136 『聖書のように』
俺が装備を変えたところで、大蛇はこちらを気にした様子は一切ない。
先ほどと変わらず、その巨大な口で、俺のことを丸呑みにしようと迫りくる。
「全く警戒してない、か」
俺がどんなものをつけていようと、結局あの大蛇にとっては関係ないということなんだろう。それが巨大ロボの下半身だったり、この黒い靄であったとしても。
確かに、巨大な大蛇から見たら今の俺なんて小さな羽虫程度の大きさかもしれない。けれど、だからといって、なんの反撃手段もないと思うのは大間違いだ。
「ほんと、ある意味では楽ではあるな、ここまで舐められてるっていうのは」
大蛇が俺の元へと辿りつく寸前、俺は蹴り上げた。ただし、それは大蛇では無い。
俺が蹴り上げたのは空――具体的に言い表すならば何もない空間だ。漫画やゲームでおなじみのありえない挙動、俗に言う空中ジャンプというやつである。
「油断したそっちが悪いんだぜ――今度こそ、喰らいやがれッツ……!」
言って、脚を振り下ろす。空中ジャンプなんてありえない挙動で飛び上がった先から、俺が飛んだことで空振ったばかりの大蛇のその鼻先へと。
――グシャっ。
言葉にするならば、そんな感触。
それと共に、ドゴンッ!という大きな音が響き、巨大な大蛇の頭は粉々に消し飛んだ。
「なんだ、これ……」
自分のしでかしたこととはいえ、呆気に取られる。
俺の攻撃――飛び上がり、鼻先に向けてはなった踵落としは、一撃で大蛇の頭部を粉々に消し飛ばした、というだけでも大概な威力だった。が、それだけではなかったから。
「どこぞの聖人かって話だな」
大蛇を消し飛ばすだけでは収まらず、あの一撃の余波は、更にその下にあったものまでも割っていたのだ。
『くくくっ、どうじゃ、我本来の力の一端は?』
「うん、頭おかしいだろ、これ……」
確かに、凄い力は感じていたし、実際これなら戦える、とまで思いはした。だが、流石にここまで頭の悪い威力とは想像もしていなかった。踵落としの余波で、遥か下にあったはずの、巨大な海を真っ二つにするっていくらなんでも……。
「というか、これで一端なのかよ……」
半減状態の空亡でも大概だとは思っていたが、俺と合体?して全盛期の一端を出しただけでこんなことになるなんて、本当に、大昔にこいつを封じたご先祖様達は凄すぎるだろ。
『と、無駄話はこれぐらいにして、ほれ、飛び避けるがいい』
「はっ、避けるって何を、ってなんでだよ!?」
空亡に言われるがまま飛び上がった俺がいた場所を襲うのは、先ほどからいやというほど目にしたもの。つまるところは、大蛇の頭である。先ほど俺が粉々に消し飛ばしたばかりだというのに。
『む、言わなかったかの? あれは魔力で作られておるものなのじゃから、その核を潰さねば、何の意味もない、と』
「いや、聞いてねぇよ!?」
どうしてそんな重要なことを、今更になって言うんだか、こいつは……!
『む、そりゃもちろん、暇つぶしじゃ』
「あぁくそっ、でしょうねぇ……!?」
思考を呼んでか、楽しげに声を伝えてくる空亡。ホント、こいつは人をからかうことに全力をかけていやがる……!
……はい、二週間ぶりです、すみません。orz
週一更新すら出来ないって色々悲しくなってきます。
文章量も少なすぎますしね。orz
とりあえず内容。
戦闘です。
……たぶん、次くらいで終わるはず。
それでは、今回も読んでいただきありがとうございました。
なんというか、毎度遅くて申し訳ありません。
次回こそは、来週のうちに更新したいと思いますので、どうかよろしくお願いします。