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俺と彼女達の下半身事情-魔物娘と過ごす日々-  作者: 黒箱ハイフン
第二部 五話 『世界を喰らう蛇……えっ、なんでこんな展開に』
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141 『雲の上へと』

「っと、それは喰らってやれないな」


 目が合って即、こちらに喰らいついてくる大蛇の顎を、空を蹴ってかわす。


 当然ながら、空亡装備のお陰である。先程の戦いで、この黒い靄を纏っての動きにはだいぶ慣れてきた。これならば、より機敏な動きでもってレイアを助けることも出来るはずだ。


『それはどうかのう? あちらもより魔力を凝縮しておるようだ、ほれ、下からくるぞ?』


「なっ、くそっ……!」


 避けたと思った矢先、大蛇はその大きな首で方向転換をして、上へと飛んだ俺を飲み込もうとしてきていた。


 慌てて更に飛び上がるが、あちらの速度も速く、なかなか振り切れない。


「寄ってくるなって、の!」


 その鼻先を踏み台に蹴り飛ばすようにして、直角に飛び退く。流石に、更に背中側に九十度は曲がれないらしく、ようやくその追撃から逃れることが出来た。


「あー、もう、速度強化されるすぎだろ、あいつ……」


『まぁあれからそこまで身を縮めたわけではないが、魔力をより全身にいきわたらせておるのだから当然であろうな。それより、核の――レイアがいるであろう場所は分かったぞ、ほれ』


 そんな空亡の言葉と共に、視界に映る大蛇の胴の中腹辺りに赤い丸が現われた。


 ――そこに、レイアが囚われている。


 そう思うと、眼前の大蛇への戦意がより湧き上がってくる。絶対に、彼女を助けてやろうという想いと共に。


「なら、そこを一気に蹴り開けばいいってことだな」


『うむ。だが、その印を丁度狙うとそこにレイアが居るであろうから、少しずらすように気をつけるようにの』


「あぁ、そうだな。大丈夫、そこは分かってるさ」


 目の前の大蛇は以前の高層ビルほどの長さとさほど変わりは無い。太さは人間二~三人分、大体五~六メートルといったところだ。ならば、余裕を持って印の位置から五メートル程の所を蹴り入れれば大丈夫だろう。


「問題は、どうやってそこを狙うかだな……」


 大きさはあまり変わらなくても、その速度は大きく上がっているうえに、その長い身体を生かして方向転換して襲い来ることも可能だ。


 機を窺うようにこちらを睨む大蛇だが、動き出したならその動きは機敏である。迂闊に、その胴を狙おうとすれば完全にその巨大な牙の餌食になるだろう。


「……よし」


 一応、手は思いついている。偶然ではあるが、さっきの一戦のお陰で突破口は見えた。あとは、それを俺がうまくやれるかどうかということだ。


「さぁ来いよ、さっきの続きと行こうぜ……!」


 こちらから、大蛇へと一気に飛び込むように距離をつめる。するとあちらもそれに反応し、その大きな顎を開けてこちらを飲み込まんと向かってきた。


「ちょっ!?」


 そして、その口が俺の眼前に来たところで、俺は先程と同じく、再び飛び上がる。だが、読んでいたのか、その動きに対応するかのように、飛び上がる瞬間を狙い大蛇はその口を閉じる。


「あっ、ぶねぇ……!」


 間一髪。あと数十センチずれてれば、その巨大な牙に食いちぎられていただろう距離だが何とかかわすことはできた。が、それで安心なんできるはずもない。


「よっと!」


 息つく間もなく空を蹴り飛び上がる。

 下を見なくても、気配で分かる。大蛇はすぐにその頭を方向転換し、俺を追ってきているのだろう。


「うぉおおおおおおおお……!」


 叫び、ひたすら空を蹴る。迫り来る威圧はごくごく近くに感じられる。今は何とかこっちが飛び上がるのが早いが、少しでも遅れればあの巨大な顎の餌食になるだろう。


 それでも、俺は飛ぶ。蹴り、飛ぶ。蹴り、飛ぶ。蹴り、飛ぶ。


 ただそれだけをずっと繰り返す。


 そして、生身の上半身が寒さを感じるほどに、雲さえも飛びぬけた先――、


「どりゃあ!」


 先程と同じく、大蛇の鼻先を蹴り飛び退く。


 そして直角に一気に飛んだ状態で、すぐさま更に俺は空を蹴る。先程までと逆方向へ。

 天に背を向け、空を蹴ることで重力もあいまって俺は、一直線に下へと落下していく。


 眼前に移るのは、真っ直ぐに伸びた輝く大蛇の身体。ひたすら上に飛び続ける俺を追うため、まるでビルのように縦に伸びきったその身体では更なる急な方向転換は出来ないだろう。


「――よし」


 急降下していく中、俺の頭は唯只管に冷静だった。実時間とは違い、まるでスローモーションのように映り行く景色の中、先に見える赤い印を見つめる。


 そして、印のある箇所を通り過ぎた瞬間、


「そこだぁああああああああ!」


 印から数メートル外れた場所に対して、俺は渾身の蹴りを放つ。

 タイミングも、場所も、状況も、そして込めた威力も気迫も、最高の一撃だった。


 なのに。


「……えっ?」


 戸惑いの声を上げてしまう。予想外の感触に。


 脚に伝わるのは、まるでゴムのように硬い反応。先の戦いでは、これでその頭を消し飛ばすことができたというのに。大蛇の身は特に堪えた様子はなく、俺の身体をそのまま弾き返す。


『ふむ、魔力が満ちればその防御もあがるのは必然であったか』


 そんな他人事のような空亡の言葉を聞きながら、空に投げ出された俺は、迫る大蛇の巨大な顎に丸呑みされてしまうのだった。


……すみません。orz

二週間ぶりの更新です。

毎週更新したいのに、色々あって更新できないのが悲しくなります。

こういうときだけはNEET生活に戻りたくなるから困ります。


そして内容。

苦手なバトルシーンです。

あっさりしてますが、実力不足ですみません……。orz



それでは、今回も読んでいただきありがとうございます。

次回こそ、来週中に更新を目指します。

盆休みだから、きっといけるはず……!

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