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異世界でも貴女と研究だけを愛する  作者: 香宮 浩幸
第三章 魔人の復活と王都への旅編
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第三十九話 あっけない幕引き

本日は少し短めです。いろいろと忙しかったもので……


代わりに連休中はなるべく一日二本投稿できるように頑張ります。


:追記 九月十五日 15:41 一部誤字等修正しました。


2017年10月18日 誤字修正


「おい、貴族様の馬車だぞ。……野郎ども、丁重にな」

「へい、ゾディア様」


さて、周囲の茂みから現れたのは、俺の光魔法<生命探索ライフエクスプロール>の結果通り五人だった。……容姿を見る限り、盗賊か。


「まずは護衛の騎士をたたんじまえ。その間に、俺がそこに出ているガキ二人をさっさと捕らえる。……女の方には手を出してもいいが……殺すなよ」

「分かりやした」


さて、リーダー格のゾディアという男の狙いはどうやら俺のようだな。……腕の筋肉の付き方を見るにかなりの剣の使い手のようだし……しょうがない、こいつを潰すか。いや、その前に情報を聞き出しておこうか。


「ほら、ガキ。突っ立てると死ぬぞ」

「ひ、ひい。…と、盗賊」

「ああ。違う。俺たちは盗賊なんかじゃねえ、スマートな裏稼業をやってるんだ」

「ど、どういうお仕事なんですか」

「ああ、しょうがねえ。教えてやるよ。奴隷の売買に、貴金属を乗せた馬車を襲って、街の裏オークションに流しているんだよ。どうだ、すげえだろ」

「……そうですね」

「ははっ、すごさに声も出ねえか」


呆れてものも言えないだけだよ。あほ過ぎるだろ、こいつ。……たぶん純粋に武力だけでこのポジションにいるんだろうな。……こういう盗賊団とかって、脳筋多いし。はあ、こいつに話を聞くだけ、無駄そうだな。


「さてと、そろそろ拘束させてもらおうか……両足切り落とすか」

「ひとまずお前を行動不能にさせてもらおうか」

「あん、なめた口利いてると、首、切り落すぞ」

「それをやられるのは、お前だな。町の処刑台の上でやってもらえ」

「てめえ……いい加減に」

「…<圧力低減ダウンバースト>」

「ウギャ……」


俺の詠唱とともに、男の手足が吹き飛んだ。


「な、なにを……」

「お前みたいな馬鹿に何を言っても理解できないから言わないよ。まあ……失血死してもおかしくないからその保険だけはかけておくかな…<治癒キュア><血液浄化ブラッドクリア>」




いい加減、男の言葉を聞くに堪えなくなった俺は、即座に魔術を詠唱した。発動した物理魔法<圧力低減ダウンバースト>の効果で、男の血管内の血液を蒸発させて、手足を吹き飛ばす。慈悲で失血死と感染症の予防だけはしてやったが、まあ二度とこんな裏稼業はできないだろうな。


「グギャア」

「ど、どうした」

「こ、この騎士強すぎ……ガフッ」

「お、おい」

「<聖騎士ホワイトナイト>は単独でBランク級のスノードラゴン程度なら屠れるんだ。そこらの盗賊程度相手なら、一体で数十人相手でも制圧は容易だろうな」

「く、くそっ」

「逃がすか……<麻痺の雷撃スタンボム>」

「グギャアア」


さて、魔法でリーダを一人。召喚魔法<聖騎士ホワイトナイト>のおかげもあって、更に二人は仕留めた。俺のノルマはこれで終わりかな。


「とりあえず…<送還ディポテーション 聖騎士ホワイトナイト> <眠りへの誘いスリプルガス>」


召喚した聖騎士ホワイトナイトを魔力情報の塊に戻して、魔力として周囲に霧散させる。そして仕留めた三人を闇魔法で念のために眠らせる。これで後始末も終わりだ。少し周りの様子を見ていこうか。

……とはいっても、護衛の面々はさすがにプロなので、もうほぼ、相手を制圧していた。だから後はリリアかな。さて、天才上級魔術師の戦闘をのんびり観戦していようかな。


「おらおら、お嬢ちゃん。痛い目にあいたくなかったら、おとなしくしろよ……まあ、どちらにせよ痛い目にはあってもらうんだがな」

「消えてください」

「あん」

「…消えてください」

「いい加減にしろよ。なめてるとどうなるか」

「…<暴風切断術ウィンドカッター>」

「ひい……ごめんなさい。し、死ぬー」

「…<地神要塞アースフォートレス>」


って、傍観している場合じゃなかったな。俺が土魔法で止めていなかったら、危なく男が頭と胴体と足で三等分にされるスプラッタを見るところだった。


「お、お兄様。なんで、止めたんですか」

「あのなあ、こんな奴らのグッチャグチャな死体なんて、見たくもないし、処理なんて以ての外だぞ」

「こいつの眼が気持ち悪いんです。こんな奴らは皆殺しで十分です」

「別に、やってることがやってることだから俺もそれについては否定しないよ」

「じゃあ、なんで……」


俺のこの死生観は別にこの世界に来てからついたものではない。悪行を働いたものにはそれ相応の報いがあってしかるべきだというのが俺の信条だしな。それに、こいつらの場合、奴隷売買なんてやってる時点でろくな奴らじゃないからな。

ちなみにこの国の法律ではもちろん奴隷売買は禁止だ。借金奴隷に近いシステムはあるけどな。


「とにかく殺さなくてもいいから」

「……はい。じゃあスプラッタじゃないのなら問題ないですか」

「そもそも女の子が人殺しにここまで抵抗がないのもどうかと思うけれど……まあ、今日は止めておいてくれ」

「分かりました。じゃあ、気絶だけはさせておきますね…<大地神の大槌ストーンハンマー>」

「グゲッ」

「……それくらいにしておいてあげてね」


魔法で頭をぶん殴られた男の首から嫌な音がしたが、まあ命に別状はなさそうだし……放置しようか。


「クライス様、ご無事でしょうか。……すみません、我らが不甲斐ないばかりに」

「いいよ、全員無事だな」

「ああ、はい」

「なら問題ない。それよりこいつらを縛って、そこの木に括り付けてくれるか」

「今すぐやります」


無事、一人の盗賊を縛り上げていたウェグスさん達は、手早く俺が捕まえていた男たちをそこにあった大木に縛り付けてくれた。さて、尋問の真似事でもしてみるかな。


「それで、どうされるのですか。このまま近くの町の警備兵に引き渡せば、それに応じた報酬をいただけると思いますが」

「とりあえず、こいつらを尋問する」

「はあ、それでどうするんでしょうか」

「アジトの場所を聞き出して乗り込む」

「しかし……こういった輩はどのみち言っても言わなくても殺されますから……簡単には組織の情報を提供することはないかと……」

「そのための魔法だな…おい、起きろ」

「フガッ……」


さて、俺はひとまず五人の内、先ほどリーダー格だったゾディアという男の睡眠魔法だけを解除した。


「なんなんだよ。人が気持ちよく寝てるところに……んっ、なんで俺は縛られてるん……だ」

「思い出したみたいだな」

「て、てめえは……殺すなら殺せ」

「そう短絡的になるなって。さて、取引をしようか」

「取引……」

「お前がアジトの場所を言えば、お前たちを無傷で解放してやる。はじけ飛んだお前の手足も治療してやるよ」

「断る」

「そうか……<暗黒夢ナイトメア>」

「グギャア………」


ゾディアが断った瞬間、俺は闇魔法<暗黒夢ナイトメア>を行使した。


「グギャア……」

「お、お兄様。この魔法は……」

「昔の拷問用精神魔法。相手がもっとも不快な状況を夢の中で起こさせる魔法だ。その夢はもちろん自力では起きられない」

「そ、そうですか……」

「どれだけ体を鍛えていても、精神は簡単にもろくなるからね。あっ、廃人になる前に止めるから安心して」

「さすがにそれでもひどいかと」

「……だよなあ。じゃあ、一回切ろう」


さて、魔法を切った瞬間。そこには疲れ切った眼をした男がいた。


「話す気にはなったか」

「話すわけな…」

「そうか…<暗黒…」

「ま、待て。は、話すから。も、もうあんな恥辱のループはいやだ」

「どんな夢を見ていたんだよ、まったく。で、アジトの場所は」

「この山の上の木々の隙間をルート通りに通った先にある洞窟の隠し通路の先だ」

「案内してもらおうかな……いや、待てよ。そういえばお前、今日はここで取引があるとかって言ってなかったか」

「あっ、ああ。……奴隷の方はともかく、貴金属を積んだ方はそろそろ出てくるはずだ」

「ということは他にも通路があるんだな」

「ああ……ただ、あそこは中からしか開けられないしなあ」

「構わない。洞窟ごとぶち破る。ついでにその馬車も差し押さえてしまえば一石二鳥だしな」


貴金属の方は、多少手荒く扱っても俺の<錬金アルケミス>でもと通りにできるから多少派手にやってもいいだろう。問題は奴隷の管理状況だな。……下手に盾にされると面倒だし。


「その秘密通路と奴隷の保管所の距離は」

「確か、結構距離はあたっと思うぜ。アジトからの距離なら馬車で五分ほどかかるし」

「それだけ距離があるなら、バカみたいな爆破なんかをしなければ大丈夫だな。じゃあ、そこに案内してくれ」


さて、リリアもさっきの男達の視線で鬱憤が溜まっているようだし……ストレス解消に盗賊狩りといこうか。

疑問、反論、文句等……マイナスな事でも構いませんので、是非感想をお願いします。

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