ループもの問題
2000年代後半よりSFエンタメの名作はループものが主流だ。異論は認める。
とりたてて僕が好きなのはシュ◯ゲなわけだがループものには根本的ないくつかの問題がある。
(なろう読者の諸君には僕が好きななろう作品がわかっただろう!)
一番メジャーな問題は・・を語る前にループもののテンプレートなストーリーを説明しよう!
ループものとは主人公がある特定の条件で過去のある地点に戻ってしまう話で、ループ間にある諸々の問題やループそのものを解決するため東奔西走するのが物語の骨子となる。
ここに主人公のたかし君がいる。彼はニートであり、日々お母さんに働くように言われては「うるせえババア殺すぞ!」と息巻いている(実際は腫れ物扱いで声をかけられることのほうが多いだろうが)。
「ああっよく寝た。・・もう2時か・・」
昼過ぎに起きた彼は1階の冷蔵庫に向かう。
「ちっババアがまたコーラを買い忘れてやがる」彼は久しぶりにコンビニに出かけるようだ。ちなみに彼のモデルはう◯ちゃんである。
彼がコンビニに行くには通りを横断しないといけない。
「めんどくせーな。本当ここの信号はなげーんだよなあ」
彼が面倒くさそうに信号が変わるの待っていると、横断歩道の向かい側にまぶいちゃんねえがいることに気づいた。
「おおー可愛いじゃねえか!」
たかし君は目がいいことが密かな自慢だった。
「やっと青になったか。まあ白ワンピのかわいこちゃんを視姦してやりますか」
彼はジッと向かいから来る娘を見つめる。見つめる。見つめる。彼は機会さえあれば脳内にある美少女フォルダにネタに使う女性を保存しているのだ。
彼が近づいてくる女の子に夢中になっているそのとき黒いワゴンが二人に向かって突っ込んできた。
「「えっ!!!?」」
たかし君は女の子に夢中、女の子はうつ向いて考え事をしており全く気づいていなかった。
「ちっちくしょおおお」
たかし君はとっさに女の子を突き飛ばした。
ギィイイイ!!ドンッ!!!
たかし君が最後に見たのは女の子が駆け寄る姿だった。
「ハッ!!」
たかし君はキョロキョロする。
「ハアハアハア・・2、2時!?」
という風にヒロインを救って死んで起きた時に戻るみたいな流れなわけだ。
ふつうは可愛いヒロインを救うために四苦八苦するわけだが・・
「ゆ、ゆめなのか・・?それにしてはリアルな感触・・ゲロオロロ」
彼は思い出して吐いてしまったようだ。
「・・た、確かめに行った方がいいのだろうか・・」
「ま、いっか脳内フォルダにはちゃんと保存されてるし」
彼はかなりドライな性格なのでどうやら今日は家に引きこもってしまうようだ。
しかしそうは問屋がおろさず寝て起きたら再度前日を繰り返す・・ループの原因は白ワンピの女の子にあるのでは・・と問題解決のために動き出すたかし君!みたいな話の流れがこの後まっているわけだ。
さて話を本筋に戻そう。ここでたかし君は何度か女の子を見殺しにしたり救ったりするわけだが、その彼女たちが同一の女の子かが問題なのである。
パラレルワールドを想象してもらえるとわかりやすいが世界線αの女の子と世界線βの女の子は同一の個体なのだろうか?逆パターンでもいい、いやむしろその方がわかりやすいだろうが・・2巡目で救えなかった(救わなかった)女の子をたかし君が3巡目に救うことは本当に救ったことになるのだろうか?
もっと心理的によった問題をあげるならば・・(安っぽい言葉かも知れないが)命は一つだから尊いと我々は考えている。おそらくたかし君にとって3巡目の女の子の価値は1巡目のときの3分の1になっている。
彼は生来のめんどくさがりなのでおそらく数年は何もしない。数十年は女の子関係なくループ解除の方法を探す。数百年たってやっと女の子を救うのだが、そのとき彼にとっての女の子とは窓枠にたまった埃とさして差がない。
こういった問題の中にいかにロマンチシズムを盛り込むかがエンタメ作品の骨頂なのだろう。
わりと明示的にこれを昇華しているから僕はシュ◯ゲが好きなのだ。
もちろんクソニートのたかし君は問題を昇華して物語とすることができないのでお話にならない(作者の能力不足ではないのだ^^;)。
しかしこの問題は根本的な解決が非常に難しい。もちろんこれ以外にも様々なループに付随する問題が考えられる。ループものは大好きなので面白い解答を出した作品に出会いたいものだ。