〜伝説のドラゴン〜
〜リン〜
ついに俺の冒険が始まったわけなんだが、
「どっちが南だ?」
いきなり手加減無しのとんでもねぇ試練が現れた。伝説のつるぎさえありゃどうにでもなるって思ってた俺が馬鹿だった。・・・村を出ては見たものの行く先もわからず俺は途方に暮れていた。一旦家に戻るか?でもそんなことしてメルに会ったら恥ずかしいし。このまま進む?そんなことして迷子になってもなぁ。
「いや。そんなことにビビっててどうするんだ!何事も恐れないのが真の勇者だろ!ウォォォオオオオ!」
不安な気持ちに鞭を打って俺は走り出した!
〜1時間後〜
「も、もうダメだ。一ミリたりとも動けねぇ」
俺の疲労は限界に達していた。吐き気を催すほどの疲労感に重力に逆らう気力すら失われていた。
ズシンッ ズシンッ
横たわる俺に向かって一頭の『メタルホーン』が鋼鉄の巨体を揺らしながらゆっくりと近づいてきた。メタルホーンとは全身に鎧をまとったサイのようなモンスターだ。俺もガキの頃サーカスで見た以来だ。あの時はビビっちまったが今は自信に満ち溢れている。なぜかって?そんなの決まってる。この伝説の魔王の剣で
「ぶった切ってやるからだよ!」
ガツンッ
思いっきり振り落とした俺の剣はいい音を立ててメタルホーンのツノに受け止められた。
「な、嘘だろ?そんな・・・」
俺の思考は完全停止した。もう俺の人生は終わりなんだろうか?全てを諦めかけたその瞬間。突然辺りが暗くなりメタルホーンが姿を消した。ふと見上げるとそこには巨大なドラゴンがいた。俺を一飲みにできそうなくらいのメタルホーンを軽々とその強靭な顎で持ち上げて、今まさに飲み込んだのだった。その燃え上がる炎のような宝石箱に輝くルビーのようなまさにそれは伝説の生き物。
「ファイアドラゴン。・・・」
メタルホーンを飲み干したその巨大なドラゴンはその顎で俺を持ち上げ大空へと投げ飛ばしたのだった。