表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

第10話 中学2年生が終わる頃には

ほのか達が入学して2年が終わろうとしていた。


ほのかが在籍するクラスのメンバーは入学時20人だったが、3年からは18人になることが決まっている。


二人が一般クラスに移動するのである。

MTFが一人、FTMが一人。

二人は性転換つまりトランスセクシャルをあきらめてしまった。


誰があきらめたのだろうか?


意外なことに、

なんと麻由と陸斗だった。


予想できない結果だった。

誰よりも仲良しだったほのかと翔のショックは大きく、二人ともしばらく落ち込んでしまったくらいだ。


二人の離脱の最大の理由は、予想以上の性的成長である。


まず麻由のケースだが、もとから背が高かったのだが、中学2年になりさらに急成長し、バレーボールかバスケットの選手みたいに背が高くなってしまったのである。

それほど食べる方ではなかったが、やはりそれだけ成長すれば食欲に負けてしまう。身長だけでなく、肩幅などの骨格も成長してしまった。

制服は合わなくなり、ついに学校に出てこなくなってしまう。

2月の中旬だった。


陸斗のケースも同様である。

中学2年の後半になり、乳房が巨大化した。そして、ヒップも大きくなった。

もうナベシャツなどでは隠しようがない色っぽい体になってしまう。

顔もすごく可愛くなり、女性としての魅力が隠せなくなるところまで来てしまった。

それでも、男らしくしようと心がけていた陸斗だが、体と行動のアンバランスが珍妙になってしまう。


その結果・・・麻由と同時期に彼女も学校に出てこれなくなる。


ほのかと翔をはじめ、クラスメイトは連絡をとり、相談に応じようとしたが、二人は閉じこもってしまった。


ただし、二人は同様の悩みを持つ同士、真剣に二人だけで話し合うようになる。


そして、1ヶ月後、教師と話し合いのあと学校に出てきた時、

何と麻由は長く伸ばしていた自慢の髪の毛をバッサリ切り、男子の制服を着こなしていた。

陸斗はセミロングのウイッグをかぶり、ミニ丈のセーラー服を着て現れた。

教室のメンバーは唖然とした。

二人は新しいかっこがあまりにも似合っていた。

「どうしたんだよ?」なんて言えないほど、美男と美少女になっていた。


教師立会いのもと、二人は教室の前に立つ。


麻由が男言葉で話す。


「私じゃなかった、僕たちは、性転換をあきらめることにした。

正直言うならば、このかっこは違和感ある。

自分じゃない感じだ。

でも、どうしようもない。

僕に関して言うならば、華奢でかわいい女性の体はもう無理だと悟った。

スポーツをやっているアスリート女子みたいな女性の体型でもいいかとも思ったけど、

それはかなり危険だ。

アスリートの女性はもとから女性だからこそ、体格がでかくても女性に見えるけど、

自分ではそうはならないだろうと予測がつく。

不恰好に成る可能性が高い。

だから・・・

決して、なりたいわけではないけど、これからは男をめざします。

この体格にふさわしい人間になります。

本当は嫌だけど。

運命を受け入れることにした。

今日から僕は本名の麻人あさとで過ごす。」



続いて、陸斗だ。


「まずは本名をいいます。

里香です。

これからは里香になります。


俺、じゃなかった私も同じです。

もう、男性には見えない体型になってしまいました。

顔つきも思い切り女顔になってしまいました。


ホルモンをとって、乳房の切除をすれば、男性に近づけるとは思うけど、

それでも不自然きわまりない感じになる。

麻由、今は麻人と・・・

彼と徹底的に話し合って、どうしようもない肉体の変化を受け入れることにしました。


そして、彼と恋人になり、手をとって生きていこうと決めました。

似たような境遇の彼なら、苦しくても助け合えます。」


おおーっという声が教室に響く。

二人は性転換を断念しただけでなく、徹底的に相談した結果、恋人になることも選んだのだった。

男と女の役割を交換することになっても、中学1年の最初の一目惚れで始まった恋は継続する。

二人の絆の強さを感じさせる決意表明だった。


そして、3年からは二人は一緒に一般クラスに普通の男女で過ごすことが決まった。


「麻由、じゃなかった麻人。クラスが変わっても仲良くしてね。

私たち、いっぱいおしゃべりしたじゃない。

男の子になっても、おしゃべりしようよ。」


ほのかは麻人に声をかける。


「うん、別に転校するわけでもないし、引っ越すわけでもない。

クラスは違っても、会おうよ。これまでどおり、4人で遊ぼう。」

イケメンに変身した麻人は爽やかに返答した。


翔は里香に声をかけた。


「陸斗、こんなに可愛くなっちゃって、もう女の子なんだな。

まさか、こんなことになるとは。

でも、これまで通り仲良くしようぜ。」


「うん、麻人が言った通りだけど、私もこの学校にいるわけだから、

4人で遊ぼうよ。

性的役割が変わっちゃったけど、人間関係は今までどおり。

それでいいじゃない。」


4人は、今までどおりの仲良し4人組を維持することにした。

見た目が複雑な感じではあるが、友情は変わらない。


「よし、麻人、一緒に男を磨こうぜ。」


「不本意ながら、そうするよ。」


「ほのか、私に女の子のイロハを教えて。

私、女の子の生活スタイルがわからないし、ファッションやメイクや服装なんてこれから勉強しなきゃ。」


「うん、里香。任せて。いろいろ教えてあげる。」


誰が男で、女かわからない4人組であった。


そして、待ちに待った中学3年生がやってくる。


ほのかと翔は4月に15才となる。ホルモン解禁だ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ