全寮制高校在学守田稜希
薄暗い部屋にカーテンの隙間から朝日が流れ込んでくる。その光で彼は眩しそうに目を開ける。
「ふぁあああー。もう朝か。」
彼の名前は守田稜希高校三年生だ。稜希は町の全寮制の高校に通っている。外出が許されるのは、放課後だけだ。
稜希は朝の支度を半目で済まし、制服に着替える。そして、家を出る。
「おっと。鍵鍵。」
鍵を閉めるのを忘れていた。鍵は必ず閉めなければいけない。寮だからといって油断は出来ない。高校生にも悪い奴は存在するのだ。
鍵を閉めた稜希は、校舎へと向かう。寮のいいところはここだ。校舎までの距離がとても近いのだ。なのでほとんど遅刻がない。
稜希は、クラスでは割と人気がある方だ。朝席に着くと、先に来ている友達がやって来る。彼は峰岸咲翔。こいつはなかなか騒がしい奴だ。稜希とは昔からの仲だからよくわかっている。
「稜希さ、昨日のテレビ見たか。」
昨日は二人が好きなテレビがやっていたのだ。テレビの話も終わり、チャイムが鳴った。いつもならこの音を聞くと憂鬱な気分になるが、今日は違う。先生の都合で時間割変更があり、稜希の好きな教科ばかりなのである。
「おい、稜希起きろ。」
「ふぁあああー寝ちゃってたか。おす、咲翔。」
稜希は最後の授業をぐっすり寝て過ごした。稜希は外の西日をちらりと横目で見た。すると真っ直ぐな橙色の光線が稜希の眠気を覚ました。
「帰るか、咲翔。」
稜希たちは他愛もない話をしながら校舎を出た。少ししたころ稜希は忘れ物に気が付いた。
「あー忘れ物した。咲翔先帰っといて。」
稜希は面倒な顔をしながら、校舎へと走った。少し息が上がって来た頃、教室に着いた。自分の席へと鼻で息を整えながら歩く。そして、机の中のノートを手に取った。すると、何だか背後に気配を感じ、振り返る。
「うっわ!びっくりした。」
そこには、同じクラスの女子生徒が少し驚いた顔で稜希を見ていた。