次元の狭間より 弐
「ふむ……やはり残り物の魔人達程度では、邪魔にすらならないか。まあゴミ掃除ついでに、彼の能力を検証できたことだし、よしとしようか」
次元層の狭間。その場所から戦場を見ていたナニカが、呟いていた。
「それで、君としてはどうなんだい……答える気はないか。いずれ会うとき、君の戦略を見れることを楽しみにしておくよ。安心してくれ、今はまだ世界にも君にも直接干渉は出来ないよ。君の封印があるからね」
そのナニカは、最後にある一点を見ながらそう呟くと、忽然とその気配を消した。
再び、静寂に包まれる次元層の狭間。だがナニカが見ていた空間が揺らぐと、そこに突如としてローブ姿の人影が現れた。その姿は朧気だったが、強い魔力を持ったものであることは見て取れた。
「今回はクライス君がなんとかしてくれて一安心だね……はあ、彼らはいいね。最愛の人の元に帰れて」
その人物の胸元のペンダント、そこに入っている写真を見つめながら、深く溜息をつく。
「決着を付けて、早く君に会いたいよ……スリフちゃん、いや……」
そう呟いた彼の姿が消えて、また次元層の狭間は静謐な静寂に包まれた。
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次回投稿は2024年1月3日12:00を予定しております。それでは皆様よいお年を。




