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第9話 更衣室での着替え

さて、体育の授業がやってきた。


一定の時間を経過したあとは一般クラスに参加して行うことになっていたが、

最初の数ヶ月は特別クラスだけで行うことになっている。


そこで、最初のドキドキが着替えだった。

クラスメイトに着替えを見られるのだ。


学校側はFTM専用の更衣室とMTF専用の更衣室を用意した。

つまりFTM同士、MTF同士は着替えが一緒となる。

最初はみんな緊張していた。

下着を見られるのが恥ずかしかった。


さて、まずはMTFの更衣室での様子がどうなっているかというと・・・


MTF10人のうち、8人の目がほのかと麻由の着替えに注目していた。

理由は二人の見た目が完全に女の子だったからである。

セーラー服が見事に似合っている二人だったけど、下着はどうなんだろう?とみんなワクワクしていた。


麻由がほのかに小さな声でささやく。


「思った通りね。私たち注目されているよ。」


「うん、そうみたい。

でも、恥ずかしくないよ。同じMTFだもん。可愛い下着つけてきたし。」


「何色?」


「清純な白だよっ。ブラもショーツも。」


「私、ピンク!ちょっと可愛い色にしちゃった。」


「あっ、ずるいっ。今度は私もピンクにしよおっ。」


と会話をしながら、二人は、あっという間に制服を脱ぎ、ブラジャーとパンツだけのかっこになった。


二人を見ていた8人はその色っぽさにゴクリと唾を飲む。

小学校卒業後間がない中学1年生だが、ブラジャー姿は十分エッチだった。

胸は膨らんでいないはずであるが、下着姿だけをみれば、思春期入り口の女の子の甘酸っぱい色気がある。

8人全員がうらやましいと思った。


そして、二人は、体育用のTシャツを着て、ジャージとなる。


周りの8人も慌てて着替えだした。


8人はいろいろだった。


セーラー服を着用していた二人のうち一人は、なんと男性用のボクサーパンツを着用していた。

女性用のパンツを履く勇気がなかったのである。

上は女性用のタンクトップの下着を着ていたので、中途半端だった。

ブラジャーはつけていない。


もう一人は女性用のパンツを履いていたが、やはりブラジャーはしていなかった。

胸がないのにブラは必要ないという合理的な判断だが、色っぽい二人の姿をみて、ブラもいいかなと思い始める。


男性の制服を着ていた残りの6人は、下着だけ女性用をつけている生徒もいれば、全く女性用を使用していない生徒もいた。

まさに混沌である。


結局、ブラをつけていたのは、麻由とほのかだけだった。


まあ、胸がある生徒は一人もいないわけで、当然といえば当然である。

麻由とほのかにも不要の下着である。

でも、そこは女性ファッションへのこだわりがある二人にとって、必要だった。


「結局ブラつけても、中身はパッドだからずれちゃうのよね。」


「うん、そう。早くホルモン剤投与したいっ。」


苦笑いしながら、愚痴をいう二人だった。


さて、FTMの更衣室の方である。


全員、男子制服のFTMの方は徹底していた。

誰一人、女子用の下着など身に着けてない。

パンツはみんな男子用のものだった。


違いは、上半身に現れる。

胸が大きくなってきた子は工夫しなければいけなかった。


また、胸が小さくても、乳首と乳輪周辺は男子と違う状態になっているわけで、それも対策が必要だった。


胸が早くも成長してしまった子はいわゆるナベシャツというような胸を押さえるシャツを着用していた。

強引に胸をサポーターのような圧力でフラットにするシャツである。

タンクトップ型、サラシ型など、形状はいくつかあった。


「うわーっ、陸斗って、強力に胸を抑えてるんだ。」


「うん、小学校6年くらいからふくらみやがって、なんとかこれで抑えている。

翔はいいよな。ペチャパイで。」


「おおっ、いまのところAカップもないからなあ。ほぼぺったんこ。乳首がちょっと成長しただけ。

絆創膏みたいなものを乳首にはっておけばなんとかなるよ。」


「うらやましいよ。ケツもちっちやいよなあ。」


「そうだね。今のところはね。でも母親はでかいんよ。油断できない。

カロリーコントロールはしないとな。栄養とるとケツに行きそうだ。」


「俺もケツは小さいからまだいいかも。問題は胸だな。」


更衣室では、生理の話もでていた。なんと10人のうち、二人が初潮を迎えていたというのである。


「生理が来るとやばいなあっ。女性化が本格化しちゃうぜ。」


「生理なんて、一生こなければいいのに。」


「そういえば、麻由とほのかは下着どんなのつけてるんだ?」


「二人ともブラジャーつけてる。パンツも女の子らしい可愛いやつだ。」


「おおっ、なぜ知ってる?」


「朝、学校に来た時、教室にその二人しかいなかったから、スカートめくっちゃったんだ。」


「それで確認したのか?すげーなっ。怒らなかったか。」


「恥ずかしそうにしていただけだよ。怒ってなんかいないよ。」


「で、ブラは?」


「そのあと、二人の背中を触ったんだ。ちゃんとブラ線あったぞ。

二人とも、可愛く「いやんっ。」なんて言うから、結構興奮した。」


「ほんと翔は大胆だな。俺にはちょっとできそうもないっ。」


「今度一緒にやろうぜ。俺と一緒ならばできるだろ?

陸斗は麻由の事が好きなんだろう?麻由の方はお前に任せるよ。」


「そ、そうだな。翔と一緒にならできるな。

そうか、麻由はオレに任せてくれ。

そういえば、俺たち4人組で仲良しになったから、

あいつらもキャアキャアいいながら、許してくれそうだな。」


「うん、その通りだ。

おっ、みんな着替えたな。俺たちも行くか。」


最初の更衣室はこんな感じで始まった。


生徒たちは、体の変化について不安もありながら、

堂々と異性装ができる場所を確保できていることに

幸せを感じていた。




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