説教
画面の皆様こんにちは。
まず始めに、鬼ごっこシリーズ。第弌部があれにて終了でございます。
そのため、これからはこのシリーズを重点的に書いていこうと思います。前に宣言した「このシリーズ進める」を実現させます。きっと
「………」
「………」
沈黙…沈黙…沈黙…
俺達の間には、ただひたすらに無音が流れている。
気まずい。とても気まずい。
今は放課後。しかし帰宅することも友人と喋ることもなく。
ただ椅子に正座している。
目の前には、わいずみ。いや…和泉さん。
「お前。狙わないとかどうとか言ってたよな。なあ、親友よ」
とても心が痛い。親友の一言一言が心に刺さる。
「…はい。そう申しました」
「なあ。じゃあなんでこんなことになっているかわかってるか?」
和泉さんは、腕を組み、俺の目の前に立っている。
その表情は、朝までのわいずみとは違い。
…鬼。阿修羅。まさにそのような言葉が似合うほどの形相。
憤怒、嫉妬、殺気。和泉さんから負の感情をとても感じる。
…なぜこうなったのか。それは朝に遡る。
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「「えぇぇぇぇーーー!!!!」」
俺達二人は、コンマ一秒もずれずに同時に叫んだ。
「お、なんだ。お前ら知り合いだったのか。くぅー妬ましい」
いや教師。妬ましむな。
後あんたすげえな、周りの目見てみろよ。見開いてるぜ。あんたもうちょい驚けよ
「そんじゃあ知り合いみたいだし、ちょうど隣空いてるし。万丈の隣行け」
「は、はい…わかりました」
路地の美少女こと。神薙は戸惑いつつもなんとか頷き、こちらへ歩いてくる。
(いや…まじ奇跡にも程があるぜ…)
昨日路地で神薙を助けただけでも奇跡なのに、まさか今日その神薙が転校してきて、更にうちのクラスの隣の席になるなんて、誰が予想できただろうか。
「そんじゃあ。全員仲良くするようにな。後手出すんじゃないぞ男子」
神薙が隣の席に座ったのを見計らって教師はHRの終わりを告げる。
その後、少しの沈黙の後。教室中が騒がしくなった。
クラスの奴らは次々に席を立ち、俺の隣の席のもとへ行き、神薙に質問攻めをする。
『なぜ転校してきたのか』『どんなキャラを演じたのか』『付き合ってくれ』など様々。
…いや最後のは違うだろ。なにやってんだ
いや可愛いのはわかるんだが、いきなり告白すんな。
ほら、神薙だって困ってるぞ。
「あ、あのあの…」
神薙は焦っている。まあ、予想は出来たよね。
声優やってて、こんだけ可愛くて、しかもそれが転校生として自分たちのクラスに来たんだよ?
そりゃ誰だって質問したくなるよね。まあ、限度ってのはあると思うけど
慌てふためく神薙を見ていると、時間が経ち生徒たちは解散していく。
「はあ、疲れた…」
神薙は生徒たちが解散していくと、机に突っ伏する。
まあ、あんだけ質問攻めにされたらそりゃあ疲れるよな。
ご愁傷さまです。はい…
「あ、そうだ。ねえ君」
突っ伏していた神薙は何か思い出したようにこちらを向いた。
「あー…」
あんな路地でも出来事があったのにも関わらず普通に接することが出来るほどの精神が俺にあるはずもなく、関わらないようにしたいため。目を逸らす。
「ねえって。無視しないでよ」
肩を揺さぶられるまでされるとさすがに知らないフリをすることは出来ないか。
しゃあねえ。さすがに話すか
「えっと。なんですか?」
一応笑顔を貼り付けて、赤の他人のフリをする。
「その…お久しぶり。でもないですよね。あはは」
「ああ、そ。そうですね。昨日ぶりデス…」
流石に無理でした。
いや。すごい気まずい。
なんで路地でナンパされてるの見つけて助けるために恋人のフリをした人が隣なんだよ……
恨むぞあの教師。
お互い押し黙り。次の言葉を考えていると、教師が教室に入ってきた。どうやら授業が始まるようだ。
正直とても助かった。
そうして。質問攻めの時間が休み時間のたび行われ。気づけば昼休み。
ちなみにほとんど喋れていない。
「神薙さん俺達と食べようぜ」「男と食べるわけないでしょ。私達と食べようよ」
などと、神薙の前で繰り広げられる。
神薙すごい困ってるぞ。気づいてやれ。
とまあ、関わるのがめんどいため何も言わずに昼食を食べようとする。
すると、腕がグイッと引っ張られた。
「す、すいません…私。この人と食べるんで」
クラスの奴ら全員呆気にとられている。
当然。俺もだ。
「え、神薙さん……なんでこいつ?」
名前は忘れたが、男子の一人が声を上げる。
いや。俺も訊きたい。なんで俺?
「そ、その……そ。そう!この人と付き合ってるんで!!」
………え?
またまたクラス全員が呆気にとられた。
神薙は振り向いたが、その顔には「ごめん」と書いてあった。
そして、体感10秒ほどー実際には1秒ほどだろうークラスの時が停止した後。壊れた時計の針がゆっくりと回りだすように時が動いていき、やがて全員大口を開け…
『えぇぇぇぇぇーー!!!』
と、この瞬間だけクラスが一体となった。
そして、その騒動にもちろんいた和泉に捕まり、今に至ると。
そういうわけでございます。はい
「いやあの…ほんとに違うんですよ…」
「あ?」
少し声を出すと殺気がすごい。いや本当に違うんですって。
俺だって知らないの。神薙が勝手に言ったの。
「神薙さんが嘘つくと思うか?」
「いや思わないけど本当に付き合ってないんだって。本当だって」
神薙は嘘つくの苦手なほうだと思っていたのに…
質問攻めされてるときも嫌そうな顔が出てたし。
「………なーんてな。嘘だよ」
「…え?」
数秒の沈黙の後。和泉から殺気が抜け、先ほどまでとは真反対の笑顔の表情をした。
いや、え?これ全部演技だったん?
「あはは。いやぁ少し演技してみたけど、これ面白いもんだな」
「いや。俺は死ぬ気でいたんですけど」
本当に今日が命日かと思ってた。
それくらい殺気がでてた。まじで
「それはお前が悪いからしょうがない」
「本当にすいませんでした」
「ていうかお前神薙さんといつ知り合ったんだよ」
絶対に聞いてくるであろうと予想していた質問を繰り出すわいずみ。
うむ、昨日のことを正直に話すかどうか…
そうだな。話さなくてもいいかもしれないけど、誤解をなくすためにも言っといたほうがいいか。神薙が嘘をついたのも昨日のことが原因だろうし。
「えっとな。実は昨日…」
俺はわいずみに昨日のことを全て話した。
するとわいずみは納得したように頷き…
「なるほどな。ラノベ主人公かよ」
と、ツッコんだ。
うん、俺も思ったよ。ラノベ主人公かて。
でもさ、現実に起こっちゃったんだからしょうがなくないっすか?俺悪くない。悪いのはあのナンパ共。
と、誤解を解き雑談をしていると。扉が開き神薙が入ってきた。
「ごめんなさい。遅れました」
そう。俺達が残っている理由は神薙の護衛もとい一緒に帰るため。
ちなみにこれはあの担任からの指示。流石に大人ということで常識は持ち合わせているらしい。
美少女一人だと危ないとのことで知り合いである俺と、その友人であるわいずみが護衛となった。
んで、なんか色々あるらしく俺らは、待たされてその間に怒られていたわけだ。
「うし。そんじゃ行くか」
神薙も来たので、俺達は荷物を持って学校を出るのであった…