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俺と彼女達の下半身事情-魔物娘と過ごす日々-  作者: 黒箱ハイフン
第二部 三話 『魔族令嬢の舞闘会……つまり、あたしが主役よ』
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107 『暇だったから』


 目を開けると、見知らぬ天井が見えた。


「えっと、ここは……?」


「あ、気がついた?」


 呟くあたしを覗き込むのは銀髪緋眼の少女、この城の精霊であり、この闘技大会を取り仕切っているはずのジェーンだった。


「気がついた、って、えっと、あたしは、確か……」


 まだ目覚めてないのか、いまいち上手く働かない頭を動かして思い出す。


 あたしはミーティアを追い詰めた、と思ったところでメイディによって動きを止められ、そしてそのまま彼女の魔術によって、意識を失ったのだ。けれど、その際、依織に渡されていた自爆の術式を発動したはずだ。


「っ、そうだ、あたし達はどうなったの、試合の結果は?」


 敵も味方も、その場の全員を巻き込んだ爆発であるが、それでどうなったかをあたしはしは知らないのだ。その爆心地、最も最初にその威力を受ける場所にいたんだから。


「そんなの決まってるじゃない、あんなの誰だって耐えられるわけないでしょ……」


「あー、そっか、うん、そうなるわよね、やっぱり」


 なんて、呆れ交じりの返答に、一安心できる。つまるところあたしの、というか依織の思惑通りにいったということだ。


「結果としては、全員同時ノックダウンの引き分けよ。まさか、私の作ったあそこを半壊させるほどの威力を出すなんて、流石に予想外すぎたわ……」


「あー、そんな凄い威力だったんだ、あれ。正直、あたとしては実感ないんだけど」


 魔力を一気に持ってかれたなー、ってぐらいだもの。発動するときにはもう意識は朦朧としていたか、そもそも気を失ってかすらも知れないような状態だったし。


「軽く言うけど、あれって死人か出たかもしれないんだけど……」


「しっ、死人って、なんでそんな……!? あの場はあんたが作った安全な場所じゃなかったの!?」


「本来ならそのはずなんだけどねぇ。一応原理としては、部屋に入ったときの状態を保存して置き、意識を失ったときに最初の状態まで戻すことで治す、ってものなのよ」


「えっと、ごめん、どういうこと……?」


 折角説明してもらってなんだけど、正直よく分からない。


「ま、簡単に行ったら戦いが終わったら、戦う前の状態まで戻す効果のある空間なのよ、あそこは」


「……なるほど、なんとなくだけど分かったわ。けど、それなら問題ないし、死人なんて出ないんじゃないの?」


 聞いた限りだと、何も問題なんてない、安全な仕掛けなように思えるんだけど。それでどうして死人がでたかもしれない状況になんかなったんだろう?


「本来なら、大丈夫だったの。けど、想定以上、私の防ぎきれる以上の負荷があの空間にかかったせいで、本来あとで戻すはずの最初の状態の記録が半ば以上壊れちゃって。正直、私一人じゃどうしようもないような状況に……」


「ちょっ、ちょっと、あんたがどうしようもないって、それ大事じゃないの……!? 皆は、依織やメイディ、ミーティアのやつは大丈夫なの!?」


「あー、うん、大丈夫。私一人じゃきついってだけで、なんとかなりはしたのよ。いやぁ、予想外な助っ人だったけど、ほんと助かったわ」


「ほっ、なんだ、脅かさないでよ……」


 いくら戦った仲――そして恋敵とはいえ、大怪我させたり命を奪おうなんて思ってもいないのだ。勝負としては負けたくないけど、そこまで大きな被害を出したいわけじゃないのだから。


「というか、あなたが一番最後よ、起きたの? 他の皆はもうそれぞれの部屋に戻って休んでるわよ?」


「へっ? あたしが最後?」


「いや、当然じゃない。あの爆発の中心部にいたんだから、一番酷いことになってるのは」


「確かにそうね……」


 安全なんだからと、防御なんて一切考えず、ありったけの魔力を使い果たすような危険思想な自爆術式。その起爆点のあたしが一番ダメージを受けるのは当然だ。……というか、よくよく考えると、ホント恐ろしいわね、あれ。


「正直、流石に私も完全に治せるとは思ってもみなかったわ。丈夫な身体と、手伝ってくれたあの娘に感謝したほうがいいわよ? 勿論、私にもね」


「あー、うん、ありがと……。ていうか、さっきから何回かでてきた助っ人って?」


 埒外な能力を持つジェーンでも一人では無理なことを、補佐できるほどの実力者。ママだったらそう言うはずだし、一体誰があたしを助けてくれたんだろうか?


 なんて、思ったときに聞き覚えのある声が響く。


「それは勿論、我じゃぞ?」


「ちょっ、なんで、あんたがいるのよ!?」



「勿論、暇だったからじゃ!」



「いや、暇って……」


 ……まさかの理由でこの場にやってきたらしい。


 ありがたいし、助かったわけだけど、なんだろう、このやるせなさは?


 唐突に現われた空亡を見て、肩の力が抜けていくあたしだった。


はい、また今日も火曜更新ですね……。

祝日だからって色々はしゃいで忘れてたという。orz


そんなわけで、まぁ遅くなりましたが更新です。

結果は勿論引き分けに。

ただ、やりすぎたので危険なことに。

まぁ暇な駄神が来たお陰で助かったということですが。


一応、空亡が霜のときに一時いなかったのはこっちいってたからだったりします。



それでは、今回も読んでいただきありがとうございました。

次回も月曜あたりに更新予定ですのでどうかよろしくお願いいたします。

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