行動開始です1-2
ソーマがアブの首筋に指を近づけて離した。
そこには指の形に沿って丸い火傷の跡が出来ていた。
「何すんだよ、ソーマ」
「アブが進まないのが悪いと思いますが...」
「仕方ないだろ。こんなにも見たことがない魔道具が置いてあるんだから」
「......魔道具なら他の有名な魔道具店に大量に置いてありますよね?この店なんて狭くてボロいし棚とか商品が置いてあるとこも何十年前に作られたかのような見た目じゃないですか。」
ソーマはアブを押しのけて魔道具に素手で触ろうとしたが見えない壁があって触れないようになっている。
「これは......ガラスなのか?」
「これがガラス...?ソーマ、そんなわけないだろ。今のガラスはこんなに透き通ってないし生産量も少ないはず...。なんでそう思ったんだ?」
「いや......まぁ、なんとなく...かな?」
ソーマの発言に多少の違和感を感じながらも自身の勘違いだと思いアブは話し続ける。
「そ、そうか…。ほんとどうなってんだろうな?」
ガラスのことに集中していてその中にも魔道具が入っていることをすっかり忘れていたアブは中に入っている魔道具を見てみる。
「こ、これって。まさか...。いや、そんなことが...」
「どうかしたんですか。アブ」
ソーマが聞くが、動揺のあまり呼吸してなかったようで数回咳き込むと言い聞かせるように話しかける。
「それが...。ここにある魔道具は、どうやらドクス・ケーラが作ったものらしい」
「ドクス・ケーラって魔道具の革命娘と呼ばれた今年75歳の不老族の一人でしたよね。」
「あ、あぁ。不老族だから見た目は自身の全盛期になるから...。多分25歳くらいだろう。その歳にして古代魔道具の1つ遠くにいる人にメッセージを伝える石板と同じ効果のついた紙を作成したんだから凄いよな。」
「ほら、やっぱり私って凄いでしょ。」
アブが感心していると後ろから突然、女性の声が聞こえてきた。
「な、後ろにいきなり立つなよ...。なんだ......ファルサじゃないのか。」
そこに居たのは、10歳くらいの女の子でアブの身長の半分ほどしか背丈がなかった。
「どうしたんだ、嬢ちゃん。迷子なのか?」
「(...なんでみんな嬢ちゃんって呼ぶのかな...。この人、顔が怖いし......。)迷子じゃないよ、買い物してるでしょ。」
見た目からして10歳の女の子が買い物に来る所じゃないと思うが親に頼まれたのだろうと結論を出したアブは目線が合うようにしゃがむと声をかける。
「そうか...。買い物、頑張れよ。嬢ちゃん」
「あ...、うん...。分かった...。」
そう言うと店の奥にスタスタと駆けていった。
「あの子怖がっていましたよ。絶対」
「ま、マジか...。」