第3話 変身
和也は結局、智樹の一大決心について、まだ聞かされていない。
親に人生の目標を伝えて、承諾を得たという話は聞いた。
そして、親だけだなく、家族全員が応援するということである。
「いったい、何なんだろう。やっぱ男性アイドルめざすのかなあ?
あいつ、なんだか、最近より可愛い感じだからなあ。」
和也は遊んでいる時、ときどき智樹の顔を盗み見する。
スポーツマンで小学生ながらもがっちりした体格の和也にくらべて、
小柄で華奢な智樹は、目がぱっちりとしていて、まつげは長く、まるで女の子のように
可愛らしい容姿であった。
髪の毛は男子としてはやや長めであるために、女子と間違われることもあった。
でも着ている服や言動は男子そのものであり、結局は男だとわかるような小学生だった。
(和也は女装しているときの智樹を見たことはない。)
小学校も終わりに近づき、智樹に何になりたいのか教えろよと迫ると、3月の下旬に教えると答えた。
「うーん、なぜなんだ?」
「そのときに、容姿と名前が変わるから。」
(こいつ、中学に上がるタイミングで金髪にでもするのかなあ。
名前も、芸能人ぽいかっこいい芸名つけるのか?)
そして、もうひとつ納得できないことが生じる。
なんと、智樹の人生の大決断を両親(和人と舞花)と、姉(桃)が知っている様子だったのだ。
どうも相手の家族から教えてもらったらしい。
3人ともニヤニヤしていた。
なんで親友の俺が教えてもらえないのかと、智樹及び自分の家族に聞くと、
あまりにも大きなことなので、タイミングがあると説得されてしまう。
(大きなこと?
いったい何があるんだ。
もしかして、大手芸能事務所でいきなり映画デビューとかするのか?)
もう和也は智樹が芸能人になると思い込んでいた。
芸能界にかかわることなら、秘密があるのかもと思う。
イライラしたが、もう少しでわかることだと納得することにした。
そして、3月下旬。小学校の卒業式が終わり3日ほど経った。
夕方、和也の家のインターホンがピンポーンとなった。
今日は、智樹は和也の家に招かれている。
和也の家の家族と智樹の食事会だ。
食事会の1時間前に智樹はやってくると言ってた。
4月から通う学校の制服を見せたいとのことだった。
本人の話では見る価値があるということだった。
「そんなに変わった制服なのか?」
ちなみに和也が通う学校の中学の制服はごく普通のブレザー制服である。
インターホンが鳴ったとき、和也は腹の調子が悪く、トイレにこもっていた。
「和也、智樹くんが来たわよ。」
姉の声が聞こえた。
「今、トイレだっ。俺の部屋に入れといてっ。」
「わかった。」
10分ほどたち、ジャーっとトイレの水を流し、自分の部屋に向かう和也。
そして、部屋のドアを開けた。
「えっ??」
部屋の中にはミニ丈のセーラー服を着た女子中学生がいた。
髪の毛は長い髪の毛を二つの房ににして、前に下げている。
前髪の横には、最近はやりの触覚ヘアーも作られていた。
(かわいいっ!誰だっ?
智樹の代わりに女の子が来ているってどういうことだ?
ドッキリか?
でも、この子、智樹に似ているなあ。)
目の前にいる子は和也にむかって、声を出した。
智樹の声ではなかった。可愛らしい声である。
「和也くん、私・・・ほのかっていうの。これからよろしくねっ♡」
「ええっ、誰っ?
ほのかちゃん?
ええっと、智樹に似てるけど、智樹の親戚?」
そこに和也の姉の桃がやってくる。
「ははは、やっぱりわからないんだ。和也ったら。」
「えっ、姉ちゃん知ってるのかよ。この子。」
「和也、親友の顔忘れちゃったの?かわいそうだよ。」
「まさか!」
「和也、ごめんね。はっきり言わなくて。
私、元智樹で・・・今はほのか。
小学校卒業した後、女の子として過ごすことにしたの。
これからも親友としてよろしくねっ♡」
「ええっ?なんだかわからないっ。
女装してるの?
本当に智樹なのか?
髪の毛も長いし・・・」
そして、その後、ほのかは自分の人生の目標「女性になる」という話をし始めた。
髪の毛はエクステで長くなったことも説明した。
和也はポカンと聞くだけである。
(うっ、信じられないし、頭が追いつかない。混乱する!)
話が終わると、桃が付け加えるように発言する。
「智樹くん・・・今は女の子だから、ほのかちゃんか・・・
ほのかちゃんって、本当に可愛いんだよ。
このとおり、ばっちりセーラー服も似合うし、それに・・・」
そこまで言うと、いきなり桃はほのかのやや短い制服のスカートを突然まくりあげた。
ふわりと巻き上がるプリーツスカート。
「きゃあっ!!いやんっ♡」
ほのかの黄色い悲鳴と同時に、可愛いリボンのついた白いショーツが露わになる。
ほのかはあわててスカートを押さえ、顔は真っ赤だ。
いかにも恥ずかしそうな表情である。
その羞恥に満ちた顔はまさに乙女だった。
「は、恥ずかしいっ・・・見られちゃった・・・」
顔和也は唖然とする。
「ふふふっ、下着も可愛いし、悲鳴も可愛いのっ。
さっき、わかったの。」
「もう、桃さんったらー。恥ずかしいっ♡」
(可愛いっ!!
パンツもいいっ!!
親友が、女の子になるって・・・いいかもっ!)
不覚にも和也の下半身は大きくなっており、顔もちょっとデレっとしてしまっていた。
桃はさらに和也を動揺させる発言をする。
「ほのかちゃん、セーラー服の胸の部分が出てる!ブラしてるでしょ?」
「えっ!そうなの?」和也が聴く。
ほのかは、
慌てて胸を隠した。
顔は真っ赤だ。
「えっ?秘密です・・・」
「じゃあ、確かめちゃおう!」
桃はあやせの背中の中心をを
人差し指で上から下へツーっとなぞるように下ろした。
「ぁぁぁんっ!」
あやせが変な感覚に襲われ声を出す。
「やっぱ、してるじゃないっ。途中で指がひっかかったよ。
ブラ線ある!」
「うっ、してるけど、ジュニアブラです。
桃さん、恥ずかしいですっ。」
「ゴメンゴメン、可愛いからいじりたくなっちゃった。」
見ていた和也の下半身はもうめちゃくちゃ硬くなっていた。