113 『終わりはいつか』
「はぁっ、はぁっ……。ホント、なんなのよ、あんたは、さっきから……!」
「さて、なんだろうねぇ?」
ふざけた様子で、あたしの攻撃をかわしながら笑うルキ。息があがってきたあたしとは違い、まったく疲れた風に見えない。さっきから、ひたすら攻撃し続けているというのに。
「そもそも、なんであんたはなんにもしないのよ!」
そう、先ほどからあたしの攻撃を避け続けながら一切攻撃を仕掛けてはこないのだ。あたしが空振って完全に隙だらけになったときもこいつは楽しそうに笑ってみているだけ、警戒してあたしの集中が切れるのを待ってるなんてこともないはずだ。
「うーん、君を見ていたいから、っていうのはどうだろう?」
「はぁ、何言ってんのよ?」
「ふふふっ、まぁなんでもいいじゃないか。ボクはやりたいことをやってるだけ、さ。別に避けてるだけなんだから、君が当てればいいだけだろう?」
「あーもう、なら、いい加減当りなさいよ」
苛立ち交じりの薙ぎ払いも、ひらりとたやすくかわされる。
けれど、大きな動きをして体勢が崩れかけたあたしにルキは攻撃を仕掛けるでもなく、遠巻きに眺めているだけ。
「どうしてこんなやつにあいつらは負けたのよ……!」
ミーティアとメイディがこんなやつに負けたなんて。もし、あの二人がここに立っていたのなら、こんなことにはならず、ちゃんとした戦いを出来たことだろう。
「ホント、何が狙いなのよ……」
尾で、拳で、魔法で、そして依織から貰った術式で。それぞれを繋げ、そしてときには織り交ぜて攻撃するも、すべてがかわされる。逃げ場もないような状況に追い込んだこともあったが、それすら転移でかわされてしまう。
「二人なら、なんとかなるかもしれないけど……」
少し放れたところでは、そちらでは依織とフリルと呼ばれた少女が戦っているのが見えた。依織の白い糸と、相手の少女の身体に纏っていた紫の飾りが、あたりを縦横無尽に飛び交っている。
「流石に、救援なんてできそうな状態じゃないわね」
どうやらあっちの少女のほうは、ルキと違ってまともに戦っているらしい。見た感じ、拮抗しているみたいだが流石にこっちに援護は求められないだろう。
「まともな相手ってだけで羨ましくなるわね……」
イライラしながら、当らない攻撃を続ける中、ひとつ思い浮かぶ。
「……ねぇ、あんた、あたしに攻撃する気はないのよね?」
「さぁどうだろう?」
なんて、答えながらも避けるだけのルキ。
だったら、こっちにも考えがある。避けるだけで何もしないなら――、
「相手にしなかったらいいだけよね! 依織、手伝うわよ!」
そう、考えてみればあっちが何もしないなら、わざわざ相手をしてやる必要なんてないのだ。ルキに攻撃する振りをしたあたしは、そのまま依織のほうへと向かっていく。
「あー、そうくるのか。まぁ、そうくるよねぇ」
なんて言って放れていくあたしを特に気にかけてもいない様子のルキ。
そして、あたしが依織達のところへたどり着こうとしたところで、
「残念、もう少しボクと遊んでもらおうか」
なんて言葉が聞こえたかと思うと、あたしはいつの間にか元いた場所、依織達から離れたルキと戦っていたところに戻ってきていた。……転移、ということなんだろう。
「あーもう、いい加減にしなさいよ!」
「ははは、残念残念」
おどけた風にルキは避ける。
不毛で終わりの見えないこの戦い、一体いつまで続ければいいんだろうか?
はい、結局火曜ですorz
苦手な戦闘×書きづらいキャラ、はやっぱり難産になりますね。orz
けど、もう少しで終わるはず、この章含めて……!
そんなわけで、今回も読んでいただきありがとうございました。
またも後れてしまいほんとに申し訳ありません。
それでは次回こそ月曜更新したいと思っておりますので、どうかよろしくお願い足します。