分の子を見守るような笑みで神薙を見つめる。
俺はそれを見て、「この人は良い人だな」と勝手に思ったのだった。
「ほら、ナギちゃん。そろそろ帰る時間よ」
「うにゃー……」
神薙はまだいじけている。
でももう夕方だし帰らないとな。神薙を送らないと
……って。こいつ家どこだ?
「ごめんね。送れなくて」
申し訳無さそうにする女性。
いや、迷惑かけちゃうから問題ないのに…
「大丈夫だよ。万丈君も居るし」
そそ。俺もいるしって俺…?
俺特に守れないのだが、へへ。心配だな
「まあ、大丈夫ですよ」
とりあえず強がっておくことにした。
まあ、なんかあっても最悪身代わりになればどうにかなるだろう。
と、思い。神薙とともに場を後にする。
「さて、神薙」
俺は隣を向いて少し訪ねようとした。
しかし、それは叶わなかった。
…隣には、頬を限界まで膨らませているフグ…ではなかった。神薙が居た。
「えっと、どうしたんですか?」
俺は恐る恐る訪ねてみる。
「なんでもないですよ」
と、簡潔に返されてしまった。
いや、どう考えてもなんでもないわけないだろう。
ていうか本当に頬を膨らませる人っているんだな。
アニメ漫画だけかと思っていた。
「いや、なんか悪いことしちゃった?それなら謝るけど…」
とりあえず何かあったことはわかったので、謝ることにした。
「謝らなくていいです。結局は私のミスなんですから」
神薙のミス。というと先ほどの会話で出た「昼休み」の話だろう。
そういえば先ほど少し煽ったんだった。忘れていたぜ。
「いや、あれは話の流れといいますか。なんていいますか。
そ、そう。俺あれ嬉しかったからさ」
「へっ?」
俺の一言により神薙は顔を赤く染めた。
えまってこれやばくね?顔赤くなるまで怒ってるって相当では?
「すいませんでした。ほんまに」
「い、いや。何謝ってるの?謝らなくていいって言ったのに…
それにもう許したから…ね?」
謝らなくていいと言った神薙。いや天使か。いやいや神か
「ありがとう。んで、これからどうしようね」
俺はこれからのことを不安に思った。
「というと?」
神薙の頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。
「いや、君が付き合ってる宣言しちゃったからさ。これから学校どうするかっていう」
俺は今日の昼からずっと考えていたことを神薙に問いかける。
いや本当に。この子のプレミのせいでとんでもないことになっちゃってるからね。
「あー。何も考えてなかった。本当にごめん」
手を合わせて頭を下げる神薙。俺はそれに頭を上げるよう促してから、一つの提案をする。
「そうだな。考えた中で一番良い案は、付き合ってるフリをし続けること」
そう。結局この作戦が一番いいのだ。
もう付き合ってる宣言しちゃったんだし、別れたっていうのも言いづらいし、それに男がいるとなると流石に男子も引くと思うから。
ただ一つ問題があるとすれば、俺の立場だよね。
結局男子からは恨みを買うだろうし、この先めんどくさいことになるのは確定だろうな。
「うーん。やっぱりそれが一番いいんですけど、大丈夫なんですか?」
神薙は少し顎に手を当て考えているフリをした後。俺に質問をした。
「大丈夫って、なにが?」
俺はその質問の意図がわからなかったため、問いかける。
質問に質問を重ねるなとか怒られそうだけど許してくれ。
「いや、私なんかと付き合ってる設定でいいのかなって」
「いや、普通に男目線としてはそっちのほうが最高だよ。可愛いし」
俺の一言にまた顔を赤くする。待ってまた怒らせた?
「でも、結局そうなると俺の立場が、男子から恨まれるのはめんどくさい」
そう。結局この案は俺の立場が消失することも条件の一つなのだ。
いやまじで転校してきた美少女の彼氏とか妬み要素抜群だし。
「そっか。どうしようね」
ぐぬぬ。と悩む神薙。
「まあでも、俺がこの立場に慣れればいいんだし、俺はこの案でいいと思うよ」
うん。まあ、どうにかなるだろう。知らないけど。
それに男子に妬まれるのを回避するより美少女の彼氏という立場を取ったほうが良いと思う。
ていうか美少女の彼氏っていうのはどう頑張っても妬まれる存在なんです。
「うーん。万丈君がそれでいいならいい…のかな?」
と、そこで俺は一つ思ったことがあるので、それを口にする。
「なあ、てことは俺らさ、付き合ってるじゃん?だったら名前呼びにしね?」
「え?」
いや。まあ、名前呼びにしたほうがいいよね。
付き合ってるんだし。
「いや、付き合ってるのに苗字呼びってなんか違和感では?」
「ま、まあ。そうだね…それじゃあ。ゆ、祐希君」
「おう。海凪」
名前を呼ばれたので。微笑みつつ返す。
すると。海凪は突然顔を真っ赤に染めて、倒れてしまった。
え、なんか爆発した音がした気がするんだけど、てか倒れられたら困るんだけど…
と、倒れた海凪を支えつつ、俺は困り果てた…
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