エイリアン図鑑 【第一章】
※記載は「登場順」ではなく、系統順です。第一章読了時点を想定しているため、未読了の場合は、ネタバレにご注意ください。
【基本エイリアン種】
≪幼蟲≫:第0世代
【基本情報】
・必要因子:無し
・進化元:ラルヴァ=エッグ
【コスト】
・生成魔素:40
・生成命素:40
・維持魔素:2
・維持命素:3
【進化先】
・奴隷蟲
・走狗蟲
・副脳蟲(必要因子:肥大脳)
【特徴】
人間の赤ん坊大の大きさで、全てのエイリアン種の『幼虫』に当たる存在。
フォルムは蝶の幼虫に近く、色は黒い。無数の肢をもぞもぞもそもそさせながら移動する。かなり柔らかく、間違えて踏みつけようものなら黄色の体液をぶちまけて破裂する。
非常にマイペースであり、指示にお構いなしに好き勝手に這い回る。
特技は脱走。"返し"をつけた部屋の境目も何故か越えていることが多い。
≪奴隷蟲≫:第1世代
【基本情報】
・必要因子:無し
・進化元:幼蟲
【コスト】
・生成魔素:60
・生成命素:80
・維持魔素:5
・維持命素:7
【胞化先】
・産卵臓
・魔素結晶花(必要因子:魔素適応)
・命素結晶花(必要因子:命素適応)
・抽出臓
・保存臓
・肉塊花(必要因子:硬殻)
【特徴】
肉食系昆虫の頭を取り付けたザリガニのような見た目。
大きさは大型犬程度であり、ラルヴァと比べるとずっと大きくなった。
甲殻に体を囲まれており、脆弱なラルヴァよりはずっと頑丈。甲殻と胴体間から節のような肢が8本生えており、色はラルヴァと同じく黒いが、甲殻の間の柔らかい部分からは赤い肉が見えている。
体長の3分の1ほどの長大なハサミを2本持っており、殴るのにも潰すのにも使える。さらにハサミの間に、指みたいな突起が何本か生えている。突起の可動域は広く、ハサミと組み合わせることで、割と複雑な「掴む」動作ができる。
ギーギーと耳障りな鳴き声を発する。
オーマの迷宮では常に過労状態。
※各種ファンガル種エイリアンの系統祖となる。
≪走狗蟲≫:第1世代
【基本情報】
・必要因子:無し
・進化元:幼蟲
【コスト】
・生成魔素:40
・生成命素:120
・維持魔素:7
・維持命素:32
【進化先】
・戦線獣(必要因子:強筋)
・韋駄天鹿(必要因子:高機動)
・噴酸ウジ(必要因子:強酸)
・隠身蛇(必要因子:隠形)
・突牙メダカ(必要因子:水棲)
・誘拐小鳥(必要因子:飛翔)
【特徴】
小型の肉食恐竜が最も近いが、然ほど綺麗な造形ではなく、デコボコのラプトル系恐竜をベースにした見た目。
筋肉がところどころ歪に発達しており、どちらかというとずんぐりした体型。
スレイブよりは一回り小さく、爬虫類と昆虫を混ぜたような頭部に、血色と肌色が入り混じった皮膚。
ずらりと並んだ牙の間から荒く息を吐き出しているが――その形状は少々独特である。上顎下顎だけでなく、頬のあたりからクワガタみたいな2本牙が生えていて、四方から咬みつくような形状。相手が子羊であれば、余裕で喉笛に食らいついて生きたまま貪りそうな獰猛さを隠そうともしないであろう。
この特徴は進化先にも引き継がれており、オーマからは「エイリアン的口吻」と呼ばれる独特な形状である。
走るのに向いた太く発達した二本の後ろ足に、尻尾をピンと伸ばした前傾姿勢は、少し横に伸ばしたT字型に見え、その両足からディノニクスのように生えた鋭く丈夫そうな"爪"が凶々しい。オーマをして「土佐犬級」か「マスティフ級」の戦闘力と呼ばせる見た目をしている。
足の速さを生かして、偵察役やヒット・アンド・アウェイなどの即応役を務めることが多い。ゴブリン程度ならば不意討ちによる足爪の一撃で殺すことも可能。同種間の連携能力が非常に高く、一個の生命体のような群体行動にも優れる。
※各種戦闘系エイリアンの系統祖となる。
≪副脳蟲≫:第1世代
【基本情報】
・必要因子:無し
・進化元:幼蟲
【コスト】
・生成魔素:40
・生成命素:120
・維持魔素:7
・維持命素:32
【進化先】
???
【特徴】
人間の小学生ぐらいの大きさはある巨大な"脳みそ"であり、四本の触手が肢みたいに生えて這い回る。
「下半身」には、割れた頭蓋骨の天蓋部分をおむつみたいに履いており、這い回るのに使う肢みたいな4本の触手は、その頭蓋骨型オムツの亀裂からはみ出るようにして生えた触手と木の根の中間的肉塊であり、大きさも太さもバラバラ。そのせいか、体(頭)を支えきれず、ずるずる引きずられる様は海草が絡まったかのような頼り無さ。
創造主たるオーマを慕っているのか、「きゅぴぃ」と鳴きながら這いずり寄ってきて、ピンク色のぷるぷる部分をその腰のあたりに擦り付ける習性を持つ。
また、知能と知性は非常に高く、誕生からわずか数分で『人間語』を会得したが――その際に、主たるオーマの「知識」を吸収しており、少々余計な情報まで知ってしまった様子。それが幼く好奇心に溢れ調子に乗りがちな精神と相まって、道化の如き狂言回しを無自覚に行っている。
しかし、特性においては「エイリアンネットワーク」の維持者であるなど、迷宮運営に欠かすことのできない存在である。
※エイリアン=ブレインという種であり、系統祖として今後の更なる成長が期待されている。
***
【戦闘系エイリアン種】
≪戦線獣≫:第2世代
【基本情報】
・必要因子:強筋
・進化元:走狗蟲
【コスト】
・生成魔素:160
・生成命素:200
・維持魔素:9
・維持命素:100
【進化先】
・螺旋獣(必要因子:強筋)
・城壁獣(必要因子:硬殻)
【特徴】
走狗蟲をふた回りはデカくさせた筋肉の塊であり、人間の成人男性と同じ程度の身長があるが、非常に発達した筋肉のために"横幅"が大きく、筋肉の壁が目の前にあるかのような威圧感を醸す。
その筋力の発達をAGIではなくATKに全振りしたかのようであり、特に前足が肥大発達した筋肉の丸太とも言うべき異常な太さと強靭さを誇っている。
この「両腕」は身体の半分程度も占めており、上半身と下半身はアンバランスであるため、太い両腕で体を支えながら、のっしのっしとナックルウォーキングで迫ってくる威容は、俊敏さからの一撃を重視する走狗蟲時代の筋肉思想から一転しており、見た目は完全にエイリアンゴリラ。
さらに、両腕の先からはサイの角のような剛爪が発達しているため、正面から相対するには重武装の上に頑丈な盾が必要であると見込まれ、単純な"ぶん殴り"でも、ゴブリン程度ならば一撃で頭蓋骨粉砕させ、根喰い熊とも1対1で殴り合うことができる。
まさに「戦線」を支える主力の歩兵役をこなす存在。
≪螺旋獣≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:強筋
・進化元:戦線獣
【コスト】
・生成魔素:640
・生成命素:880
・維持魔素:24
・維持命素:150
【進化先】
???
【特徴】
大抵のことは"筋肉でなんとか"できてしまう、圧倒的説得力を持った肉体。
しかし、それは縦にも横にも巨大化した、ということを意味しない。
戦線獣を更に2回りは大きくさせた一方、両腕だけが異常に太く大きく発達していた進化前と比べると、筋肉の肉付き、造形といった点で「モンスター」らしさが悪魔的に洗練されている。さながら、カルトで邪悪な電波を受信した古代ギリシア彫刻家が不眠不休で作り上げた"筋肉の魔獣"とでも言うべき威容。
筋肉に筋肉を掛けあわせた結果、異様に発達しなおかつ捩れた異形なる筋肉の四肢を備えている。
「暴力」という至上命題のために、これら長い四肢の筋肉は無駄が削ぎ落とされており、さながら鋼の如き様。その名の通り、長い手足に上腕二頭筋だか三頭筋だかが、極太のバネのように螺旋状に絡みついて、いるのである。
太い縄を幾本も束ねて捩じった"螺旋"であり、筋肉思想における、暴力性と機能美という二つの思想を調和させることに成功した、洗練されたフォルムとなっている。
現状、直接戦闘力においてはエイリアン最強。
≪城壁獣≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:硬殻
・進化元:戦線獣
【コスト】
・生成魔素:570
・生成命素:1020
・維持魔素:33
・維持命素:160
【進化先】
???
【特徴】
戦線獣時代の鈍重さを悪い意味で悪化させ、それを武器として特化させたような存在。見た目は、二足歩行する犀とゴホンヅノカブトを足して2で割り忘れた様であり、とにかく重量級。
分厚い鎧のような重厚感のある皮膚に覆われており、落盤事故に巻き込まれてもケロリとしているほどの頑丈さ。体格自体は螺旋獣よりは一回り小さい(それでも戦線獣以上)が、"密度"の圧力が凄まじい。
足指がアンカー状になっており、歩く度に地面にめり込むほど掴むことができ、硬い地盤の上で踏ん張ることができる。螺旋獣の悪魔的クラウチングスタートからもたらされる巨石砲の如き突進はおろか、成体の雄ボアファントの全速全力の突進ですら正面から受け止めることが可能。
まさに「城壁」であるが、オーマは異なる運用を考えている模様。
【属性砲撃花】を"装備"した『要塞獣』という形態が存在するが、これはオーマが名付けた通称であり、正式な系統として存在するわけではない。
≪韋駄天鹿≫:第2世代
【基本情報】
・必要因子:高機動
・進化元:走狗蟲
【コスト】
・生成魔素:120
・生成命素:220
・維持魔素:20
・維持命素:48
【進化先】
・投槍鹿(必要因子:硬骨)
【特徴】
走狗蟲以上に「走る」ことに特化した能力を身につけたエイリアン種。
名前に「鹿」とはあるが、湾曲した矢じりのようなすらりとした体躯は大型の猫科肉食獣を思わせる。エイリアンでありながらうっすら皮膚に毛が生えていることも特徴。
ただし、見た目で最も特徴的なことは、足が8本存在すること。
走る時は、しなやかに体を上下させ8本の脚を蠢かせて、実に躍動感のある「跳ね跳ぶ」ようなジェットダッシュを見せ、走狗蟲を遥かに上回る高速度で最果て島内を縦横に移動可能。
しかしそのために、走るのに邪魔であるせいか、足爪がかなり退化している。速度重視の軽量ボディで打たれ弱いことと相まって、直接戦闘には不向き。
長距離の移動手段としてオーマからは注目されている。
≪投槍鹿≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:硬骨
・進化元:韋駄天鹿
【コスト】
・生成魔素:620
・生成命素:950
・維持魔素:35
・維持命素:142
【進化先】
???
【特徴】
全体的にガッシリと肉付きが良くなり、移動速度よりも"踏ん張り"を重視した体格で安定性を確保した上で、独特な形状の角が2本、異常発達している。
ちょうど投槍器の仕組みを取り込んだ「小型攻城弩」が頭部に2台並んでいるような状態であり、「上角」は1メートルほどの"槍"のような形状。
頑丈化した8本足をグッと踏ん張って"発射体勢"になった後、首全体を後ろにグググと仰け反らせ、力みのあまり首やこめかみに青筋を立てるほど「溜め」て一呼吸してから、「ぶおん」とかいう擬音がしそうなぐらい激しい勢いで首を前に振ることで、「上角」を射出する。
その威力は100メートル先のゴブリンでさえ根本まで貫通するほどであり、少なくともボアファントや根喰い熊ならば、多少毛皮と脂肪が厚い程度では、この「槍」は防げず、致命傷を与えることができる。
噴酸ウジとは異なり、純粋な破壊力に特化した「固定砲台」役となる。
発情期の馬みたいな獰猛な声を発し、ものすごい勢いで命石を消費することで、弾であり消耗品の投槍である「上角」を2本再生させるのに1時間ほどかかる。
≪噴酸ウジ≫:第2世代
【基本情報】
・必要因子:強酸
・進化元:走狗蟲
【コスト】
・生成魔素:200
・生成命素:180
・維持魔素:12
・維持命素:72
【進化先】
・塵喰いウジ(必要因子:粉塵)
・炎舞ホタル(必要因子:火属性適応)
・爆酸マイマイ(必要因子:強酸)
【特徴】
主力武器であった爪と筋肉質な脚は退化し、胴体がずんぐりむっくり太くデカくなり、ゴロゴロと丸々太ったメタボ体型。全体的にはずんぐり巨体な両生類を思わせる姿となり、筋肉質だったランナー時代からは明らかにたるんだような感じは否めないが、肉食の昆虫を思わせる頭部や、十字に割れるエイリアンな口吻部はあまり変化していないが、骨格はカバのように巨大化し、襟巻きと合わせて威圧感は増している。
直接的な戦闘能力で言えばランナーよりはやや劣るが、特筆すべきはその攻撃手段であり、体内で生成した「強酸」を噴きつけることができる。
その勢いや、消防士が火消しに使うホースからの噴水に匹敵するほど強烈なもので、適切な防具を持たない、特に生身の相手に対して非常に致命的な攻撃手段となる。仮に防具があったとしても、酸によって傷つけられてしまうのだから。
役割としては中距離の遠隔支援・後衛砲撃役。
本体の近接戦闘力は低く動きも鈍いので護衛は必須だが、戦術には幅が生まれる。
何より、弓兵だとか銃兵と違って、扱う武器が「酸」という液体なのが便利であり、吹き付け方によっては広範囲にばら撒くような面制圧だって可能――加えて、この酸は時間が経つと蒸発する性質があり、後片付けも楽という夢の兵器である。
ただし、欠点もあり、どうやら肝心のウジ自身は、完全な酸耐性を得られておらず、酸を吐く時に、自分の口腔まで焼いてしまう。エイリアン種の技能として自己再生能力を持つが、焼かれた口腔が回復するまで、噴酸ウジは再度の攻撃に移ることができない。
一度「噴酸」したら"次"までの間隔が長くなりがちであるが、口腔が酷く焼けてしまっても構わないならば、一回の噴射分の酸を一度口の中に溜め「酸爆弾」として吐き出すこともできる。
≪塵喰いウジ≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:粉塵
・進化元:噴酸ウジ
【コスト】
・生成魔素:880
・生成命素:860
・維持魔素:115
・維持命素:102
【進化先】
???
【特徴】
尖った毛をびっしり生やした毛虫を人間の1.5倍はデカく太らせた巨大ツチノコな見た目。噴酸ウジ時代にかろうじて申し訳程度の肢は完全に退化して、まさに芋虫みたいに身体をもぞもぞさせながら非常にゆっくり歩く。
機動戦には絶対に向かないが――【粉塵】因子から得られた能力は、オーマをして「凶悪を通り越して鬼畜外道の類に達している」と言わしめるほど。
というのも、その吐き出す「粉塵」は、砂やホコリなんかよりもずっと細かい、それでいてイガイガしたものであり、オマケにウジ自身の針のような"毛"の欠片も含まれており、生物の粘膜や内臓を傷つけることに特化している。少なくとも肺呼吸をする生物には絶大な被害を与えることが可能であり、実験台となったゴブリンは、粉塵を浴びせた後しばらくもがいた後に吐血して死んでいった。
特に閉所での防衛では、相当の役に立つことが予想されている。
≪炎舞ホタル≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:火属性適応
・進化元:噴酸ウジ
【コスト】
・生成魔素:950
・生成命素:470
・維持魔素:145
・維持命素:80
【進化先】
???
【特徴】
噴酸ウジに、肉と皮でできた巨大な翼膜みたいな羽が生えた。
背中から頭側に向かって2枚、お尻側に向かって2枚。名前こそ"ホタル"であるが、その生え方は蝶々の虫羽に近い――肉々しさで言えばコウモリの翼膜のようなものであり、骨が通っていて見た目以上には頑丈な作りとなっている。
ただし、自力では空を飛べないという意味で【飛翔】因子とは異なる。
びたんびたんと見苦しく4枚の翼膜をバラバラに羽ばたかせることはできるが、バランスが悪く、風を受けて空を飛べるに至らない――が、主オーマの斜め上の方法で跳ぶことができる。
羽ばたく度に、可燃性の"酸"と"火の粉"を生み出す魔法が翼膜からばら撒かれ、激しい小爆発が絶え間なく発生し――その衝撃羽を4枚の翼膜で受け止めて身体を浮かすという、ゴリ押し力技による「飛行」を実現している。
酸のシャワーと火炎の小爆発を撒き散らす戦略爆撃機的な意味での恐ろしさも兼ね備えてた、生ける焼夷兵器である。直接的な戦闘能力で言えば、図体と飛行能力を生かした突進ぐらいしかできないが。
エイリアン自体が火に弱いことから、オーマは運用には慎重になっている。
≪爆酸マイマイ≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:強酸
・進化元:噴酸ウジ
【コスト】
・生成魔素:340
・生成命素:260
・維持魔素:45
・維持命素:76
【進化先】
???
【特徴】
「第3世代」としては維持魔素・維持命素が少なく、進化にかかる時間もわずか数日と、リーズナブルであり、その分見た目も体格もコンパクト。
本体は奴隷蟲並に小さな昆虫みたいなエイリアンであるが、全体の体長・体高は噴酸ウジと同等以上に大きい――背中に見事なアンモナイト状の"殻"を生やしており、これはトカゲの尻尾だか、あるいは蜂の針のように分離が可能。
そして、この"殻"は爆発する。
中に詰まっているのは、噴酸ウジのそれを遥かに上回るほどの威力を秘めた『酸』であり、爆発する時に『酸爆弾』2~3溜め分もの量を周囲に激しくばらまき、少なくともタンパク質でできた生物は骨まで溶かしてしまう。
さらに、マイマイ自身の意思によってある程度指向性を与えて炸裂することが可能であり、これを利用することで、自分自身を巻き込まずしかも炸裂の際の衝撃を反動にすることで、小さな胴体を反対側へ遠くふっ飛ばして難を逃れることもできる。
無事に逃げ延びたマイマイは、その後もそもそと魔石や命石を消費しながら、ゆっくりと「殻」を成長させ1~2日ほどでリロード完了。この意味では、ありがちな「自爆モンスター」とは一線を画した存在である。
ただし、移動が致命的に遅いため、奇襲に使うには工夫が必要。実質的に罠みたいに運用するか、戦線獣に砲丸投げみたいに投げさせるか、あるいは系統技能の【転輪移動】を試すか。
≪隠身蛇 ≫
【基本情報】
・必要因子:隠形
・進化元:走狗蟲
【コスト】
・生成魔素:210
・生成命素:280
・維持魔素:3
・維持命素:40
【進化先】
・切裂き蛇(必要因子:高機動)
・絞首蛇(必要因子:伸縮筋)
【特徴】
上半身がカマキリの蛇、という見た目。
ナーガ体型だけあって胴長、身体を真っ直ぐに伸ばせば3メートル近くなる。
蛇みたいな下半身は、腹の部分をよく観察してみると細かな鉤状の鱗が生えそろっている。
走狗蟲時代の前足はしなやかに発達しており、"爪"の部分には、忍者が城壁を超える時に投げる三叉フックによく似た形状の「鎌」みたいな鉤爪となっており――どんな崖だろうが、壁だろうが、張り付いて登攀する能力の高さがうかがえる。
さらには高い"無音性"を有しており、ネックになりそうな長すぎる胴体も、とぐろを巻くなどして見た目以上には体積を"節約"でき、思った以上に狭いところへ忍び込むことも可能。
どんな場所にも派遣できるという意味では、監視・偵察役として運用するにはかなりありがたい特性であり、隠密行動をするためだけに生まれてきたエイリアンである、とさえ言っても過言ではない。
ただし、素の戦闘力は、ランナーに匹敵するかどうか程度でしかない。
両腕の鎌鉤爪は壁登り向きではあるが、ゴブリンの喉や頸動脈をかっ切るぐらいは造作もない鋭さを誇るため、奇襲や不意討ち有りならばかなり役に立つだろうが、例えば戦線獣のような露骨な耐久型を初撃で仕留められる可能性は低い。
≪切裂き蛇≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:高機動
・進化元:隠身蛇
【コスト】
・生成魔素:670
・生成命素:630
・維持魔素:85
・維持命素:113
【進化先】
???
【特徴】
隠身蛇時代の隠密性が薄れ、純粋な戦闘系に能力が寄った。
見た目は柳のようにくねくねしていた隠身蛇と比べ、ナイフのような刃物的な鋭さを感じさせるフォルムとなった。
【擬態】能力はほぼ無くなったが、両腕の鎌鉤爪が、より斬撃武器として鋭さを増している。
ところどころ鋭い突起が細かく身体から突き出しており、腹の細かな鱗と合わせて、壁に引っ掛けて天井だろうが登攀できる能力はむしろ強化されている。
しかし、その真価は全身をバネのように使った瞬速の一撃によって、確実に敵の急所を掻っ切るアサシンじみた戦闘スタイルである。
ただし、相変わらずの紙耐久さは解消されておらず、進化前と同じく、正面から重量級の相手と戦わせるのはNG。斬撃が通らない重装甲は相手にせず、乱戦に混ぜて突っ込ませて、支援系や装甲の薄い敵を狙い撃ちさせるのが有効という意味では、隠身蛇時代と似た運用になる局面もある。
しかし戦闘能力自体は向上しており、機敏さを生かした"回避盾"としてであれば、重量級相手に打ち合わせて時間を稼ぐ、という運用も可能。
≪絞首蛇≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:伸縮筋
・進化元:隠身蛇
【コスト】
・生成魔素:550
・生成命素:780
・維持魔素:66
・維持命素:82
【進化先】
???
【特徴】
蛇型の下半身が進化前の倍以上の長さになり、サソリの如く後方で背中をエビ反って頭上に構えた状態の"シャチホコ"のようなポーズ。
鎌はほとんど肢の機能を果たすようになり、両鎌と腹を使ってズズズと移動しつつ、頭上に大上段で構えた「尾」を、鋭く突き出して敵に絡みつけて"拉致"することを存在意義としている。
切裂き蛇と違い、進化前の擬態能力を失っているわけではなく、周囲の景色に溶け込み、気配すらをも消し、必要があれば30分は無呼吸になり、オマケにある程度自らの意識で体温すら操作可能で、探知は極度に困難。
この状態で敵や獲物が近くへ現れるや、瞬速の「拉致術」によって伸縮する尾を繰り出し、相手が動物ならば的確に頭部を絡めとる。これは限りなく無音に近く、伸ばしきった「伸縮筋」であることから、巻き付く際に伸縮が戻ろうとする力で、ちょうど輪ゴムがキツく縛るのと同じ原理で、尾がメリメリと食い込むようにして強く絡みつき、摩擦力が働いて容易には外せなくなる。
暗殺への適性の他に、集団戦闘においても後衛職を的確に"拉致"して自陣に引きずりこむことができるため、トリッキーな運用が期待されるエイリアン系統。
≪誘拐小鳥≫:第2世代
【基本情報】
・必要因子:飛翔
・進化元:走狗蟲
【コスト】
・生成魔素:220
・生成命素:260
・維持魔素:16
・維持命素:37
【進化先】
・風斬りツバメ(必要因子:風属性適応)
【特徴】
"誘拐"と書いて「エンジョイ」。
単体では進化元のランナーより体格が小さく、個々の戦闘力は弱いが、貴重な「空を飛ぶ」能力を有する。鳥のような黒い羽毛を両腕から生やしたまともな"翼"によって、羽ばたいて風に乗ることが可能。
ただし、その見た目は走狗蟲を小型化させ、幼児化させたようなもの。
無数の羽音と共に、敵を掴んで持ち上げて「誘拐」し、高いところから放って墜死させるのが特徴。死体の周りで勝利の踊りのような宙返りで楽しむ性質がある。
戦闘能力にはあまり期待できないものの、"空を飛ぶ"ということはそれだけで価値が大きく、偵察役や『空の運搬役』としての活躍が見込まれている。
第2世代ではあるものの、実質「飛翔」因子の小系統祖のようなもの。
≪風斬りツバメ:第3世代
【基本情報】
・必要因子:風属性適応
・進化元:誘拐小鳥
【コスト】
・生成魔素:710
・生成命素:560
・維持魔素:122
・維持命素:76
【進化先】
???
【特徴】
誘拐小鳥よりも、さらに姿や造形が鳥に近づいて、首が少し長くなり、口先も少し伸びた。しかし別に嘴が生えているわけではなく、羽の生えたエイリアン感はゼロにはならない。
前肢がさらに退化してプラプラした突起物みたいになっている代わりに、黒と白のグラデーションが鮮やかな翼は大型化しており、絶えずその周囲で「風魔法」が沸き起こる。体の大きさも走狗蟲より一回り大きく、ツバメとは言うが、翼の圧迫感も相まってそれなりに威圧感がある。
その攻撃手段は「風」魔法に乗せて硬い羽を矢の飛ばすことであり、物理的な威力も持った遠隔攻撃である。もちろん、一本一本は少し硬いだけのただの羽でしかないので、表皮が硬い相手には大したダメージは与えられないが、秒間で何枚もの"羽"が鋭く顔面めがけて飛ばされるため、集中力を乱す効果は大きい。
ゴブリンの目鼻を潰す程度の威力はあり、なにより風魔法によって自らを浮かせている面も大きいため、飛行による移動と同時に"羽"による嫌がらせができる。
無論、バード達よりは大柄になった分、肉弾戦闘でもマシな能力となり、空からのヒットアンドアウェイが可能。さらに、MP消費を気にしないのであれば、風魔法によって自身の飛行速度を加速減速することができ、非常に予測のしづらい機動を取る。
≪突牙メダカ≫:第2世代
【基本情報】
・必要因子:水棲
・進化元:走狗蟲
【コスト】
・生成魔素:190
・生成命素:240
・維持魔素:8
・維持命素:45
【進化先】
???
【特徴】
水中遊泳を実現したエイリアン。
"メダカ"と言う割には小型のイルカぐらいのデカさはあるものの……進化前の走狗蟲よりは、大きさがむしろ縮んでいる。ただし、海中に適応したことから、今後突牙メダカから進化する連中がかなり大型化する可能性があり、それ故の"メダカ"サイズ。
口の中から斜め上に突き上げるように、短い角みたいな牙が生えており、ちょうど"イッカク"と同じ原理である。そこそこの距離を泳いで速度を上昇させた勢いで突進すれば、まぁまぁなダメージを与えることが可能であるどころか、集団で襲わせたら、水場に引き込んだら大型の敵も滅多打ちにできる可能性が高い。
第2世代ではあるものの、実質「水棲」因子の小系統祖のようなもの。
***
【エイリアン=ファンガル種】
≪産卵臓≫:第2世代
【基本情報】
・必要因子:無し
・進化元:奴隷蟲
【コスト】
・生成魔素:300
・生成命素:260
・維持魔素:65
・維持命素:40
【進化先】
・揺籃臓
・進化臓
【特徴】
人間の身長ほどの大きさがあり、巨大な卵を縦にした形を模した肉塊といった見た目をしている。
基部からは肉の根が生え、地面を掴まえて自身を「立たせる」ことで、さながら『コロンブスの卵』の別解を示している、とは創造主オーマの評。頂には十文字の亀裂が入っており、心臓みたいに鼓動しながら、ゆっくりと外皮がめくれ蓮の花が開くように、その"産卵"のための基本器官が姿を現す。
内側から剥き出しに現れた「器官」は"杯"とでも言うべきもので、内側には、大小の肉々しい突起物がうようよと蠢いている。この繊毛上の突起は数十本は下らず、先端が洞窟の淡い光に反応して青に白にと点滅している。
いざ"産卵"を開始すると、この細かい突起達が【魔素操作】【命素操作】を代替して、創造主オーマに代わって【幼蟲の創生】を行う。
やがてラルヴァ=エッグが杯の上に、徐々に形成されていき、自動排出モードにしないならば鎮座したままとなる。
≪揺籃臓≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:無し
・進化元:産卵臓
【コスト】
・生成魔素:440
・生成命素:690
・維持魔素:80
・維持命素:62
【進化先】
・培養臓
【特徴】
魔石と命石を消費する代わりに、中に入れたラルヴァ=エッグを【産卵臓】よりもずっと効率よく孵化させることができる"ゆりかご"的存在。
中身が謎の緑色の液体に満たされたゴムみたいな有機的な「槽」があり、その周囲で数本の丸太ほどもの太さのある触手がうねうね蠢いている、という見た目。
この「槽」の中にドボンとラルヴァ=エッグを浸からせ、魔石・命石を絶えず補給すれば"成長"に必要な分量を自ら補給することができる。
――が、その真価は"エイリアン以外"でも同じように「揺籃」することができるということ。オーマは現状、その特性を『ゴブリン牧場』の品種改良に活用することを模索している。
≪進化臓≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:無し
・進化元:産卵臓
【コスト】
・生成魔素:390
・生成命素:450
・維持魔素:80
・維持命素:50
【進化先】
???
【特徴】
胞化前の【産卵臓】を一回り大きくした感じであり、"肉根"が太く丈夫に、人間の太ももほどの太さの濃い赤色の血管が蠕動しつつ、地面に伸びて相変わらず青と白の明滅に向かって這う。
特徴的なのは、やはり"杯"の部分であり、産卵臓が「何も無いところに"卵"を生み出す」ことから、お椀状の空洞として"杯"が表現されていたのに対して、進化臓のそれはまるでカマキリの卵を包んでいるぶよぶよかのような肉袋。
軽くつねってみると、いやいやするかのように進化臓全体がぶるぶる震える。
構わず伸ばしてみると、ゴムかというぐらい、びよんぶよよん伸びる。
紛うことなき"進化"のための"容れ物"であり、外付けの「繭」の機能を果たす。
進化させたいエイリアンを肉袋に入れて【因子の注入】を発動するか、『液体因子』を注入すれば、その第一の機能である「エイリアン進化」を実行することができる。
また、第二の機能としてはオーマの【因子の希釈】とも組み合わせることで、ハーフ生物のような複数の"種族因子が入り交じる"生物に干渉することもでき、その恩恵を受けたル・ベリは「魔人」となった。
≪魔素結晶花≫:第2世代
【基本情報】
・必要因子:魔素適応
・進化元:奴隷蟲
【コスト】
・生成魔素:320
・生成命素:250
・維持魔素:70
・維持命素:45
【進化先】
・属性砲撃花
・陽魔変換花
【特徴】
周囲の魔素・命素を少しずつ吸収しながら、それぞれ『魔石』という戦略資源を生み出すファンガル種。
見た目はメロン大の蠕動する肉塊が20個ほど、もぢゃっと房状にまとまり、まるで悪魔の庭園にでも植えられてそうな冒涜的な果樹。その悪夢の肉果実の1個1個からは、さながら「千切れた肉の間から突き出した骨」を思わせるような、鋭利なれど美しく輝く【魔石】が生えている。
青の結晶たる【魔石】は周囲の魔素を吸収しながら、少しずつ【魔石】を成長させていく。これは「魔素」の完全な上位互換としての性質を持っており、オーマの"迷宮経済"を根本から変えた。
ただし、【魔素結晶花】自身にも「維持命素」と「維持魔素」があって、自分自身の"維持"に、魔石・命石を使うことができないという制約は存在している。
≪属性砲撃花≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:各種魔法属性
・進化元:魔素結晶花
【コスト】
・生成魔素:570
・生成命素:340
・維持魔素:98
・維持命素:56
【進化先】
???
【特徴】
本格的な"魔法"を扱うエイリアン種。
【属性砲撃花】は総称であり、オーマが解析済みの魔法属性適応因子に対応した、例えば【火属性砲撃花】と【風属性砲撃花】が存在する。
胞化前の多くの"房"に分かれていた結晶の苗床が一つに集約されており、ちょうど肉でできた"玉ねぎ"のような、肉でできた葉のような分厚い皮が何枚も折り重なっている"巨人の心臓"の如き見た目。
魔法の発動時は肉皮の葉が、みちゃあと音を立てながら蓮の開花のようにべろんとめくれ、中からボーリング球大の結晶体が現れる。
胞化前の"結晶"生成の機能がエイリアン進化的な意味で引き継がれていることを示す特徴であるが、属性ごとの相違点としては、結晶体の色が異なる。火属性砲撃花の時は赤色で、風属性砲撃花の時は緑色であり、肉々しい触手に絡みつかれ、瞳の中にある「ガラス体」のような生物的な生々しさを備えている。
これこそが、魔法発動の媒体となるが、できることは『その属性の魔法の塊を生み出してぶっ放す』という意味での【魔法の矢】や【魔法弾】【魔法球】を生み出す程度。
≪陽魔変換花≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:葉緑
・進化元:魔素結晶花
【コスト】
・生成魔素:620
・生成命素:470
・維持魔素:55
・維持命素:23
【進化先】
???
【特徴】
因子【葉緑】によって、その特性が変化した【魔素結晶花】。
見た目は"肉レーズンパン"であるが、レーズンの代わりに、細かなつぶつぶの結晶体が多く生えており、それらが日差しに反応してキラキラと輝いている。
そして、その特性は「太陽光発電」の如く【魔界】の黒き太陽の日差しに反応して「魔素」を生み出すこと。
言わば「迷宮経済」における追加のリソース生産ラインを仕立てることができ、"拠点換え"自体のハードルを一挙にゼロに近けるほど、すなわち迷宮領主の"弱点"の一つを、ほぼ解消できるほどの可能性を秘めている。
ただし、夜や曇りといった天候の影響を受けるところまで『太陽光発電』の弱点を真似ており、経済拡大によって使役できるエイリアン軍団の規模が一気に増やせる分、不安定性も増す可能性がある。
なお、"装備"としては微妙。
サイズといい、形状といい、エイリアン達の邪魔にしかならず、上位世代連中の維持命素や維持魔素を補うには到底足りないからである。
≪命素結晶花≫:第2世代
【基本情報】
・必要因子:命素適応
・進化元:奴隷蟲
【コスト】
・生成魔素:250
・生成命素:320
・維持魔素:45
・維持命素:70
【進化先】
・属性障壁花
・陽命変換花
【特徴】
周囲の魔素・命素を少しずつ吸収しながら、それぞれ『命石』という戦略資源を生み出すファンガル種。
基本的な特性は【魔素結晶花】に同じ。
≪属性障壁花≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:各種魔法属性
・進化元:命素結晶花
【コスト】
・生成魔素:340
・生成命素:570
・維持魔素:56
・維持命素:98
【進化先】
???
【特徴】
砲撃花と同様の結晶体が中心にあるが、見た目と造形は異なり、砲撃花の方が「肉タマネギ」とすれば、こちらは「肉チューリップ」。
隠されているのではなく、最初から結晶体が露出しており、絡みあった三本の触手が茎となって結晶体を花か実のように大切に支えている。そして、6枚ほどの肉でできた葉みたいなものが茎の根元から生え、上へある程度伸びたところで垂れ下がっている、という見た目である。
その性能は、範囲内の対応する属性魔法効果を、かき消すか減殺するというもの。
結晶体がそれぞれの属性色で光り、魔力の波動が障壁花の周囲一体に展開すると、その範囲に入り込んだ対応する属性への"対抗魔法"が発動するという仕組み。
無論、限界はあり、範囲は結晶体を中心に半径10メートル円形。
対抗魔法も無制限ではなく、障壁花自身のMPを消費する。また、仮にMPが十分にあったとしても、一撃の威力があまりに高いものは貫通される恐れがある。さらに、あくまで"対抗魔法"であることから、自然現象等の非魔法的な力に対しては無力。
≪陽命変換花≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:葉緑
・進化元:命素結晶花
【コスト】
・生成魔素:470
・生成命素:620
・維持魔素:23
・維持命素:55
【進化先】
???
【特徴】
因子【葉緑】によって、その特性が変化した【命素結晶花】。
基本的な特性は【陽魔変換花】に同じ。
≪保存臓≫:第2世代
【基本情報】
・必要因子:無し
・進化元:奴隷蟲
【コスト】
・生成魔素:160
・生成命素:120
・維持魔素:25
・維持命素:16
【進化先】
???
【特徴】
膨らんだ木の瘤のような形をしており、表皮は硬い。生物的な根を這わせ、時折鼓動するというエイリアン=ファンガル種の共通特徴もしっかり備えている。
その特徴的な効果としては、生物や液体等を収納すると、雑菌による腐食を劇的に防ぐことができ、長期間保存可能になるということがあげられる。硬い表皮の中は非常にぬめぬめしていて肉質的であるが、例えばボアファントの生肉を入れておいたところ、数日経っても腐り始める気配が無く、雑菌の活動自体を抑制する効能が存在することが予想されている。
また、外は硬くとも中からは風船のように膨らむ柔軟性を有しており、見た目の体積以上に"保存"が可能で、最大で元の5倍近いサイズ――ドラム缶1つ分以上にまで膨張する。
≪肉塊花≫:第2世代
【基本情報】
・必要因子:硬殻
・進化元:奴隷蟲
【コスト】
・生成魔素:120
・生成命素:150
・維持魔素:35
・維持命素:52
【進化先】
・触肢花(必要因子:伸縮筋)
・鶴翼花(必要因子:飛翔)
・擬装花(必要因子:擬装)
・巣窟花(必要因子:寄生)
・酩酊花(必要因子:酒精)
【特徴】
その名の通りの3~4メートル立方の巨大肉壁。
これでも「動かない動物型」としてきちんと生きており、時折肉々しく蠢き、千切れたり引き裂かれたり貫通された箇所の"肉"が、みちみちと再生。
ただし、障害物としての運用以外に、他のエイリアンを取り込んで、中で生命維持しておく機能を有している。回復や再生の補助は不可能だが、酸素や水分と魔素・命素の通気性に優れている。
≪触肢花≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:伸縮筋
・進化元:肉塊花
【コスト】
・生成魔素:240
・生成命素:380
・維持魔素:41
・維持命素:67
【進化先】
???
【特徴】
巨大な一本の「触手」でできており、丸太のようなタコ足が地面から生えたような見た目で、紫色の象鼻の如くウネウネとくねっている。
一方で、ファンガル種達に共通の特徴である、地面や壁に向かって這い伸びている"肉根"は比較的小さくため、「植え替え」がかなり容易――なだけでなく、ファンガル種でありながら自力で肉根を地面から引き出し、必要があれば触手丸ごと一本な本体で、尺取り虫の如く這って移動することが可能。
そして、また適当な位置を決め、ずぶぶと肉根を伸ばしてそこに居直る。
役割も働きも非常にシンプルであり、その太い触手でもって侵入者を打ち据える、貫く、締め上げる。見た目通りに力持ちであり、丸太や岩などの質量兵器を振り回させたりぶん投げさせることもできるため、汎用性は高い。
その特性は土木工事にも向いており、言わば生けるクレーン車兼はしご車の役割も果たすことができるため、防衛戦力としてよりも、現在は"土木工事"部隊として運用されている。
≪鶴翼花≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:飛翔
・進化元:肉塊花
【コスト】
・生成魔素:270
・生成命素:410
・維持魔素:41
・維持命素:52
【進化先】
???
【特徴】
植物を「芽」のまま巨大化でもさせたかのような、肉でできた巨大な"双葉"のような見た目。茎や根に対して「葉」に当たる二枚の薄べったく伸びた"肉"が、収縮と蠕動を繰り返している。
この、たたみ1枚はある"肉の羽"の触感は微妙につるつるしており、戦闘系のエイリアン達の皮膚と感触が非常に近い。
その特性は"装備品"に寄っており、相手の「体格に合わせて」収縮してちょうど良い大きさに変化する。接合部が「肉の根」で絡みつかれているというグロさを気にしなければ、まさに"翼が生えた"と言っても過言ではない。
ただし、さすがに、本職の空飛ぶ生き物みたいな自由自在な「羽ばたき」はできないようであり、純粋な飛行能力という意味では【誘拐小鳥】や【風斬りツバメ】らには遥かに及ばない。しかし滑空や落下時の衝撃を大きく減殺することができ、例えば空挺部隊のように走狗蟲達を運用することができる。
≪擬装花≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:擬装
・進化元:肉塊花
【コスト】
・生成魔素:300
・生成命素:280
・維持魔素:77
・維持命素:56
【進化先】
???
【特徴】
触手やら肉と脂によって、少なくともぱっと見の外形としては、俺の知るエイリアンや動物達を「模倣」させることができる。ただし、あくまでオーマが知っている動物のみ。
何にも「擬装」していない元の姿は、イソギンチャクみたいな触手が無数に収納された寸胴な肉のドラム缶に近い見た目となっている。
≪巣窟花≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:寄生
・進化元:肉塊花
【コスト】
・生成魔素:670
・生成命素:990
・維持魔素:133
・維持命素:152
【進化先】
???
【特徴】
見た目は触手根の生えた(これはファンガル種の共通だしなぁ)溶けかけた穴開きチーズ。
一定間隔で"穴開き"部分から、非常に小さな羽の無いハチのような【寄生】能力を有した超小型エイリアンを生み出すのが特徴である。この寄生エイリアンの特性は下記。
・寄生小虫は巣窟花1輪あたり10匹が最大維持数
・パラサイトには維持コストがほとんど無く、数日でも単独潜行可能
・「寄生」した動物から多少の養分を吸い取ることで、さらに長期の潜行が可能
・「寄生」した動物がある程度小さい場合、行動をいくらか制御可能
・死んだ場合、巣窟花から数時間で新しいパラサイトが放出される
「寄生」したことによって目立たなくなり、遠くまで行ったパラサイトから副脳蟲によって情報を吸い上げ、かなり効率よく比較的低リスクで「偵察」を行うことが可能。
難点として、パラサイトは小さいため脳も小さいことから、ブレイン達の情報収集能力を以ってしても、得られる情報の選別に時間がかかる。また、あらかじめどういう情報を「重視」しておくか指示を出しておく必要があるものの、パラサイト自身が寄生主の視神経や周囲の音などを「記憶」することも可能である。ただし、この機能はこれも巣窟花に戻ってからでなければ、指示を変更できないが。
来たる【人界】への浸透に向け、オーマから期待されているファンガル種。
≪酩酊花≫:第3世代
【基本情報】
・必要因子:酒精
・進化元:肉塊花
【コスト】
・生成魔素:300
・生成命素:220
・維持魔素:68
・維持命素:24
【進化先】
???
【特徴】
ラフレシアに切り株みたいな下半身が生えたような見た目である。あるいは腰掛けるのにちょうど良さそうな切り株の上に、ラフレシア的肉塊をどちゃりと乗せたようなもの。
ラフレシア部分の中には"酒"と思われる、うっすら緑がかった液体が入っている。これはエイリアンの「体液」を元にしたものであり、人種はおろかエイリアンですら酔わせるほどの度数を誇る。
ソルファイド曰く竜人種の秘酒『仙人肝抜き』よりも強いとのこと。
オーマは飲むのを遠慮しているが、ル・ベリが泣き上戸であることが判明した原因。