作戦会議...1-3
アデルが交渉に応じたとの報告に驚いたファルサは勢いよく立ち上がると報告してきた女に詰め寄り襟を持ち怒鳴りつけた。
「どういうことだヴィクルム!?アデル・リシュタインは店の中に入ったきり出てこないのでは無かったか?」
ヴィクルムは、襟を掴まれながらも対抗するかのように怒鳴り声で話を続けた。
「で、ですが先程この場所から出ていったミーレスが周りの声も聞かず、「交渉する。」などと言いあの店に行なっていきました。その時の声をアデル・リシュタインに聞かれていたようで.........」
「それで、どうなった?」
「それが、店の扉が突然開いたかと思うとアデル・リシュタインが出てきてミーレスと一言、二言話すと2人はそのまま中に入っていきました。そのまま、5分くらい待っていると、アデル・リシュタインが窓から身を乗りだして、「条件がのめるなら交渉をしてもいい。」と言ってきました」
「それで、その条件とはなんだ?」
ヴィクルムは息を大きく吸い込み自身の気持ちを落ち着かせるとこの部屋にいる全員に聞こえるように話始めた。
「条件は三つありました。一つ目は交渉の人数は3人、ただし、先程来たミーレスは除く。二つ目はもし自分に何らかの能力があったとしても、学園に行かずに店の経営を認めること。これは、先代から継いだ店を潰したくないからとのことです。三つ目、前の条件を認めないならこの国から出ていき、魔道具の卸しをやめる。これも認められないのならばこの国の戦力を全て使ってでも言う事を聞かせてみろとのことです」
「・・・はぁ?」
その場にいた者達は、ポカンと口を開けて、精一杯の返事を返した。
誰も口から言葉が出ず少しの時間が流れたがようやく報告聞いたショックから立ち直したのか、ファルサは席にゆっくりと座った。
「...はぁ。......どうすればいいだろうか.........」
先程とは反対に、声を荒らげることもなく、女性特有の少し高めの声で話始めたのをきっかけに周りの者も立ち直ったのか気持ちを落ち着かせていく。
そんな中、ソーマが手を上げて話し始めた。
「さっきの報告では、交渉人数は3人でしたよね」
確認の為、ヴィクルムに問いかける。
「あ、あぁ。その...通りだが...」
「ならば、幼なじみとして...。そして...ライバルとして交渉に参加させてください」
そう言うソーマの目は、目に強い光を持ち周りに意見を言わせないような感じが見て取れる。
その様子を見たファルサは、少し考えた後、ゆっくりとそしてつぶやくように話し始めた。
「...分かった。ならば私、ファルサ・フェーミナとソーマ・キヨシ、アブ・ドルフでアデル・リシュタインに交渉をする。残りは、周囲を警戒しつつ、交渉が破綻した場合に備え、すぐに行動できるようにしておけ。解散」