人狼の館に着く前、ソノイチ
赤いフードを揺らしながら一人の少女...赤ずきんは溜め息をつく。
「お婆様、まだ具合がよろしくないのかしら。いつもこの時期は私の家に来てくださるのに...」
色とりどりの花が咲き誇るこの時期、赤ずきんの祖母はいつもこの家に来て赤ずきんと遊んでくれます。
しかし今年は祖母が病気を患い、床に伏せているためそれは叶いませんでした。
「そうだわ!お婆様が来れないなら、私が行けばいいのよ!」
突然思い付いた名案に赤ずきんはパッと顔をあげ、ワンピースを揺らしながら仕度を始めました。
母親にお見舞いの品を貰い籠の中に入れ、鏡の前でお気に入りのワンピースを身につけ、籠を持って家を出ようとしました。
すると、母親が赤ずきんを呼び止め、マッチと片耳だけのイヤリングを渡してきました。
「何かあったときにマッチは必要よ。籠に入れておきなさいね。イヤリングは着けときなさい。きっと貴女を救ってくれるわ。」
「でもお母様、こんな高そうなもの...しかも片耳だけって...どうして?」
「...直に分かるわ。さ、行ってらっしゃい。寄り道しては駄目よ?狼には気を付けてね。愛してるわ、私の可愛い赤ずきん。」
まるで別れの言葉のようだわ。
そう感じながらもなにも聞けずに、
「はい、行って参ります!お母様。」
と答えることしかできなかった。
遅くなりましたが、投稿させていただきました!
最近は学校が新学期で忙しくて...
遅くなりました、すみません( >Д<;)