こいつ誰?
そいつは突然俺の前に現れた。
「勇者から民を守ってください!」
「…は?」こいつ何言ってんの?厨二病こじらせたのかな。見た感じ俺より2、3歳ぐらい年下…中3?うん、とりあえずこういう連中とは関わらないようにしないと。
「すいません、言ってる意味が分からないのでほかの方当たって頂けないでしょうか」
俺はできるだけ笑顔…のつもりでそう言った。
「…あなただけが我々魔族にとっての最後の希望なんです!」
今にも泣き出しそうな顔でその少女は言ってくる。「あなたには勇者殺しのスキルがあります。どうかそれで我々の街、仲間を助けてください!」
ん?勇者殺し?スキル?????何それどこの異世界の話だよ。
「残念ですか他を当たってください」俺は冷たく言い放った。
「そうですか…やはり我々は滅びるのを待つことしかできないのですね」
ああ、そのまま厨二病こじらせとけバカが
俺がその少女から立ち去ろうとすると、
「口では分かってもらえせんでしたか、ならば力ずくで連れていくのみ!!」
「!?!?」
突然俺の視界が真っ暗になった
…ん、んん頭が痛い、、、
「はぁ!?なんだここ!」
目の前に広がる世界は明らかに現実ではない
「ここ…どこ?」
思い出せるのは謎の少女と話していると突然目の前が真っ暗になったことだけ。
「やれやれ、やっと起きたか」
そこには厨二病の少女が立っていた。
「ん?」
背中に…翼!?なにあれ!?え、マジの魔族だったの?
「そう、お察しの通り私は魔族、そしてその正体は魔族の頂点に君臨する三代目魔王ぺこりん!!」
「え?それ本名?」
「ん?何かおかしなところありました?ぺこりんという名前はのは先代の魔王ゆうなんにつけてもらったのですが」
「なにがおかしいですかだよ!?ツッコミどころ多すぎじゃねーか!」
「えっと、魔族はみんなこんな感じの名前ですよ?」
「俺の考えてた魔族の名前は女神ヘラとかゼウスとかルシウスとか…」
「嫌ですよ、そんな変な名前」
「そのぺこりんって方が十分変じゃねーか!」
「うるさい!うるさいですよほんとに」
「目的を忘れるところでした。山下龍人さん!あなたにはこれからこの魔界に攻めてくる勇者達を退治してもらいます!」
待って、色々と話が見えないんだけど、
「もちろん報酬も弾みますよ♪」
「いやいやいやいやちょっと待って魔界ってなに?勇者って誰?それを退治しろ?話が全く呑み込めないんだけど」
「質問が多いかたですねぇ、まず魔界から説明していきましょう」
「まず始めにここはどこかを話しましょう。ここはあなた達人間と呼ばれる生物が住んでいる世界の裏側人間の世界が光とすれば私達魔族は影の存在、そして勇者とは人間の世界から魔界を征服するために送り込まれる破壊兵器の様なものです。奴らは王のスキルにより理性を保ったまま肉体、潜在能力を限界まで引き上げられています。それを魔族は勇者と呼んでいます。」
「っておいおい、俺達の世界に王なんてもんいないし、スキルなんてもんもねーぞ」
「当たり前です、王というのは総理大臣のことですよ?やつはこの世界に存在してはいけないとまで言われるスキルを保有しています」
「そして最後に、あなたについてのことです。あなたのスキルは先程言ったように、勇者殺しです。このスキルはは勇者に対してだけとても大きいダメージを与えられるスキル、我々の戦力となってくれると信じ、危険を犯してまであなたを奪いに行きました。」
…何故だろう、嬉しい、家では全く必要とされなかった俺が今魔族全員に必要とされている。なんとも言えない気持ちがこみ上げてきた。
「で、俺はなにをすればいいの?」
「おっと、受け入れるのが早いですね。もっと何か言うと思ったのに」
「今更何を言おうとどうせ元の世界には戻れないんだろ?」
俺はあきらめとともに言った
「ええ…まあそうですが」
「お、れ、は、な、に、を、す、れ、ば、い、い、の?」
「え?ああすいません、ではあなたにどれほどの戦闘スキルがあるのかを見せて頂きます、サラ・ユルド・アグナ!」
俺の前に全身鎧の騎士が召喚された。