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第7話 仲良しができた!

入学式の翌日は丸1日、オリエンテーションである。


そこで、説明を主に担当した担任教師がなんと元女性の男性教師で、副担任が元男性の女性教師だったのにはクラス全員驚く。


しかしながら、安心も覚える。

この学校なら、自分たちの複雑な青春をどうにかしてくれるかもしれないと感じた。


休み時間になる。


ほのかが席を立って、誰かに声をかけようかなと思っていると、先にクラスメイトの一人が近づいてきた。


ほのか以外のMTFで唯一、女の子っぽい容姿をしたおかっぱボブの子だった。


「島田さん、よろしくっ。私、相沢麻由。

驚いたよ。私が一番女の子っぽいと思って入学したのに、島田さんって、ものすごく可愛いっ。

女の子度高い!

負けちゃうっ、反則だよーっ。」


麻由はニコニコ笑いながら、話しかけてきた。

背はけっこう高かった。声もちょっと低い。

でも、細身で、整った顔と

綺麗に美容室でカットされたと思われるボブカットは女の子にしか見えない姿だった。

いかにも少女っぽい可愛らしい感じのほのかと違って、大人っぽい美人の可愛さをもっていた。


「えっ、そんなこと。

相沢さんこそ、すっごい美人だよおっ。

顔立ちすごくきれいっ。髪もつやつやっ。」


「そ、そうっ?うれしいっ。」

麻由はちょっと赤面して喜んだ。


その瞬間、他のMTFが二人を囲むように押し寄せる。


「うわーっ、二人とももう女の子だあっ。」


「すごいっ。女の子にしか見えないっ。どうしたらこんなに可愛くなるの?」


「いろいろ教えてっ。」


8人のMTFからは質問攻撃に合う二人。

戸惑う、二人だったが、

それぞれ、今の容姿になるに至った経緯を説明する。


ほのかは、もとから女の子っぽかったことに加え、夏過ぎから、二人の姉に特訓してもらい、学校に行っている以外はいつも女の子姿で過ごしたことを話す。

髪については、6年生になって伸ばし始め、小学校卒業後、エクステンションによりロングヘアにしたことを

説明した。


「エクステなの?すごい自然っ!」麻由が驚く。


そして、麻由も話を始めた。、


「私も家では女の子で過ごしてきたの。

幼稚園くらいからだから長いよ。

学校は男の子姿で通って、隠してたけど。


それから、髪の毛は・・・

母親が美容師だから、思い切り可愛くしてもらったんだ。」


そのあとも、いろいろ質疑応答が続き、話が終わらない。


結局、教師が戻ってきて、仕方なく席に戻るMTFの生徒だった。



そして、次の休み時間になる。


今度は自分の方から、話に行こうとほのかが麻由の席に行くと、

また、人が集まってきた。

さっきと違い、FTMの生徒たちである。

みんな興味津々の顔だった。


先頭にいたアイドル少年のような二人が、声を出した。


「おおーっ、確かに二人ともかわいいっ。いいねーっ!俺、柚木翔だ。よろしくっ。

俺は、ほのかちゃんが好みだ。

きのう、入学式の前に校庭で見かけたとき、可愛い女の子がいるなあっ、ナンパしようかなって思ってたら、Tクラスにくるから、FTMかなあ?うーん、もったいないって思っちゃったよ。

まさかMTFとはね。」


「俺は、桜田陸斗。俺は、麻由ちゃんがいいねっ、モロ好みっ!

俺も、Tクラスにいる麻由ちゃんを見たとき、女子かと思っちゃった。

まちがってTクラスに迷い込んだと思ったよ。」


そして、次々とFTMからの質問攻撃がはじまった。みんな、性別を超える先駆者については興味深々だった。

そのうち、FTMの質問は、いかにもアイドル少年のような容姿になりきっている二人に向かった。


「男姿決まってるよね。いつからそうなったの?」


「おおっ。俺は幼稚園くらいだな。」

翔が答えた。


「幼稚園の時から、スカートは履いたことがない。ずっとズボンだ。

スカートなんて履いたら女装になっちゃうよ。」


「俺は、小学3年くらいからかな。

そのときから、女の子っぽいカッコはしてないし、ずっと髪の毛短くしてたよ。」

陸斗が続く。


その後は二人の男っぽくなるためのレクチャーが続いた。


ほのかと麻由は、感心して聞く。


(うーん、私たちと同じで、すごく努力している。)

二人は同時に同じ感想をもった。



そして、放課後、なんとなくほのか、麻由、翔、陸斗で4人で集まる。

似た者同士という感覚で引き寄せられていた。


「あのー、何だ・・・。せっかくこうやって出会ったんだから、4人グループで行動しようぜ。」

翔が言い出す。

「そうねっ。私たち似た者同士だもんね。」

ほのかが応じる。


「こういうメンバーになるとダブルカップルみたいじゃん。

俺と麻由ちゃん、翔とほのかちゃん。似合いだと思うぞ。」と陸斗。


「そう...かなっ?」

恥ずかしそうにする麻由。


「でも、俺には故郷の新潟に彼女いるから。ほのかちゃんは学校内での彼女ってことにしょうかな。」


「えーっ、それって現地妻みたいな言い方だよね。私だって、仲のいい幼馴染の男の子いるんだからね。」

対抗するほのか。


「ほおーっ、複雑だな。俺はフリーだから、麻由ちゃん、一筋だぜ。」


「私も彼氏なんていない。陸斗がそういうなら付き合ってもいいかなあ。」


「じゃあ、つきあおうぜ!」


「うん、いいよっ。彼女になっちゃう。」


「おいおい、二人とも軽いなあ。

まあとにかくだ。4人で仲良くしようぜ。」

翔がうまくまとめる。


仲良しグループの誕生だった。

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