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リヤン 〜魂の絆~  作者: ゆめ猫
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第21話 国都

 その夜庭に出て風にあたっていると、ホイットがやって来た。


「眠られへんのかぁ?」


「ホイちゃん」


 2人っきりで話すのは初めてだったから、少し驚いた。


「てっきり女の人しか興味ないのかと思ってたよ」

 俺は笑ってそう言った。なぜだろう。ホイットといると自然と明るくなれる。


「酷い事言うなぁ、タケちゃんの事こんなに愛してるのに」

そう言うとホイットはベンチに座った。

「でもな、たけちゃん。1人で何でも抱え込んだらあかん。もうそろそろ6人で考えまひょ」


 俺はその言葉を聞き住職幸在の言葉を思い出した。同じ事を言われたな……。


「甘えている事にはならないか?」


「甘えてええんや。甘えて頼る事がその人への愛や」


「愛の話か、なら邪魔か?」

ユキナがやって来た。


「いや、邪魔は僕です。退散退散」

ホイットはそう言って部屋に入った。


「健、何かあったら連絡しろよ」

皆心配してくれている。嬉しかった。


「連絡出来たらな!」


「それもそうか、ま、あたし達は離れていても一緒だから良いか」

そういうとユキナも入って行った。


 翌日。俺と豪、穂乃花は荷造りをし馬車に積み込んだ。


「道中気をつけてや」


「本当に本当に気をつけて下さいね」

琴音はまた泣き出した。


「じゃあな!」

ユキナは琴音を抱き寄せながらそう言った。



「参ります」


 いよいよ国都に向け出発だ。3人は手を振り別れた。

 不安が無いと言えば嘘になる。だが、みんながいる。応援してくれるコマンスマンの村人達もいる。不思議と晴れ晴れしい気持ちになっていた。


「ハレルヤ」


"はい、健様"


「今王都に向かっている」


"はぁ、存じ上げております"


「王に直接話がしたいんだ。トレートルの事もあるしな」


"左様ですか。国王様にお伝え申しておきますので、ご安心下さいませ"


「話してくれるのか!?」

ハレルヤの意外な言葉に驚いた。


"はい、私は勇者様の良きアドバイザー。あれから私も色々考えました。全て健様にお任せしてしまい、果たしてそれで本当のアドバイザーなのかと……"


「ちょっと待ってくれ。なら、俺達は捕えられる事はないのか?」


"わかりません"


「えっ!?」


"国王様のご機嫌もありますので。ただ城には入れるよう手配致します。勇者様とお名乗り下さい。それと国王様にお目通りは出来ます。私の出来ます事はここまででございます。後はお話次第という……"


「分かった。それで充分だ。ありがとう」


 夜になり馬車はリーヴの街についた。川や湖があり、素晴らしい街だった。


「ここで今日はお泊まり下さい」


 3人は勇者の家に行った。グリーンを基調とした鮮やかな部屋。ソファーの柔らかさが疲れを癒す。


「穂乃花、先にお風呂に入るといい」


「うん、そうするね。ありがとう」


「豪、疲れてないか?お腹空いてないか?」


「お腹はすきもした」


「よしっ、先に食べよっか!」


「はい!」


2人は食卓についた。


「豪の生まれた街はどこ?」


「ヤユちゅう小さな村です」


「いい所?」


「なんもん所です」


「豪、なんもんが分からない」

俺はそう言って笑った。


「いやあ、困りもしたな……」

豪も笑った。久しぶりに豪の笑顔を見て安心した。


「ひどーい、待っててくれてもいいじゃない」

穂乃花は髪を拭きながら、そう言い頬を膨らませた。


「腹が減っては戦はできぬ!です」

豪もそんなことを言うのかと、正直驚いた。


 穂乃花はバスタオルを肩にかけ、チーズにかぶりついた。


「健さん、ユキナさんみたいに呼び捨てで呼んでもいい?」

穂乃花は笑顔でそう聞いた。


「もちろん!」


「豪さんもいい?」


「いいです!」


「私の事はほのって呼んで。折角こうして3人だけが来たんだもん。何か特別な物が欲しいでしょう」

穂乃花は嬉しそうに笑った。


 穂乃花は女の人だ。きっとここに来るのに相当な勇気がいったに違いない。よく決断したな。留守を預かる3人もきっと気がかりに違いない。俺にとってこの5人は素晴らしい仲間となった。


 朝日を浴び俺達を乗せた馬車が走る。頬にあたる風は少し冷たく感じる。やがて小高い山の上に建つ城が見えた。

 大きな川が流れ長い橋を渡ると、沢山の家が城を囲み所狭しと建っている。ベージュを基調としたその家並みはとても美しい。

 やがて整備された、なだらかな斜面をゆっくり登って行く。色づいた葉が道の上に被さり、散った葉はまるで絨毯のようだった。

 石と鉄で出来た頑丈な城門の前に兵士が立っていた。


「どちら様でいらっしゃいますか?」


「勇者の健です」


 そう言うと大きな城門が開き、馬車は進む。広い庭園を進み馬車は止まった。


「こちらです」


 3人は馬車から降りると執事に案内されるまま、城の中に入った。天井の高い広い部屋から廊下に向かい、豪華な扉があった。


「こちらは謁見の間でございます。国王がいらっしゃいます」


 そう言って扉を開けてくれた。広く長い部屋。遠くに台座があり国王らしき人が座していた。前に進む。

 王と話がしたいと思ったが、なにぶん礼儀作法が分からない。豪が膝をつき頭を垂れたので、俺も真似てみた。


「勇者健。どこにおる」


「私でございます」

顔だけを上げそう答えた。


「なにゆえこの王に歯向かう」


「申し訳ございません。コマンスマンの村での皆の様子に心を痛めましてーー」


「お前の国ではあるまい。」


「はい」


「勝手な真似は許さん!」

大きな声ではなかったものの、その声は威厳に満ちていた。

 勝手なのはどっちだ。人を勇者に仕立てあげ、不自由な暮らしを強いた。腹が立った。だが、住職幸在の言葉を思い出し押し殺した。


「はい。申し訳ございません」


「王をないがしろにした罰を受けよ」


 王がそう言うと兵士達に囲まれた。3人は後ろ手に縛られた。


「王様、私の話もお聞き下さい」


 俺が叫ぶと国王は椅子から立ち部屋から出て行った。兵士達に連行され、3人は地下牢に入れられてしまった。窓もなく暗い中、鉄格子を閉める音だけが響いた。





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