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俺と彼女達の下半身事情-魔物娘と過ごす日々-  作者: 黒箱ハイフン
第二部 三話 『魔族令嬢の舞闘会……つまり、あたしが主役よ』
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094 『力技』

「まずは小手調べよ! このぐらい、しっかり防いで見せなさい、炎よ!」


 手の中に火球を生み出し、メイディへと投げつける。


 魔力も少なく発動も早い、いちばん使い慣れた魔術だ。


「懐かしい技ですわね……」


 使い慣れたもの、ということは当然ながらメイディもこれは知っている。もちろん、昔に比べたら遥かに威力も精度も高くなりはしているけれど。


「でしたら、あたくしもこうお返しするべきですわね――氷よ!」


 メイディが生み出したのは透き通るような氷。そう、彼女の得意な魔術は、あたしと正反対なことに氷なのだ。


 ――そして、舞台の中央で、あたしの炎とメイディの氷が衝突する。


「ふん、やるじゃない。どうやら、腕は鈍ってないみたいね」


「レイアさんこそ、それでこそあたくしが認めた相手ですわ!」


 炎と氷は共に掻き消え、ただの水蒸気が漂うだけ。


 お互いの魔術は完全に打ち消しあった、ということだ。


「それじゃあ、ここからが本番よ! 始めましょうか……! 炎よ……!」


 再び火球を生み出す。ただし、今度は一つでなく一気に五つを。それらを全て一気にメイディへぶつける。ただまっすぐ飛ばすだけでなく、それぞれ別の方向から弧を描かせて。


「くっ、無駄ですわよ、そんなもの、なんどやっても!」


 そう言って、メイディのほうも氷を生み出し炎へと向かわせる。


 結果は先ほどと同じ、打ち消しあって水蒸気が辺りを包むだけ。


 ――だが、それがあたしの狙いだ。


 魔術が相殺することにより生まれた水蒸気。それらによって、数瞬だけ閉ざされる視界。


 その機を逃さぬように、尾の伸縮を駆使して一気にメイディの元へと向かう。


「捕まえたわよ……!」


「なっ、れっ、レイアさん!?」


 メイディの身体に尾で巻きついてその動きを止める。


 両腕の上から巻きついているので、簡単に逃れることは出来ないし、先ほどのような手から出す類の魔術は使えない。まぁ封じて何より大きいことは、他にあるのだけれども。


「くっ、ですが、尾があるのは、あなただけではありませんわ……!」


「あったとしても、もう関係ないわ! こうやって組み付いてるんだからね!」


 メイディもまた蛇の魔族。彼女のドレスにも蛇の尾があることだろう。だが、先に巻きついているのはこちらなのだ、もはやそんなもの意味はなさない。


「それじゃあ、一発キツイの行くわよ!」


「まっ、まさか……!?」


 この状況なら相殺なんてできないだろう。そう、考えてみれば前のミーティアのときもそうだ。離れているから避けられるし防がれる。だったら避けられないくらい近くからやればいいのだ。


 あたしだって喰らうことになるが、馴染みのあるものだしきっと大丈夫なはずだ!


「燃え尽きるわよ!」


 メイディの悲鳴を無視し、あたしは両手に特大の炎を生み出す。


 そして、そのままそれを抱え込むようにしてあたしごとメイディへとぶつける。


 響く轟音。ほとばしる爆炎。


 それらが晴れた後、あたし達は二人とも立っていた。


 けれど、あたしが尾を緩めた瞬間、メイディが倒れこむ。


「じっ、自爆だなんて、美しくありません、わ……!?」


 なんて言葉を残して、黒焦げになったメイディが意識を失う。もちろん、あたしも同じく黒焦げで満身創痍であるけれど。


「でも、これでまずは一勝ね……!」


 晴れ晴れとした気持ちで、あたしもその場に仰向けに倒れこむ。


 我ながら力技だったけれど、勝ちは勝ちなんだからいいのよ!

遅くなりましたが今週の更新です。


時間がなく、色々あんな戦闘描写に。

けれど、ある意味レイアらしい戦い刀気もします。w


深くは考えず、玉砕覚悟で炎全開。

みーくん相手にもそれをやってたら……まぁどうにかなった、かも?


そんなわけで今回も読んでいただきありがとうございます。

次回もどうかよろしくお願いいたします。

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