夏の始まり
『詩のサークル』第一回参加作品です。提示テーマ「彩雲」。
一、
早朝の列車の中
花の群れに囲まれた
群れは
眩しく光る朝に
満ちている可能性だけを
信じていた
真っすぐな眼差しで
遠くを追いながら
軽やかな口元からは
今が零れていた
あまりに無防備な
あまりに透明な
黒髪香る
十七の夏
二、
昼前の列車の中
若葉の群れに逢った
若葉たちは
騒ぐ衝動を抑えきれない
トンネルの闇さえも
希望の彩りにしてしまう
きらきらとした瞳で
期待を隠しきれない
振り回す手のひらに
生きている汗が宿っていた
思い切り馬鹿な
思い切り爽やかな
背中に漲る若さ
十七の夏
三、
彼らの見ている空は
きっと
薄青く
薄白く
ひんやりとした
夜明けの後悔
まだ
鮮やかな
虹の始まりの
消えきれぬ空
朝の電車で、女子高生と、男子高校生に出会ったのでした。
その時に、感じたことが詩になりそうだったので、
書き留めておきました。
今、こんな形になりました。
『彩雲』とも、リンクします。