お友達
手を振って昇降口で別れたのは今から5分ほど前の事。
私は自分の席に着くとカバンの中から必要なものを取り出し机の横のフックにかけた。
携帯を見ると晃から
〈今日も1日頑張ろう!〉
と来ていたので
〈頑張ろー!〉
と返した。
その時………
頭に少し強めな衝撃が走る。
痛い…
何かと顔をあげれば友達2人がニヤニヤしながら立っていた。
「なーにー?まーた彼氏〜?」
「どんなメールのやりとりしてるの?」
「わわわ、見ないで!…ったく、、朝から元気だねぇ、……」
やれやれとため息をつく。
この2人はいつもこんな感じ。しょっちゅう私をからかってくる。
「でも、相手は彼氏なんでしょ?」
さっきのような揶揄う言い方ではなく、今度は普通に聞いてきた。
「まぁ…ね。」
私は少し恥ずかしくなって視線を下げる。
「かーわいい〜www」
未だ揶揄ってくるこいつはもういっそ無視してしまおう。
「ちょ、無視しないでよ〜!!」
「ハルにはいい薬でしょ?」
「同感」
マイとクスクス笑えば、ハルは「ちょっとぉ〜」と泣きそうな声で言うから面白い。
170cmを優に超えるハルはいつも皆んなにいじられている。
それに対し、私よりやや身長の高いマイは容赦なく相手を責める。
この2人といるのは結構楽しい。
「おはよう、楽しそうだね」
左から聞こえてきた声に自然とそちらを向く。そこには、友達の北君がいた。
「おはよう、…私が揶揄われてただけなんだけどね」
苦笑いを浮かべながら答えると、北君も苦笑いを返してくれた。
丁度その時、教室の明かりがついて、先生が入ってきた。
「じゃあ、私達行くね」
そう言ってそれぞれの席に帰って行く。
あぁ、今日も今日とて憂鬱な授業が始まる。