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俺と彼女達の下半身事情-魔物娘と過ごす日々-  作者: 黒箱ハイフン
第三話 『恋人として……たとえ、それが偽りだとしても』
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019 『似合わない表情と守る決意』

 レイアの親達が帰った後、リビングにいる俺達の間には微妙な空気が漂っていた。

何を言えばいいのか分からず、けれど無視することもできるようなことでもないのだ。


説明を受けた依織が責めるような視線の向けると自分の部屋に篭ってしまい、今ここにいるのが俺とレイアの二人だけというのも、気まずさに拍車をかけている。


「……巻き込んで、悪かったわね」


 そんな雰囲気の中、言いづらそうにレイアが俯いたままに声を出した。まぁ確かに恋人として紹介されるのは予想外だったが、巻き込まれるのはよく考えれば最初からだ。


「らしくないな、お前がそんな風に謝るなんて。そもそも巻き込んだなんていっても、始めからお前に何か事情はあることは分かってたんだから、今さらだろ」


 そう、彼女に最初出会ったとき、誰かに追われていて何か事情があるとは分かっていたのだ。流石にそれがお見合い騒動だなんて思いもよらなかったが。


「それより、明日俺はどんなことをすればいいんだ? 家族なんだから母親の性格から、どんなことをやらせてくるか、ある程度は傾向とか分からないのか?」


「それは、ママは多分あんたを試すような無理難題を出してくると思うけど……」


「やっぱそういう雰囲気だよな、あの人。じゃあ何があるか分からないが、荒事になるのも覚悟して、今日のうちにしっかり体調整えておくべきか。流石に、明日は学校いけそうもないな」


 平日なので授業があるのでいけません、なんて言い訳は恋人の一大事だとしたらありえない。実際は恋人ではないが、それでもレイアのことを放り出していく気にはなれない。


「ちょっと、そんな安請け合いしていいの……? 言っておくけど、ママは人間相手でも容赦なんかしないし、どんな目に遭うか分からないわよ……?」


「おいおい、お前は俺を諦めさせたいのか? そんなこと言って、本当に俺が付き合うのをやめるとか言い出したらどうするんだ?」


 心配してくれるのはいいが不安ばかりを煽られても困る。こいつは俺のやる気をなくさせるつもりだろうか?


「それは……。けど、さっきはああ言ったけど、あんたが無理して出なくても、あたしが我慢すればいいことなのよ……?」


「けど、お前は嫌なんだろ、見合い? だったら、俺が出るしかないだろ」


「だから、なんでそうなるのよ……? あたしとあんたはついこの前、知り合ったばかりじゃない。それなのに、どうしてあたしのためにそんなにしてくれるのよ……?」


「いや、どうしてって言われても、俺は単に自分の思うようにやってるだけだしな。ただまぁ、強いて言うなら――」


 と、言いかけた台詞に恥ずかしくなり止める。


「強いて言うなら、なによ? そこまで言ったのなら、最後までちゃんと言いなさいよ」


けれど、聞いていたレイアのほうがそれで納得してくれるわけもない。結局、そのまま続きを口に出させられる。


「……そんな顔が似合わないからだよ。そんな風に落ち込んでるなんて、お前らしくないだろ」


 なんというか、くさすぎる言葉である。けれど、本当にそう思ったのだ。いつもの勝手で傲岸不遜なレイアが、大人しく落ち込んでいるのはどうにも落ち着かない。


「なっ、なによそれ……!? あたしがいつ落ち込んだっていうのよ!」


「さっきだよ。まぁ今は大分マシになったけどな。やっぱ、お前はそうやってるほうが、似合ってるぞ。あんなふうに落ち込まれると、こっちまで気がめいるからな」


「分かったわよ、それなら、あんたの言うとおりいつもどおりでいればいいんでしょ! その代わり、絶対に明日は付き合ってもらうわよ! それに、もし失敗したら許さないからね!」


 声を張り上げて怒るレイア。ようやくいつもの調子に戻ったようだ。色々と面倒な性格のやつだが、やはり彼女はこうでなければ。大人しい彼女など、レイアではない。


「分かってるって。勿論、やるからには全力でやってお前を守ってやるさ」


 何が待ち受けているかは分からないが、明日はなんとしても成功させよう。


レイアに言葉を返しながら、改めてそう思う俺だった。


なんとなくの更新。

……といいつつ、実は収める分量が短いけど、ひとまとめにするには微妙な内容だったため分割更新という現実。なので短いのはご容赦を。


主人公が主人公するところは大切です。



そんなわけで月曜定期の更新も勿論やります。


それでは、読んでくださいりありがとうございました。

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