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俺と彼女達の下半身事情-魔物娘と過ごす日々-  作者: 黒箱ハイフン
第二部 四話 『婚約騒動の顛末とその賠償……いや、何で俺が』
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125 『正座』

「こうなった以上は仕方ない、君が見たとおりのことが、真実だ」


「えーと、つまり……?」


 諦めたような白蛇に、恐る恐る問いかける。



「……僕は女だということだ」



「えっ?」


 一体何を言い出すんだろうか?


 確かに、今は女の体なのかもしれないが、それは俺の能力のせいじゃないのか?


「いや、女って、男だろ、お前は。結局破談になったとはいえ、レイアと婚約しようとしてたし……」


「そうさ、僕はあの娘と婚約しようとしたさ。性別を偽って、な」


 自嘲するように白蛇はそう口にする。


 つまり、白蛇はもともと女で、だけど男のフリをして、レイアと婚約をしようとした、ということらしい。


一体どうしてそんなことをしたのか、理由を考えて思い至る。


「つまり、お前は同性愛者ってことか!」


「違う! どうしてそんな結論になるんだ……!?」


「いやだって、女なのに女のレイアと婚約しようとしたんだろ、ならつまりレズってことだろ?」


「はぁ、話して疲れるな……。なんてことはない、単に家の事情ということだ。だから、僕は男にならなければいけなかったのさ。だから、僕に同姓趣味なんてない」


「あー、なるほど、漫画とかでよくあるやつか。男じゃないと跡取りになれないから、女を男として育てるっていう」


 そんな設定の男装の麗人キャラというのは、最近では結構ありがちだ。流石に、現実にそれをお目にかかることになるとは思わなかったが。とはいえ、確かにそう言われてみれば、白蛇は女といわれてもそれほど違和感は無い。もともと中性的に整った顔立ちだったわけだし。


「ふん、そういうことだ。当主には男しかなれない。だから僕は、当主になるために、白蛇家を継ぐ為に、男として生きてきたんだ。少しずつ実績を積み上げ、そしてあの婚約さえなれば、分家達にも納得させられたんだが、あの件で全てが台無しになったのさ……」


「お、おぅ……」


「それでも、僕は当主にならなくちゃいけないんだ。命を削ってまで僕を生んでくれた母様の為に、そして僕を守り、育ててくれた父の期待に応える為に……!」


 レイアを助けたことは全く後悔してないし、あのときのことは間違ってないと断言できる。だけど、こうして白蛇の事情を聞くと、やはり罪悪感は抱いてしまう。いけ好かない野郎ではなく、健気な男装少女だと知った今では特に。


「だから僕は、絶対に当主になるんだ! その為なら、なんだってする。だから、このことは黙っていてくれ。そうすれば、僕は君の言うことをなんでも聞いてもいい」


「おい、今なんでもするって言ったな……?」


「あっ、あぁ、そうだ。君が黙っていると誓うなら、僕はなんだって……」


 ならば、俺が言うべきことは決まっている。言質は取ったのだから、それを利用して、要求を叶えるべきだろう。



「いい加減、許してくれ! もう、正座はキツイんだよ……!」



 ……うん、すまない、正座なんだ。


 実のところ、蹴り飛ばされてから現在まで、ずっと硬くて冷たい洞窟の中で正座させられていたのである。しかも手を離す危険は教えたので、ずっと片手を繋いだままで。


 俺が悪いのは事実だが、いい加減辛い。なんでも言うことを聞いてもらえるなら、とりあえずもう許してほしい。


「は、はぁ!? な、何を言い出すんだ君は……!? ぼ、僕を脅すんじゃないのか? そして、僕が女だからって酷いことをするんだろ! そうか、分かったぞ、こうやって一度油断させておいて、そこから脅して僕を……!」


「いや、どこのエロ漫画だよ……」


 なんだろう、この頭良さそうなはずなのに馬鹿なやつは。何を想像していたのかは気にしないことにするが、そんなことをするつもりはもともと無い。


「弱みに付け込んで脅すとか、どんな鬼畜だよ。そもそも、俺は義理を果たすってだけなんだ、お前が女だろうとそこに関してはかわりはないぞ」


 そんなのは、俺の主義に反する。いくらなんでも卑劣すぎるだろう。たとえ白蛇が女で、中世的な見た目に似合った丁度いい肉付きの、なかなか魅力的な脚を持っていたとしても。


「なんでまぁ、俺が要求したいことは一つ。いい加減さっきのことを許して、正座を勘弁させてくれってことだ」


「き、君がそれでいいなら、僕は構わないが、本当に、いいのか……?」


 信じられないとでも言うように、白蛇が聞いてくるが、特に俺としては要求することも思いつかない。そういうことに興味が無いわけじゃないけれど、そういうのはやっぱり互い好きあってというものだし。


 なにより、俺には依織とレイアがいるのだから。……どちらも選べてないんだけど。


「まっ、そうだな、もしそっちがそれで納得できないって言うんなら、膝枕でもしてもらおうか? ただし、ここを出て、しっかりお前が目的を叶えられたときにでもな」


「……まったく、君は本当に馬鹿だな」


「はぁ、なんで素直に礼を言えないんだか……」


「ふん、僕の勝手だ。ほら、いつまで座ってるんだ、さっさと行くぞ! もう試練は全て終わったんだ、後はその先で証を手に入れるだけなのだから!」


「ちょっ、いきなり動くな!? 脚が、痺っ、ぎゃぁぁぁああ!?」


 慣れの問題なのか、同じく正座をしていたはずの白蛇は全く痛がる様子もなく、俺を引きずり先へと進みだす。洞窟には、無情に俺の絶叫が響いていくのだった。


はい、安心と安定の遅れました、すいませんorz

これまで無職やってた為に色々無茶な時間に書いたりしてましたが、なんだかんだで就職決まって、次の日仕事だったお陰で書ききれなかったというね。


内容の話。

やっと出せました、追加ヒロイン、白蛇さん!

いやぁもともとこういう設定だったりします、少なくともWeb投稿に至ってからの時点では。


やっぱり男装の僕娘は必要ですよね!

本作では色んなヒロインを模索していきたいと思っていますので、とにかく色々属性出す予定です。w

(ただし、下半身が人外に限る)



それでは、今回も読んでいただきありがとうございました。

一応、休日は月火になりそうなので今後も毎週月曜(くらいに)更新はしていく予定ですので、どうかよろしくお願いいたします。


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