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俺と彼女達の下半身事情-魔物娘と過ごす日々-  作者: 黒箱ハイフン
第二部 二話 『我家と交流……えぇ、我家と』
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084 『寄りたいところ』

「それじゃあ、そろそろ帰るか」


 日はもう傾き、夕暮れ時。町にいたのなら、そのままそこらで食事をしたりとかもよかったが、住宅展示場のあるような住宅街に、それ以外に見て回る場所なんてあるはずも無い。


 けれど、帰ってきたのは俺の予想に反したものだった。


「あの、もう一つだけ、帰る前に行きたいところがあるのですが……」


 おずおずと控えめにいってきたその望みを、断るはずがない。


「勿論、大丈夫だ。それで、何処に行きたいんだ?」


「それは、あっ……」


「っと!? 大丈夫か?」


 唐突に倒れかけた霜を掴んだ手のままに引き寄せて支える。彼女の幼い見た目どおりのその軽さからは、依織以上に華奢なものを感じてしまう。


「もっ、申し訳ありません!」


「色々見て回ったし、疲れるのも当然だ。気にすることは無いって、寧ろそれだけ楽しんでくれたって事だから嬉しいしな」


 腕の中で畏まる霜に苦笑する。すぐに謝り礼を言える素直さはいいけれど、彼女は色々気にしすぎなところがある。その幼い見た目通り、とはいかなくてももう少し軽く考えられるようになったらいいのだけれど。


「けど、そんな体調じゃここから更に歩いて何処かに行くのは難しいかもな」


 近くでよく見ると少し息も荒いし、全体的にだるそうな雰囲気がある。このまま歩いてどこかに行くのは、できたとしても辛そうだ。


「はい、そう、ですね。ですが、うちは……」


「誰も、行かないなんていってないさ。単に、お前を歩かせるのは辛そうってだけなんだから――、」


「ひゃう!? あっ、主さま、一体何を!?」


「ほら、こうすれば問題なんてないだろ?」


 片手で腰を、もう片方の手で背を支えた状態で、俺は霜を抱き上げていた。俗に言う、姫抱きという奴である。歩かせられないなら、歩かせず運べばいいという簡単な話だ。


「あぅ、また、お手を煩わせてしまって。うち、そんなつもりでは……」


「気にするなって。寧ろ、謝るよりも礼を言ってくれたほうが嬉しいところだな。霜は凄く軽いんだから、全然辛くもないし。あ、もしかして、こうされるのは嫌だったか?」


「そんなことはありません! こんなことをして貰えて、うちは本当に果報者です! ありがとうございます、主さま!」


 慌てて答える霜に苦笑する。


 そしてとりあえず、嫌がられてないというのが分かってよかった。万一、彼女が嫌だと思っていたのなら、嫌がるメイド服の幼女を無理やり抱きかかえるなんて事案が発生してしまうから。


「流石に言い逃れできない、誘拐として捕まるのは確定事項だろうな……」


 遠い目をして呟いてしまう。そして、たとえ同意があろうとも、周囲の目が痛いことには変わりは無いのだけれど。当人である霜が嫌がってないことは、本当に救いである。


「それで、何処に行きたいんだ? 結局、さっきは聞きそびれたからな」


「あっ、はい、うちが行きたいのは、奈々さんのところです」


「奈々のところって、一体なんで? まだあいつは家族旅行から帰ってないと思うぞ」


 全く予想してなかった上に、その理由も何も分からない答えに首を傾げてしまう。どうしてここにきて、奈々のところへ行きたがるのだろうか?


「あ、言い方が悪かったです。奈々さんのところ、正確には、浮神神社に行きたいんです。お願いしても、よろしいですか?」


「あー、まぁあそこぐらいならここからそこまで離れてるわけでもないし、そもそも途中の帰り道だから問題ないが……」


 どうして、神社に行きたがるのだろう? もしかして、同じように奈々の家も化身になってたりするのだろうか?


「それでは、主さま、暫しお手数をおかけしますが、お願いいたします」


「了解、任せとけ!」


 疑問はあれど、所詮は些細なものだ。ほとんど人を頼らないような霜が、こうやって頼ってくれたのだから、その期待に答えないわけにはいかないのだから。


ギリギリですが、何とか間に合いました、毎週日曜の定期更新です。

遠出して来たせいで、書けるかどうか微妙だったというね。

まぁ更新日に更新しないという、前回のような体たらくを繰り返さずにすんでよかったです。


なお、内容は毎度同じく新たな事案が発生しております。w

メイド服幼女を連れるだけでも大概なのに、それを姫抱きしたままで神社まで行くとか、色々上級者です。



それでは、今回も読んでいただきありがとうございました。

次回も日曜更新予定ですので、どうかよろしくお願いいたします。

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